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[里帰り記念] 立川キ-54 一式双発高等練習機を丁寧に製作 1/72スケールで日本機らしい柔らかなフォルムをみごとに再現

2023.01.21

立川 一式双発高等練習機 丙型【スペシャルホビー 1/72】 月刊ホビージャパン2023年2月号(12月23日発売)

十和田湖から浮上した貴重な航空遺産

 2012年に青森県の十和田湖から引き揚げられ、2016年には日本航空協会から重要航空遺産に認定、2021年11月には東京の立川で里帰り展示が行われた立川キ-54 一式双発高等練習機(一式高練)。操縦・航法練習、通信・爆撃・射撃練習、そして人員輸送など多目的に運用され、終戦後も残存機の一部は中国内戦やインドシナ戦争でも使用された。戦闘任務ではないマイナー機ゆえ、今回のスペシャルホビーの1/72スケールが初のインジェクションキット化となるが、日本機らしい柔和なスタイリングをみごとに再現。現存する航空遺産のモデル化に感謝と感激のモデリング!

▲立川飛行機が設計・製造したキ-54一式高練は、昭和15(1940)年に初飛行。汎用性が高く、昭和20(1945)年6月までに甲、乙、丙、丁の4型式、さらに民間型Y-39輸送機も加え、合計1342機が生産されるヒット作となった
▲十和田湖から引き上げられた一式高練(製造番号5541)は飛行第38戦隊所属で、昭和18年(1943年)9月27日に不時着水し水没した機体。キットは丙型だが、実機は胴体上部に天測用の透明ドームがある甲型とされる
▲スペシャルホビーのキットは、胴体内に2列の座席を設けた人員輸送型の丙型をモデル化。操縦席はもちろん、胴体内部の座席やなどもきちんと再現。なお同社からは「立川 一式双発高等練習機 乙型“射撃練習機”」も発売中
▲機首上面。完成するとよく見えないが、コクピット内部はハンドル型の操縦桿、スロットルコラム、シートなどがていねいに再現されている
▲胴体左側面。日の丸の前の乗降ドアは開閉選択式で、その下部には乗降用のステップがある。上部の信号灯は小さめに作り直した
▲右主翼。前縁の着陸灯、翼端灯はともにキットパーツを置き換え。ピトー管もボックスアートのように丁字型のものに作り変えた
▲尾部。垂直尾翼には飛行第38戦隊の部隊章を描く。デカールには垂直安定板と胴体に貼る製造番号「5541」も用意されている
▲胴体右側面。日本機らしい柔らかな曲線で構成された癒やしのフォルムをみごとに再現。本文でも述べているように、前部キャノピーや側面の窓などのクリアーパーツの取り付けには注意が必要だ

■実機について
 2012年に引き揚げられたキ-54は三沢航空科学館で長らく展示されていましたが、2021年11月、この機体を生産した立川航空機の後身、立飛ホールディングに譲渡され、これを機に同月25日から28日まで、東京の立川で一般公開されました。この公開には4日間で3000人以上の見学があり、入場制限がかかるほど賑わったそうです。私も行きたかったのですが、コロナによる行動制限がかかっている折、大阪から立川まで行くにはリスクありと判断し、やむなく諦めました。そんなところに、タイミングよくスペシャルホビーからKi-54キットの発売です。さっそくとびついての製作開始です。
 スペシャルホビーのキットは丙型としていますが、引き揚げ機の展示場では甲型と説明しています。丙型であれば輸送機型、甲型であれば操縦・航法練習機型ですが、いずれにしても外形上は差異がないのかもしれません。

■組み立て
 スペシャルホビーのキットはパーツの合いが今ひとつとの印象を持っていましたが、このキットもスンナリとはいきませんでした。以下は、修正作業と追加工作した内容です。
 キャノピーの高さはいいのですが、幅が胴体幅に比べて若干狭く、胴体と段差ができます。一番目に付くモデルの顔なので、段差ができる箇所の胴体側を少し削り、キャノピー後端と下端のフレームにパテを盛って、なんとか見られるようにしました。
 キャノピー前端と機首胴体上面との合いが悪く、比較的大きな隙間ができます。機首上面が平坦過ぎることもあるので、修正はタミヤの光硬化パテで隙間を埋め、、さらに機首上面にもパテを盛って、硬化後に整形。光硬化パテは硬化するのが早く、カッターナイフでサクサクと切削できて作業が捗るので、最近はもっぱら重宝して使っています。
 上面パーツと下面パーツを接着した主翼は、胴体フィレット部との合いが今ひとつで、主翼の上半角が不足するので、胴体側と主翼側それぞれの接着面を削って、上半角を確保する必要があります。
 クリアーパーツの窓は、胴体内側から接着できるノリシロ部分がありません。サラサラタイプの接着剤を細筆に含ませて、窓を汚さないよう慎重に接着しますが、作例では事前に窓周辺を塗装してから接着しました。事後に塗装すると、個々の窓のマスキングする際に力が加わって窓が胴体内側に落ちる危険があります。
 着陸灯の前縁カバーはクリアーパーツが用意されていますが、パーツの厚みが実感を損ねているので、0.3mm厚の塩ビ板を熱して前縁に押し付け、型取りしたものに置き換えています。翼端灯もカッティングエッジのクリアーライトに置き換え、厚みのある翼端付近ともどもヤスって整形しました。尾灯はゼリータイプの瞬間接着剤を盛って、硬化後に整形しました。
 三沢航空科学館の展示に「信号灯」と説明された電球のカバーをネット画像で見ましたが、並べて置かれた翼端灯カバーとの比較すると、これを表現したキットの突起モールドは大き過ぎます。いったん削り取って、カッティングエッジの小さめのクリアーライトを接着、カッターナイフとペーパーでさらに小さく整形しましたが、もう少し大きくてもよかったかなと思います。
 アンテナ支柱は比較的長めですが、プラの支柱では強度が不安なので、0.6mm径の銅パイプを潰したものを、機内の床にまで差し込んで固定しています。
 ピトー管はキットでは直線型のものが用意されていますが、実際はボックスアートのように蛇が鎌首をもたげたタイプです。下部は真鍮パイプ、上部はプラ棒で作りました。
 プロペラのシャフトは長さが1mmしかなく、エンジンに差し込んで接着しますが、作例では「貼ってはがせるのり」で仮接着しました。プロペラは少し厚めなので、裏表の両側から削って薄くしています。

■塗装
 塗装はもちろん、十和田湖から引き上げられた飛行第38戦隊の5541号機です。
 下地にサーフェイサーを吹いて細かいキズをチェックした後、Mr.カラーC128灰緑色を吹き付け。主翼前縁の味方識別帯、垂直尾翼上部はマスキングしてホワイトを吹きつけた後、Mr.カラーC85黄橙色を塗ります。
 日の丸はデカールを使わず、丸く切り抜いたマスキングテープを貼り付け、ホワイト、レッドの順で塗り分け。戦隊マークはデカール使用ですが、日の丸のように極力マスキングして塗装するほうが、スミ入れの際デカールに配慮しなくてすみます。
 スミ入れはタミヤのスミ入れ塗料(ダークブラウン)です。このダークブラウンは、ブラックとブラウンのややブラック寄りの中間色で、スミ入れには最適だと私は思っています。スミ入れの後は、タミヤのウェザリングマスターのサンド、マッド、ススなどで控えめに汚しをかけています。

■終わりに
 キ-54は、ふっくらした胴体などいかにも日本機らしい柔和なスタイリングの機体です。連合軍のコードネームは「ヒッコリー」(くるみ)、うまく名付けたものだと思います。

スペシャルホビー 1/72スケール プラスチックキット

立川 一式双発高等練習機 丙型

製作・文/和田縉市朗

立川 一式双発高等練習機 丙型
●発売元/スペシャルホビー、販売元/ビーバーコーポレーション●3520円、発売中●1/72、約16.6cm●プラキット

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和田縉市朗(ワダシンイチロウ)

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