「HJメカニクス10」よりRX-93 νガンダムをご紹介【NAOKI】
2021.12.09HJメカニクス10(2022年12月9日発売)
アムロが自ら設計・開発に携わったニュータイプ専用ガンダムタイプ
アムロ、最後の出撃 | U.C.0093.0312
核パルス・エンジンに火が入り、地球への落下軌道を取るアクシズ。ロンド・ベル隊は、ケーラ・スゥや数多くの犠牲を払いつつも、アクシズを止めるべく最後の戦いに挑む。アムロ・レイもこれがシャアとの最後の戦いになることを予感し、チェーン・アギにその決意を告げる。フィン・ファンネルを装備し、すべての決着を付けるため、νガンダムが出撃する。
Ver.Kaをベースにアニメ設定画の特徴を随所に組み込む
アムロ・レイ大尉自ら設計・開発に携わり、アナハイム・エレクトロニクス社のフォン・ブラウン工場で建造されたニュータイプ専用ガンダムタイプ、νガンダム。新素材であるサイコ・フレームを採用し、ガンダムタイプとしては初となるサイコミュ兵器(フィン・ファンネル)を搭載。変形・合体機構を持たないシンプルな設計だが、アムロ・レイのパイロットとしての能力もあいまって、「シャアの反乱」では目覚ましい戦果を挙げた。作例は、傑作キットMG Ver.Kaをベースに製作。随所にアニメ設定画の特徴を盛り込み、これまでにないアプローチに挑んでいる。
TOPICS
アニメ設定画の特徴
垂れ胸で天面が長い胸部大きく横に長い肩長くはないが長く見える前腕縦長の股間ブロック各腰アーマーのサイズ感意外と長いリアアーマー脚の始まる位置太モモの長さや位置フロントアーマーと膝の位置関係スネ〜甲へのラインスリッパのバランス感など。(作者調べ)
COLLARING DATA
本体白1=ニュートラルホワイト(NAZCA)
本体白2=ニュートラルグレーⅡ(ガイアノーツ)
本体濃紺=NAZCAにて発売予定の開発中カラー
本体赤=フレイムレッド(NAZCA)
本体黄色=NAZCAにて発売予定の開発中カラー
関節色1=メカサフ ヘヴィ(NAZCA)
関節色2=シナイグレー1(モデルカステン)
センサー類=プリズムブルーグリーン(ガイアノーツ)
人型機動兵器の原点ともいえる武装とサイコミュ兵器フィン・ファンネル
νガンダムは、アムロ・レイがはじめて搭乗したRX-78-2 ガンダムに近いシンプルなシルエットに、ビーム・サーベル、ビーム・ライフル、バズーカといったオーソドックスな武装を備える。そこに攻防一体のサイコミュ兵器フィン・ファンネルを加えることで、U.C.0093最強の機体となった。
頭部ユニット
武装
ビーム・サーベル
フィン・ファンネル
さて、今回はνガンダムVer.Kaを製作。言わずと知れた傑作キットですし、これまでに何度も製作してきました。が、何度作ってもやっぱりνガンダムって特別な機体なので身が引き締まる思いがしますね。で、今回はどんなアプローチでこの傑作キットに挑もうか? 立体としてのカッコ良さって、このMG Ver.KaやRGでわりと成熟されていると思うんですよね。なおかつ人気の機体なので皆さんカッコ良く作られていらっしゃる。悩みに悩みました(笑)。結果、キットのカッコ良さを活かしつつ、ある意味基本に立ち返るということで、設定画と向き合ってνガンダムらしさを盛り込んでみることにしてみました。
ただ、この辺のニュアンスが難しいのですが、「設定画の再現」や「設定画に似せる」のが目的ではなく、Ver.Kaという立体としての成熟味のある傑作キットを活かしつつ、設定画をリスペクトした上でそれらの要素をうまく盛り込む、というのが目標です。で、あらためて設定画と向き合ってみると、νガンダムってシンプルなデザインゆえバランスの取り方が本当に難しい。
特に胸や腰周りの位置関係、バランス感などは非常に難しい! これらをどのように盛り込んでいったのか。各部解説で苦労の跡を感じ取っていただければ幸いです(笑)。
■頭部
いろいろ小難しいことを書いといてナンですが、頭部は自分の思う「カッコいい」を目指してみました(笑)。
■胸部
設定画を見直すと、かなりの垂れ胸で天面が縦に長い。中央の白い部分を見るとその長さがよく分かります。この雰囲気を発動モード状態を固定して再現しました。
■腰部
ここが今回のバランス取りの一番のキモです。設定画を見て印象的なのは、股間ブロックの長さ、フロントアーマーのアウトライン角度、そして脚の生え位置です。後述しますが、股間ブロックと太モモ位置を見比べた時に、かなり上方から太モモがはじまっている(ように見える)んですよね。この辺りの雰囲気をうまく取り込むため、股間ブロックのフレームを切り離して下方にセットしたうえで、さらに股間ブロック外装を下方に延長します。
フロントアーマーは縦長に見えてそんなこともない絶妙なサイズ感です。これはおそらく下方アウトラインの角度に起因するものだと思われます。この辺の雰囲気を再現すべく股間ブロックに合わせて大型化しつつ、アウトラインの角度変更を行っていますが、決して下方に長いイメージではないので、上下側面にプラ板を貼り込んで大型化しています。サイドアーマーは形状自体はそのままなのですが、設定に準じた塗り分けにしています。
■脚部
腰と並んで今回のバランス取りのキモです。太モモ上部の横ロール軸構造ですが、ガンプラで長く続いた股間ボールジョイント構造に取って代わった可動構造であり、広い可動範囲に加えて、素立ち時の微妙な角度付けにも非常に有効なので、両手離しで大歓迎の可動構造です。ただ、可動のクリアランスによって太モモ外装の表現に制限が加えられてしまい、結果として太モモの見え方、ひいては脚の長さ(の見え方)に少なからず影響を及ぼしてしまう場合もあります。この構造を踏まえてバランス調整されている近年のMSについては何ら問題はないのですが、今回のνガンダムのように腰アーマーの隙間から見える太モモの見え方や位置関係が全体のシルエットに影響を及ぼす場合、太モモ上端がどこにあるか? というのは非常に重要な問題になってくるのです。
■腕部
今回握り拳とライフル握り手は3Dデータで作成したものを出力して使用しているのですが、こちら汎用ハンドとしてプラ製で商品化すべく開発中です。
全体のディテールに関してですが、キットのディテールやパーツ分割はあくまで発動モードという設定およびギミックありきのうえで追加されたものだと認識しています。とするとそれらのギミックをオミットしている今回の作例では、ディテールの入れ方の意図が異なるので、それらを埋めたり活かしたりしつつ新たなディテールを追加しています。
そんなこんなで完成した今回のνガンダム、コンセプトの意図は伝わりづらいかもしれませんが、多少なりとも理解していただけると嬉しいです。が、ただただカッコイイと思っていただければそれだけでも望外の喜びです!
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット
“マスターグレード” νガンダム Ver.Ka使用
RX-93 νガンダム
製作・文/NAOKI
こちらの「RX-93 νガンダム」は本日発売日の「HJメカニクス10」でも掲載。
HJメカニクスの節目となる第10号は、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を総力特集しております。本作のメカの魅力をガンプラやスクラッチモデルなどで改めて振り返り、当時からのファンはもちろん大ヒット作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』から入ったファンも楽しんでいただけるものとなっています。
ぜひ手に入れて「逆シャア」の魅力を再確認してみてはいかがでしょうか。
Ⓒ創通・サンライズ
NAOKI
メカニックデザイン、造形、造形プロデュースなどさまざまフィールドで活躍するマルチクリエイター。