【コードギアス 新潔のアルマリア】ep09「今度こそにがしはしない」
2025.09.06 父の死から4年。
故郷から遠く離れた合衆国中華の地で、グラナードが行った蛮行を語った。イワンを含む全員がサトリの話を聞いている。
「グラナードがサトリのお父さんを……」
ドクが沈痛な面持ちを浮かべるのに反して、ハクバはこのミッションであった一連の襲撃について思考を巡らせる。
「そのグラナードという男がピュアエレメンツGを追っていたのか。なら、鎌倉やホノルルで仕掛けてきた奴らがブリタニア人ばかりだったのにも合点がいく」
「あいつがピュアエレメンツGを……。そっか、それなら……」
「そっか。あいつがピュアエレメンツGを追っているのなら……」と、サトリも別のことを考える。
「おい、サトリ。妙なことを考えてたりしないだろうな?」
「妙なことって何?」
「任務にかこつけて、親父さんの仇を討とうなんざ考えちゃいないだろうな、って意味だ」
「なんで考えちゃ駄目なの?」
「サトリ、お前……」
「グラナードは、私の目の前でパパを殺した奴なんだよ? そんな奴を放っておけるわけないじゃない!」
「落ち着け。俺たちの使命は人々の平和を脅かす脅威を排除することだ。私情をはさむべきじゃあ……」
「私情? そんなのハクバに言う権利ある?」
サトリの目がハクバの左腕に巻かれた可愛らしい柄の布を見る。
「ハクバはこの仕事自体が復讐みたいなものじゃない! そんな人に……」
「サトリ!」
ハクバに向ける言葉を遮ったのはドク。
「駄目だ。それ以上のことを言うのなら僕はもうサトリとは一緒に仕事ができなくなる。人の大事な部分に土足で踏み込むような真似をする人間とは組めない」
「っ!」
ドクの言葉に我に返るサトリ。冷静になってハクバの顔を見る。その表情は変わらない。変わらないが、その瞳の奥には確かな悲しみがある。
「ご、ごめ……。私、なんてことを……」
「いい。気にするな、サトリ。俺は……」
ハクバの優しさがかえってサトリの自責の念を高める。
「私、頭冷やしてくる……」
逃げるように部屋を飛び出すサトリ。ハクバがそのあとを追いかけようとするが、オルフェウスに止められる。
「あんたは行かないほうがいいだろうな」
「大丈夫。私に任せて」
優しく微笑んで見せるマリーベルが、ハクバの代わりにと部屋を出ていく。
フィリンピン海を進む潜水艦。オペレーターがグラナードに広州到着を報せる。
「グラナード将軍、間もなく目標地点です」
「では、浮上しつつ、高速艇を出せ。俺も調整の終わったプロブディフで出る」
「イエス、マイロード」
静まり返ったオルフェウスの拠点。珍しくハクバがソファで項垂れている。
「サトリの親父さんのことは知っていたのに、その仇とここでつながるとは……。やっちまった……」
「ハクバ……」
見たことのないハクバの落ち込みにドクはどう声をかけていいかわからない。代わりに事態を静観していたオルフェウスが口を開く。
「ミスター・ハクバ。さっきの様子だと、あんたも大切な人を失ったと見受けるが?」
「……ああ。俺も大戦中に失った。妻と娘を……」
ハクバが自分の左腕に巻いたスカーフにそっと触れる。
「なら、彼女の気持ちもわかるだろう。大切な人を失うのは、自分の半身を失うようなものだ」
「わかっているさ。自分に必要なものがごっそりと奪われた感覚。何をしたって埋まらない感覚。それゆえに足掻いて、苦しんで、復讐したいという怒りに身を任せたくなる気持ちだって理解できる。だから、俺は復讐を否定なんてしちゃいない」
「だったら、どうしてさっきは……」
「復讐は代償を伴う」
「……」
オルフェウスにはハクバの言葉の意味が理解できる。彼自身、最愛の恋人エウリアの仇を討つためにブリタニアの特殊部隊であるプルートーンへと復讐を行った。その復讐の先に今があるからだ。
「復讐は我を通すということだ。我を通すということは簡単なことじゃない。意志も力も、覚悟だって必要だ。それらをもってしても……」とハクバ。
「失うものも多い、か。確かにあんたの言う通りだな。あんたは彼女に失って欲しくないんだな」
「サトリは若い。この平和になった世界ならなんだって出来る。だが、復讐に染まったらそれも出来なくなる」
ハクバの言葉を、目の前のオルフェウスも、少し離れたところに立つドクも、つながれたままのイワンも聞いている。
「ミスター・ハクバ。あんたは過保護過ぎる。彼女もひとりの人間だ」
「っ……」
オルフェウスの言葉が心に深く刺さる。ハクバ自身、その自覚があったからだ。
「彼女の意思に他人は口出しできないぞ。たとえ、あんたでもな」
「……わかったよ。サトリが戻ってきたらちゃんと話してみる。頭ごなしに否定せずにな」
「それがいい」
「オルフェウス……。あんた、意外とお節介焼きなんだな」
「ふっ。性分でね……」
その時、ドクのタブレットがけたたましい音を立てる。トレーラーのセンサーシステムと連動しているアプリが接近するナイトメアの熱源を感知したのだ。
「これは……、ナイトメアだ! ナイトメアの部隊が接近してる!」
「なんだって!?」
グラナードの部隊のサザーランドを乗せた高速艇が、オルフェウスの拠点に真っ直ぐに向かっていた。
ep.09 END
【コードギアス 新潔のアルマリア】
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