一方、九海港から遠く離れたブリタニア共和国のオフィス街。立ち並ぶ高層ビルのひとつに大手製薬会社パイレックスの社長であるマシューのオフィスがある。その広いオフィスの中をウロウロと落ち着きなく歩いているマシュー。秘書のミリガンは、そんなマシューを横目に端末に向かっている。立ち上げたメールソフトには仕事のメールしか入ってこない。
「グラナードからの連絡はまだ来ないのか?」
「はい。依然として」
「あの子の所在を知る男を捕まえたという報告から数時間。どうしてグラナードは連絡を寄越さない……?」
「定時連絡の時間は過ぎています。何かあったのかもしれません。こちらから連絡を取りますか?」
「……」
「社長?」
「いや。ここはいったんに冷静になろう。奴からの連絡を待つ。奴との関りはできるだけ残したくないからね」
「承知しました」
マシューが冷静さを欠いてないことがわかり、ミリガンは少し安堵する。
すっかり日も暮れ、美しい夜景が広がる香港。そんな街の一角のレストランにサトリの声が木霊していた。
「ほあああ~っ! 海老蒸し餃子に焼売、大根餅の飲茶に次ぐ飲茶! こっちは土鍋ご飯に広東粥! あっ! 火鍋まであるじゃん! 見て見て! エッグタルトもこんなにたくさん!」
「は、はい……」
テーブルいっぱいに並べられた香港料理に目を輝かせるサトリ。話を振られた少女はその隣で初めて見る食事に戸惑っている。
「なんなの、これ?」
呆れた顔をしたレディ・レディがハクバに問う。
「うん? 見ての通り香港料理だが? もっと高級な店のほうがよかったか?」
「そういう意味じゃなくて。どうして、レストランに来てるワケ? 深刻な話をするんじゃないの?」
「するが、まずは腹ごしらえだろう。腹が減ってちゃあまともな考えもできやしない」
「……ふむ。確かにそれは正論ね」
「ねえ、ハクバ。もう食べてもいい?」
「僕もハクバが無事な姿を見たらお腹減っちゃった」
料理が並べられて、サトリも合流したドクも待ちきれない様子だ。
「悪い悪い。じゃあ、みんな手を合わせて」
「手を?」
「うん。こうやって手を合わせるの。私たちの糧になってくれるご飯すべてに感謝するために」
これまた戸惑う少女に料理への感謝のため手を合わせて見せるサトリ。少女もそれに倣う。
「では、いただきます!」
「いただきます!」
みんなが口を揃える。しかし、言い終わるよりも先に箸を伸ばすサトリ。
「春巻き、いただき!」
「あっ、僕も狙ってたのに!」
食べ始めるや否や賑やかなサトリとドク。少女はその光景を見て圧倒されている。それに気づいたハクバは少女に問いかける。
「賑やかですまないな。何か食べたいものはあるかい?」
「いえ。こういった食事は初めてで……。どんな味かもわからなくて……」
「なら、俺と同じものを食べよう。まずは点心からだな」
と、せいろから蒸し餃子をいくつかピックアップして少女に渡す。
「熱いから気をつけてな」
「……ありがとうございます」
ひとつの蒸し餃子をフォークできれいに切り分け、小さな口へと運ぶ。
「おいしい! これは何ですか?」
初めての味覚にキラキラと瞳を輝かせる少女。ハクバも満足そうに笑う。
「美味いだろう? これは、豚肉をこねて小麦粉の皮で包んだものを蒸しているんだ」
「豚さんって生きものの……」
「うん? ああ、そうだよ。俺たちは生きものの命をもらって生きている。だから、さっきみたいに……」
「感謝するのですね。いただきます、と」
「気になるかい?」
「いえ。私も食べなければ生きていけません。ですが、やはり私には知らないことが多すぎる。そう思ったのです」
「そうか。じゃあ、いろんなものを食べたほうがいいな。そうすれば、もっとその意味がわかるだろうから」
「はい」
笑顔を見せた少女が、ふた口目を口に運ぶ。
ホノルルにある黒の騎士団本部の司令室。インディラが現地の黒の騎士団員と連絡を取っている。
「事件の関係者と思われる人間はすべて収監が完了しました。全員がブリタニア人のようです。おそらく本部を襲った奴らと同一のグループかと」
「やはり例の連中か」
「これからひとりずつ尋問を行いますので、そのつながりは見えてくると思います。ただ、指揮官と思われる人間が自殺しているんで、少し骨が折れそうです」
「わかった。元ブリタニア帝国軍に詳しいメンバーにもそちらに行ってもらう。それまで頑張ってくれ」
「了解です」
団員と通信を切って一息つくインディラ。そこにコーヒーを差し入れるゼロ。
「例の連中を一網打尽にできたようだな」
「はい。と、いっても黒の騎士団が駆け付けた頃には、連中は這う這うの体でしたけどね。どうやらイザヨイのエージェントがやってくれたようです」
コーヒーを受け取りつつ、現状説明を行うインディラ。
「そうか。で、彼らの目的は?」
「依然として不明のままです。もう少し調べてみないと」
「まだ事件は解決していない、か」
戻って、香港のレストラン。
「あっ、そうだ」
雲吞麺をすすっていたハクバが何かを思い出したように切り出す。
「肝心なことを聞き忘れていた」
「ようやく本題?」
「いや、名前。ホノルルで会った時も君たちの名前を聞きそびれていたからさ」
「名前……、そう言えばそうね」
レディ・レディも名乗っていなかったことを思い出す。
「私はレディ・レディ。もうわかってると思うけど、ピースマークの人間よ。で、彼女は……」
「M」
「M?」
聞きなれない記号のような名前に思わず聞き返すハクバ。
「はい。私のことはMとお呼びください。ミスター・ハクバ」
「わかった。では、M」
隣にいるMに向き直るハクバ。
「俺たちと一緒に日本に来てくれないか?」
ep.14 END
【コードギアス 新潔のアルマリア】
-特別エピソード-
-本編-
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オズやマリー、業火白炎について詳しくは…
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