HOME記事スケールモデル戦後日本初の超音速ジェット練習機「T-2 高等練習機」とは? 空自のジェット運用を確立した本機をハセガワのキットとともにご紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】

戦後日本初の超音速ジェット練習機「T-2 高等練習機」とは? 空自のジェット運用を確立した本機をハセガワのキットとともにご紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】

2026.01.12

いまさら聞けないすごいヤツ!!/T-2 高等練習機●宮永忠将、大森記詩 月刊ホビージャパン2026年2月号(12月25日発売)

いまさら聞けないすごいヤツ!!

 T-2 高等練習機 

イラスト/大森記詩

 「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクッと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。今回は航空自衛隊において「国産機で超音速訓練体系を築く」との政策決定のもと、三菱重工業を主契約者とした超音速ジェット高等練習機の開発計画で誕生した「T-2」をピックアップします。


T-2 高等練習機

全幅/7.88m
全長/17.85m
全備重量/9690kg

エンジン/IHI TF40-IHI-801A×2基
最高速度/マッハ1.6
航続距離/2600km


自衛隊飛行教導隊 新田原基地

T-2-高等練習機左側面イラスト
T-2-高等練習機上面イラスト
T-2-高等練習機下面イラスト

T-2 高等練習機

解説/宮永忠将

第4航空団21飛行隊 戦技研究班“ブルーインパルス”

T-2-高等練習機右側面イラスト
▲このカラーリングは、1981年(昭和56年)、一般公募でT-2によるブルーインパルスのデザイン最終審査が行われ、都立高校の女子高生4人組の案が採用されたもの

 戦後初の国産設計超音速ジェット 

 1960年代、超音速のF-104J戦闘機の導入によって、航空自衛隊の迎撃戦闘能力は飛躍した。ところがこれに対応できる高等練習機がないことが問題になった。国産のT-1練習機は超音速ではないため、どうしてもあと一歩が足りない。そこで最終的に「国産機で超音速訓練体系を築く」との政策決定のもと、三菱重工業を主契約者とした超音速ジェット高等練習機の開発計画が始動したのだ。
 未知の挑戦となる開発であるが、なかでも心臓部のエンジン選定に難航した。これは最終的にロールス・ロイス=チュルボメカ製のアドーアMk.102のライセンスで決着した。しかし、このエンジンは歴史が浅く、設計変更が繰り返されたために、製造担当の石川島播磨重工(現在のIHI)では、ロールス・ロイスとの協議のもとで、日本独自の改善策を講じて問題を解決した。関連する取り組みはIHIのみならず、耐熱合金、精密加工など、国産サプライチェーン全体での「超音速エンジンの国内生産体制」を確立する貴重な経験となった。
 設計面では、高翼配置で面積が極端に小さい主翼など、F-104スターファイターの影響がはっきり表れている。これは余剰推力を利用して超音速での高G旋回を追求するというF-104の設計思想を踏襲したもので、同機への機種転換を目的とした高等練習機としては自然な選択だろう。ただ、F-104のT型尾翼には迎え角次第で主翼の後流渦に尾翼が丸ごと隠れて、降舵が利かなくなる問題点があり、これはT-2では完全に改正されている。

 空自のジェット運用を確立した名機 

 1975年に制式化されたT-2高等練習機は、戦後日本初の超音速ジェット練習機として、航空自衛隊でのジェット教育体系を確立した。高速飛行時の計器飛行や、編隊飛行、攻撃時の基本動作、高速低空飛行での操縦限界など難易度が高い訓練がプログラム化できるようになったのだ。その効果として、主目的であるF-104Jへの機種転換訓練はもちろんのこと、後のF-4ファントムIIやF-15イーグルの導入もスムーズになった。
 T-2の総生産数は、1988年の最終発注まで合計96機である。まず1976年にT-2に転換した松島の第21飛行隊が、上級課程の仕上げと要撃、支援戦闘部隊への転換教育を担った。続いて第22飛行隊も受け皿となり、1981年創設の飛行教導隊は、T-2を使って異機種空戦訓練の仮想敵役を担った。この時期にはブルーインパルスもT-2に更新されている。このようにT-2高等練習機は教育だけでなく、部隊戦術や広報などの幅広い領域で空自機の中核を担い、関連部隊の質を向上させた。
 T-2のブルーでの活動は1995年で終了と、比較的短いが、この頃から部隊でも老朽機から退役が始まっていた。そして2006年3月にはT-2高等練習機は全機退役している。比較的、現役期間が短い練習機であったが、本機をベースとした技術は国産支援戦闘機の三菱F-1などに継承され、また高機動実験用航空機T-2 CCVのベース機となるなど、今日の空自の伝統に継承されている。


飛行教導隊


 飛行教導隊は、仮想敵であるソ連機への対処能力を研究すると同時に、空自の各部隊と実戦を想定した高度な演習を交えて高い技量を練成する「アグレッサー」部隊として、1981年に創設された。拠点は宮崎の新田原基地で、T-2を装備した全国巡回による戦技研究が、この部隊によって確立された。異機種空戦訓練(DACT:Dissimilar Air Combat Training)の機体としてT-2が選ばれたのは、仮想敵のMiG-21戦闘機に近いサイズと運動性であったことが挙げられる。もっとも、ソ連軍戦闘機の高度化にともない、1990年12月には装備機がF-15J/JDに更新されて、T-2は飛行教導隊から外されている。


 ハセガワの定番として長年愛されている本キット。凸凹併用のモールド、シンプルなモールドなど今の目で見ると少々寂しいところもありますが、安価ですぐ形になるとても組み立てやすいプラモデルです。

ハセガワ「1/72-航空自衛隊-三菱-T-2」ランナー
▲細かなパーツは一切無し。およそ1時間ほどで形になるボリューム
ハセガワ「1/72-航空自衛隊-三菱-T-2」胴体パーツ
▲左右割の胴体には、主に凸モールドでパネルラインが表現されている
ハセガワ「1/72-航空自衛隊-三菱-T-2」主翼パーツ
▲主翼は1パーツ成型。胴体の上から被せるように接着する
ハセガワ「1/72 航空自衛隊 三菱 T-2」アクセサリーパーツ
▲増槽やパイロットなどのアクセサリーも付属
ハセガワ「1/72-航空自衛隊-三菱-T-2」素組み
▲完成後のシルエットはとても美しい。全長約24cmのボリュームもうれしい
ハセガワ「1/72-航空自衛隊-三菱-T-2」パッケージ

1/72 航空自衛隊 三菱 T-2

●発売元/ハセガワ●1100円、発売中●1/72、約24cm●プラキット


\この記事が気に入った方はこちらもチェック!!/

 国産ジェット練習機 

国産初のジェット練習機「T-1 中等練習機」とは? 航空自衛隊の操縦士育成に活躍した本機をプラッツのキットとともに紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】 

T-1 中等練習機 イラスト/大森記詩 「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などの[…]

 貴重な航空遺産 

[里帰り記念] 立川キ-54 一式双発高等練習機を丁寧に製作 1/72スケールで日本機らしい柔らかなフォルムをみごとに再現

十和田湖から浮上した貴重な航空遺産 2012年に青森県の十和田湖から引き揚げられ、2016年には日本航空協会から重要航空遺産に認定、2021年11月には東京の立川で里帰り展示が行われた[…]

この記事が気に入ったらシェアしてください!

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2026年2月号

ご購入はこちら

零戦模型製作の教科書2.0

ご購入はこちら

名機100選 航空模型百科全書

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー