小湊鐡道 気道車「キハ200形」[中期型]をディオラマで再現【澤武慎一郎】
2021.12.10小湊鐵道 キハ200形[中期型]【PMOA 1/80】 月刊ホビージャパン2022年1月号(11月25日発売)
電飾で風情ある情景をリアルに演出する
PMOAの鉄道プラスチックキットシリーズ第2弾は、千葉県房総半島の五井と上総中野を結ぶ小湊鐡道の気道車「キハ200形」。JRではすでに引退しているタイプの旧式ディーゼルが、唯一現役で走っているのが、この小湊鐡道である。キットはこの古き良き現役主力気道車を、一部塗装済みで1/80スケールにて再現。各部ディテールはもちろん、乗客などのフィギュアも用意された、組み立てるだけで充分満足度の高い仕上がりを見せるディスプレイモデルとなっている。
作例は第1弾の「JR東日本201系直流電車」の作例も手掛けた、澤武慎一郎が担当。キットを2セット使い2両編成とし、さらに前回同様、電飾を施しつつ、房総半島の自然を快走する様をディオラマで再現している。
■車両の製作
PMOAの鉄道プラモ第2弾キハ200、前回の201系に続いて私めの担当とあいなりました。小湊鐵道は実に良い感じの風景の中を走る鉄道ファンにも人気のローカル路線。さまざまな写真を参考にイメージを膨らませ情景に組み込んでみたいと思います。
キットは的確な構成でさすがの作り。注意点は窓のはめこみが固いところがあり、しっかりはまっていないと屋根が入らないので、カチっと音がしてピッタリ窓がはまっているのを確認するのが重要です。それ以外はほとんど手を加えるところもないので、今回は電飾と人形の配置、キモであるウェザリングに重点を置きます。というのも車体そのものは塗装済み、今回に至っては窓枠まで塗装されているため、組み立てるだけで充分車体を再現できてしまうので、そのぶん細かな塗り分けに注力できます。とはいえ車内や屋根、ドアノブ、ドア開閉ランプや前照灯の枠、幌等は自前で塗る必要があります。ボディはエナメル塗料のブラックでスミ入れするだけで雰囲気が出ます。
実物の写真を見てると「おでこ?」部分にサビが出たり屋根等はかなり激しく汚れるようで黒やグレー、レッドブラウンで汚れを描き入れていきます。車内は資料片手にそれっぽい色で塗りますが、あまり見えないのでらしければOKでしょう。運転室は独自調合の緑がかったグレーです。女子高生はPMOA製で乗務員はKATO製です。運転士はそのままだと入らないのでヒザ下をカットしています。車両下部はダークアースを薄く吹いてサビを表現、レールにも同様に吹いています。
■電飾
電飾工作に入ります。発光は3系統、車内・前部標識灯・後部標識灯です。前部標識灯と後部標識灯は2両で互い違いに回路を繋ぎ、前進/後進と分けて光るよう工作します。室内は一斉点灯とし、それぞれ電球色・赤のLEDを使用。スペースの問題で後部標識灯はチップLEDです。遮光は充分考えて工作します。配線は車内の壁づたいに床下冷却機ブロックにまとめておきます。ここにはベースに固定するための3mmナットも仕込んでおき、隣の穴に配線が通るようにしています(猫避けの金網もつけておきました)。
■ベースの製作
ベースはベニヤ合板の3mmと角材の組み合わせ、土手はそこらにあった1cm厚の板材を組み合わせます。レールはPECO製のフレキシブル、ガーダー橋はプラ板でスクラッチしました。ウェーブの丸・リベットを8セットほど使っています。橋桁はトイレットペーパーの芯に紙粘土で肉付けしたもの、コンクリ基礎はスチレンボードです。地面を紙粘土で作り、川面は溶いた石膏を流して流れを表現。数種の砂を撒き、ターフ(海外/NOCH製)を敷き好きなように情景を作ります。小湊鐵道名物の菜の花を植えたり田んぼを作ったり、レイアウト製作の一番のお楽しみです。
川を塗装します。緑から濃い青までグラデーションに塗装し浅・深を表現。モーリンの川砂利を岸辺に撒いて2倍稀釈の木工ボンドを染み込ませ、いずれも固めます。水表現はKATOリアリスティックウォーターを流し固めます。波はウォーターエフェクトを使い表現。硬化したらラッカー塗料の白で波頭を描き入れます。車両をレールに乗せ、下部からボルトで締め付け固定。配線はベース下に通して土手の内部に導き、それぞれ結線、3つのスイッチにしっかりハンダづけし点灯テスト。ベース全体の色味で浮いてるところ、例えば2メーカーの樹木を使うと色がケンカして馴染みませんので、エアブラシで茶やタン等を吹き、色調の調整をして落ち着かせます。最後にスイッチ操作盤に文字を書いて完成です。
PMOA 1/80スケール プラスチックキット
小湊鐡道 キハ200形[中期型]
ディオラマ製作・文/澤武慎一郎
小湊鐡道 キハ200形[中期型]
●発売元/PMOA ●9900円、発売中●1/80、約25cm ●プラキット