故・宮崎逸志の怪獣への熱量と細部へのこだわり~小森陽一が原型師の魅力を語る『怪獣ガレージキットの素晴らしき世界』~【コモリプロジェクト】
2026.04.19 コモリプロジェクトHP
Youichi Komori Official Web(y-komori.net)
怪獣ガレージキットの
素晴らしき世界
~神は細部に宿る 宮崎逸志~


皆さん、いかがお過ごしでしょうか。先日、僕の住んでいる街に春一番が吹きました。北日本は大雪、全国的には雨不足と落ち着かない日々ですが、季節は確実に春に向かっているようです。
さて、昨年から折を見て書き進めている原型師さん の記事ですが、今回は海獣ゲスラとともにアトラゴンGKの宮崎逸志氏のことを綴っていこうと思います。思い返せば宮崎さんが颯爽とガレージキットシーンに登場したのは2005年のことでした。繰り出したのはガマクジラとゲスラの2体。背中のイボと無数の棘、どちらも成型に難のある怪獣のため、ほとんどのメーカーが30cmサイズで出すことを躊躇しておりました。(ならば僕の出番やな)そう言われたかどうかは定かではありませんが、ノリの良い宮崎さんのキャラならばあり得る話です。先ずは資料本を掻き集め、本映像はキャプチャーして徹底的にリサーチを行います。全身のバランスは当然のこと、腕や脚を曲げた際の皺の寄り方、一瞬だけ映る口の中、転んだ時の尻尾の付け根など、それはもう呆れるくらいです。食事をともにしながら(この部分がどう)とか(ここからあそこにかけてがこんなん)とか、怪獣好きの僕でもドン引きするほどの熱量で考証されておりました。さらにはガマクジラのイボはインセクトピンで再現、ゲスラの棘はホワイトメタルで成型したものを400本揃えるという凝りようです。傍から見ていてもちょっとやり過ぎなんじゃないかと思うくらいでした。
今回、記事を書くためにゲスラを引っ張り出して製作しましたが、造形の素晴らしさはもちろん、宮崎節の代名詞、『神は細部に宿る』の精神をあらためて堪能することができました。宮崎さんが自分の思い描くゲスラを表現するには、400本のホワイトメタルが必要だったのだとあらためて確信した次第です。
2016年に亡くなられてから今年で10年です。あれから未発表の資料本が何冊も登場し、映像は4Kとなってさらに細部が読み取れるようになりました。宮崎さんのことだから、新たな資料や技術を駆使してさらにディープな考証を続けていかれたことでしょう。そして、そこから生み出されるさまざまなキャラクターを見てみたかった……。なんてね、そんなことを書いていると天国から(小森さん、やっとゲスラ作ってくれたんやね)とツッコミが聞こえてきそうです。
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怪獣ガレージキットを大迫力の特撮写真で小森陽一が解説
小説・文筆家であり怪獣ガレージキットメーカーも立ち上げた小森陽一氏セレクトの怪獣ガレージキット。熱い怪獣愛で怪獣ファンも認める小森氏が、各メーカーの怪獣ガレージキットを塗装完成品と大迫力の特撮写真で解説していく作品集です。
さまざまなガレージキットメーカーの怪獣ガレージキットを円谷特撮作品から厳選して50体、新規撮り下ろしにて掲載。その魅力を小森陽一氏による解説で紹介していきます。
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小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』『ツイン・アース』など著作多数。


















