【もう一度オラザクに出るなら?】第14回の大賞モデラー・あに氏が「ネオ・ジオング」を製作!『機動戦士ガンダムUC』の最終決戦から着想しドラマチックに表現【特集試し読み】
2026.10.11もう一度オラザクに出るなら作るもの/「紡がれゆく意志」 【BANDAI SPIRITS 1/144】●あに 月刊ホビージャパン2026年11月号(9月25日発売)
もう一度オラザクに出るなら作るもの
あに編
“もしもう一度オラザクに出るとしたら……”その問いに答えるもうひとりのモデラーは、第14回全日本オラザク選手権で優れた工作技術と物語性の豊かな情景で衝撃を与えたあにさん。現在も本誌を中心に精力的に作品を発表しているのはもちろん、展示会等を通して地元の模型シーンにも積極的に関わっています。
そんなあにさんが今回製作したのがアニメ『機動戦士ガンダムUC』の最終決戦から着想した「紡がれゆく意思」。ユニコーンガンダムとの戦いのなか、次第に内部から「風化」し崩れ落ちていくネオ・ジオングの姿をリアルに、そしてドラマチックに表現した、ディオラマビルダーである、あにさんの持ち味が存分に発揮された作品といえるでしょう。
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット
“ハイグレードユニバーサルセンチュリー”ネオ・ジオング他使用
「紡がれゆく意思」
製作・文/あに
オラザク大賞から15年
変化した戦場と変わらないモデラーの核
■激変した模型環境による「技術至上主義」
自分がグランプリを受賞した15年前に比べ、今模型を取り巻く環境は激変しました。動画配信やSNSによるノウハウの共有、高性能な最新工具の普及、そして3Dプリンターをはじめとするデジタルツールの台頭。かつて職人技だった「完璧な左右対称」や「精密なパーツ造形」は、現代では「誰もが手にできる精度」となりました。こうした環境の変化にともない、いまや模型シーン全体がかつてないほど「技術優先」の傾向を強めています。
■「ディテール過多」への危惧
最近のコンテストでは「手数が多いほどいい」というディテール過多の風潮が目立ちます。これには前項でお話ししたデジタルツールの普及というのも大きな要因のひとつだと思われます。確かに情報量が詰まった作品には圧倒的な凄みがあります。ですが、技量や作業量の競い合いばかりに注目が集まると時間をかけて密度を詰め込んだ者勝ちという消耗戦になりかねません。何より技術や手数のアピールが優先されるほど、肝心の「自分は何を表現したいのか」というメッセージが薄れてしまう危険を孕んでいます。
■3Dプリンターとの付き合い方
コンテストにおいて、3Dプリンタを使うことは選択肢のひとつです。しかしそれらはあくまで「自分の表現したいもの」を形にするためのサポートにとどめておく必要があると思います。出力されたパーツの精密さや技術の高さそのものが作品の主役になってしまっては本末転倒です。
便利なデジタルツールはどこまでいっても己の表現のための「道具」に過ぎません。道具のすごさに翻弄され「使われる側」になってはいけないと思います。だからこそ今一度「自分は何を作り何を伝えたいのか?」という表現の原点に意識を向けてほしいのです。
■明確な完成のイメージを持つ
今回のネオ・ジオングの製作期間は2ヵ月でした。オラザクに挑むにはお世辞にも長いとは言えない期間です。私はモデラーのなかでも決して手が早いほうではありません。それでも日中は本業をこなし、限られた隙間時間をぬって完成までこぎつけることができました。実際の作業は2ヵ月ですが、この作品の構想自体はキットが発売された時から温め続けてきたため、年数にすれば実に12年です。
ここでお伝えしたいのは「明確な完成イメージ」を持つことの大切さです。自分が何をしたいのかがはっきりしていれば「どこをどう見せるべきか」という優先順位が自ずと見えてきます。見せ場に作業を集中させ、それ以外の部分はあえて引く。その強弱のコントラストこそが、作品に心地よいメリハリを生み出してくれるのです。
■デジタル時代における「オラザク」の真価
高精度なパーツや高度な技術をいくら詰め込んでも、表現したい意志がぼやけていては心に響きません。技術やツールを己の表現に従え、主張を明確に打ち出した作品こそが強い存在感を放ちます。デジタルが得意とする「規則正しさと密度」に対し、人間が得意とするのは「質感や揺らぎ」そして「何を伝えるか」という選択です。時代の変化とともにツールが進化しても「オラザク」が技術の競い合いではなく、互いの「表現」をぶつけ合う戦場であってほしい。最後に人の心を動かすのは、どこまでいってもモデラー自身の「表現へのこだわり」なのですから。
続きは「月刊ホビージャパン 2026年11月号」をぜひご覧ください!

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット
“ハイグレードユニバーサルセンチュリー”ネオ・ジオング他使用
「紡がれゆく意思」
製作・文/あに
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あに
第14回全日本オラザク選手権で大賞を受賞。リアルなウェザリングでドラマチックな情景を作り出すマルチモデラー。



















