プラモ製作の “どの工程に時間を使いたい?” 実際はどこに時間がかかるのか、ジャンルの異なるモデラー達に聞いてみた!【ガンプラ仕上げの極意】
2026.09.01月刊ホビージャパン愛読者とモデラーに聞きました!
あなたは、どの工程に時間を使いたい?
使いたい時間と、実際にかかる時間。その違いに、模型の楽しみ方が表れる。
模型に使える時間は、生活スタイルによって人それぞれ。まずは、愛読者アンケートから見えてきた平日と休日の“模型時間”を見てみよう。まとまった時間を取れない日が多いからこそ、どの工程に時間を使うかという選択には、目指す仕上がりや、その人なりの楽しみ方が表れる。
そこで、ジャンルの異なる作り手に、「どの工程に時間を使いたい?」「実際はどこに時間がかかる?」という同じ質問を投げかけた。自分に近い答え、意外な答えを探しながら、次の1体で試したい時間の使い方を見つけてほしい。
まとまった時間が取れなくても、プラモは少しずつ楽しめる。 では、その限られた時間を、どの工程に使いたい?
木村直貴
2000年6月号「第3回全日本オラザク選手権」で入賞し、同年9月号でプロモデラーデビュー。以降、月刊ホビージャパンでトップを張り続けるエースモデラー。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. パーティングライン、ヒケ、面出し、エッジ処理など、パーツの基本整形はとにかく時間が必要で、全工程の半分はこの作業にあてています。なんといっても基本は重要です。それに、整形作業は締め切りまでまだ余裕のある前半戦のことなので、音楽を聴いたりしながら、気楽に楽しくやれるのがいいです。
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. 基本作業が大事だと思っているので、時間配分はだいたい理想に近いんじゃないかと思っています。ですが、意外に時間がかかって焦るのが、塗装前の分解と取っ手付け作業です。大型モデルでは1日以上かかってしまい、仕上げ時間が足りなくなって、簡略化やむなし! というケースもあったりします。
セイラマスオ
個性的なディテール工作と淡い塗装表現で、月刊ホビージャパンモデラーのなかでも一線を画す存在。連載“セイラマスオの気まぐれガンプラ製作記”を手掛ける。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. オリジナル機体での製作が多いので、コンセプトの発想や独自の装備を設定することが、まず最初の大事な工程です。方向性がうまくハマれば、その後の製作も含めてすべてノリノリで進みますので、しっかり時間をかけて構想を練ります。
基本、すべての製作を楽しんでやっている能天気モデラーですが(笑)、加工によって元キットから変化していくさまが楽しいですね。
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. 全身にディテールを追加していく工程が、一番時間を取られる作業となります。私の場合は“精度”より“手数”を優先することで、時間のバランスを取っています(笑)。
製作のモチベーションを保つには、“完成させること”を目標にすること。多少うまくいかなくても無理やり完成まで持っていく、“完成させたがり”になることです(笑)。
長徳佳崇
ディオラマからクリーン仕上げまで、さまざまなジャンルの作例をこなすベテランのマルチモデラー。趣味ではスケールモデルの製作に勤しむ。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. 趣味でプラモを作っているときは、フィルターをかけたり、テクスチャーを付けたりしている時間が楽しいですね。色がくすんだり、模型が少しずつ変化したりしていくのを見るのが好きなので、これは無限にできる気がします。
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. 仕事として考えると、編集部からの“お題”を受けて、どこをゴールにするのかを考える時間ですね。プロポーションにどのくらい手を入れるのか、ディオラマの構成をどうするのか。そこを決めないと完成形が見えてこないので、時間がかかる部分ですし、同時にしっかり時間を使いたい部分でもあります。
荒井芽依(LINKL PLANET)
プラモデルと世界をつなぐアイドルグループ・LINKL PLANETのメンバー。月刊ホビージャパンの筆塗り特集では清水式を完コピし、持ち前の色彩感覚を活かした塗装表現を見せた。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. ボクが一番時間をかけたい工程は、表面処理と塗装です。丁寧にヤスリがけすると、それだけ愛着が爆増し、完成度もグッと上がると思っています。塗装では、自分が納得できる色味や質感にこだわって試行錯誤を重ねることで、作品に命を吹き込めると感じています。これからも理想の仕上がりを目指したいです!
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. 実際に一番時間をかけてしまうのは構想です。どんな子を作りたいか、どんなシーンにしたいか、頭の中で“どう表現するか”を考える時間が大好きで、気付けば夢中になっています。日常のふとした瞬間に浮かんだアイデアも好きですが、組み立てながら形にしていくことが特に楽しくて、作れば作るほどプラモ沼にハマっていきます!
東恩納瑠花(LINKL PLANET)
LINKL PLANETのグループ最年少メンバー。月刊ホビージャパン2026年10月号の「サンライズロボット研究所」連動企画では、HG ドラグナー1の塗装に挑戦している。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. 塗装に一番時間を使いたいです。同じキットでも、色の選び方や塗り方ひとつで雰囲気や個性が大きく変わるので、自分らしさをもっとも表現できる工程だと思っています。完成形を想像しながら色を重ねる時間が一番楽しいです。
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. 実際は塗装後の細かい修正に一番時間がかかります。塗り分けの修正やスミ入れ、ツヤの調整、汚しを入れるかなど、最後の仕上げで何度も見直します。理想の完成形をイメージしながら少しずつ形にしていくことが、モチベーションにつながっています。
まつおーじ(firstAge)
フラットな塗装仕上げからリアリティーあふれるウェザリングまでこなす、模型サークル「firstAge」所属のベテランモデラー。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. 時間を使いたいのは、仕上げの工程ですね。ある程度パーツごとにウェザリングをして、組み付けてから全体の雰囲気を調整したり、完成に向かっていくところが楽しいし、しっかり時間を取りたいですね。構想というか、妄想している時間も楽しいし、時間を取りたいところですね。
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. 実際は工作に時間がかかり、遅れていきますね。特にディテールアップ。サフを吹いてからのリテイクもかな。いじった箇所は、だいたいリテイクです。締め切りが近くなってきたら、まだ慌てる時間じゃない! 絶対間に合う! と自分に言い聞かせています。塗り分けなどをスマホで調べていると、流れてくる動画をどんどん観てしまい、気付けば時間を溶かしちゃってます。これが一番ダメですね。
けんたろう
月刊ホビージャパン連載“月刊工具”でおなじみのオールラウンドモデラー。工具やマテリアルに精通し、キャラクターキットからガールズプラモ、スケールモデルまで幅広く手掛ける。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. 完成までに必要な工程と時間を分解し、締め切りから逆算して段取りを組むところです。どの段階までに何を終わらせるかが見えてくると、実際の作業にも集中しやすくなります。
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. デカール貼りやスミ入れ、トップコートなど、完成直前の仕上げに時間がかかります。短縮しにくい作業が多いので、前の工程で遅れると一気に苦しくなります。無理をしてミスを増やさないよう、休む時間も含めて逆算することが大切です。
ken16w
徹底した表面処理と精緻なディテール工作を身上とする剛腕モデラー。繊細な色使いにも定評があり、工作と塗装の両面で高密度な作例を生み出す。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. プロポーション改修がもっとも重要な工程だと思っています。一番好きな工程でもあるので、おのずと時間はかかってしまいます。
プロポーション改修が決まり、立ち姿がバチッと決まったときはニンマリしちゃいます。
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. 上記のプロポーション改修は、大まかに形状が出てしまえば次の工程に進むのですが、そこから改修部(延長工作や形状変更)の精度出しに時間を使いたいと思っています。ここで手を抜いてしまうと、いくらカッコよく改修されていても、自分にとっては駄作になってしまいますから。改修が進むたびに組み立てて、いろいろな角度から眺めることで、「良い感じじゃん!!」とモチベーションもおのずと上がっていきます!
アーリーチョップ!!!
キャラクターキットのシャープでスタイリッシュな仕上げに定評がある。ウェザリングからクリーンな塗装、スケールモデルの筆塗りまで幅広くこなすマルチモデラー。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. 構想から完成までの工程すべてに時間を割きたい、というのが本音でしょうか? 工作に使いたい、塗装に使いたいなどは、作るキットやコンセプトによるので、実際にはプランニングに時間を使うのが正しい気がしています。
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. 実際の作業時間の比率でいうと、圧倒的に組み立てから塗装前までの“作業・工作”時間が大部分ですが、そのうち悩んで手が止まっている時間も多いですね……。ただ、作品の最終的な“見映え”に関しては、工作内容よりも塗装、汚し、デカール、仕上げの工程の出来に左右されると思うので、最近はその部分のウェイトを増やすようにしています。
ぷらシバ
「ガンダムアッセンブル」などの小型ミニチュアを、メリハリの利いた筆塗りで仕上げることを得意とするミニチュアペインター。水性塗料を駆使し、小さな立体に豊かな色彩と立体感を与える塗装表現が持ち味。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. 私はミニチュアペインターなので、もっとも時間をかけるのは塗装工程です。資料を基にコントラスト幅や色味を設計し、それに合った筆を選びます。色を幾重にも重ね、筆を使い分けながら、平面の色が立体として息づいていく瞬間が一番楽しいですね。
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. 実際は合わせ目や下地処理にもっとも時間を使います。筆塗りでは、わずかな段差でも筆運びや発色に影響するためです。「好きな色を、好きな筆で、思い通りに動かすための準備」と考えることで、下地処理も塗装の一部として楽しめています
横山宏
イラストレーター、造形作家。『Ma.K.』原作者で、1980年代の『SF3D』以来、模型とイラストの両面で作品を発表し続ける世界的トップモデラー。国内外のファンが喜ぶ作品を現在も多く発表している。
Q. どの工程に時間を使いたい?
A. プラモに付属しているフィギュアや、既製品の女性フィギュアを改造しているときですね。ちょっと手を入れてあげるだけですぐにカッコよくなるので、触っている時間はずっと楽しいです。昔はそこまで深掘りしてなかったんですけど、ホビージャパンで『SF3D』の連載を始めてからは、上手な人のフィギュアを見るようになり、必要だなと思って触るようになりました。最初のエディ君はほぼ泥人形ですが、最新のエディ君は名人・村井さんの造形なので、生きているようです。フィギュアは奥深いですよ~!
Q. 実際はどこに時間がかかる?
A. いろいろと、頼まれもしないことを調べているときかな。当時撮影された飛行機や車両、兵士の写真とか、当時の資料写真を暗記するほどまで見て、それを基に模型をいじるのが楽しいので、そこに人生の残された時間を使っている気がします。でも、それが好きだからいいんです。
あなたはどこに時間を使いたい?
同じ質問でも、答えは実にさまざまである。目指す完成形が違えば、時間を使う工程も、その配分も変わる。大切なのは、自分が楽しみたい工程と目指す仕上がりを考え、限られた時間の使いどころを選ぶことだ。
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