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【コードギアス新潔のアルマリア】ep.07「どこにいるか見つけださないと」

2025.07.04

コードギアス新潔のアルマリア●長月文弥　月刊ホビージャパン2025年8月号（6月25日発売）

　広州のハイウェイを走るハクバたちのナイトメアトレーラー。

「元ナイトオブラウンズの工房主任かぁ。あとで話を聞けるかなぁ」

　オタク感を丸出しで機嫌よく運転しているドク。その一方、荷台では、後ろ手に拘束されたイワンが状況を飲み込めずに怯えていた。

「お、お前たちは何者だ？私の何が望みだ？」

「そんなに怯えないでくださいよ。危害を加えるつもりはありません。俺たちはあなたにちょいと聞きたいことがあるだけです」

「聞きたいこと？」

「こいつのことです」

　ハクバがタブレットに映した黒いグレン型のナイトメアを見せる。

「これは、ピュアエレメンツG……」

「ピュアエレメンツG？やはり、こいつを作ったのはあなたなんだな？」

「そ、それは……」

「隠そうたって駄目。この黒いグレン型はあなたが作ったナイトメアなの？」

　ハクバを押しのけて、サトリがイワンの瞳を覗き込む。その左目が妖しく煌めく。

「それは……、そうだ。私がエイトエレメンツGをコピーして作った機体……あれ？」

「やっぱり」

「じゃあ、この黒いグレン型……、ピュアエレメンツGに乗っているのは誰だ？どうしていろんなところで暴れまわる？」

　イワンを見つめるサトリの後ろからハクバが聞く。

「し、知らない。その機体は盗まれたんだ！」

「盗まれた？誰に？」

「それは……」

　イワンが答えようとした瞬間、トレーラーが大きく揺れる。

「うわあっ！」

「きゃっ！」

「ドク、何があった？」

　衝撃にイワンとサトリが驚くなか、ハクバは耳のインカムに手を当て、運転席のドクに聞く。

「敵襲だ。鋼髏ガン・ルゥが追ってきてる！」

「さっきのやつらか……。わかった。俺が片付ける」

　ハクバはドクに後部ハッチを開くように指示すると、荷台の新月に向かう。

「博士を頼むぞ、サトリ」

「ラジャ！」

　片側三車線の高速道路。三機の鋼髏が狩りをするようにトレーラーを追いかけている。

「撃つのはいいけどイワンの奴を殺すなよ。ボスに俺たちが殺されちまう」

「わかってるよ」

　コックピットの黒服がトレーラーの後輪に照準を合わせる。停車させてイワンを取り返す算段だ。しかし、その前にトレーラーのハッチが開いて新月が飛び出してくる。

「ナイトメア!?」

「聞いてないぞ、こんなの！」

　驚いて走り方が乱れる鋼髏の間を縫うように走行する新月。その通り抜け様に展開した統合兵装の刃で脚の付け根を切り裂く。

「うわあっ！」

　片足を失った鋼髏はバランスを崩して転倒し、置いていかれる。旧中華連邦時代の主力兵器だった鋼髏だが、他国に比べて非常に技術力に劣っていて姿勢制御もままならない。片脚を失っての高速移動など無理もいいところだった。

「黒の騎士団だったのかよ！」

　腕代わりに装備された二本の機銃で新月に砲撃する二機目の鋼髏。しかし、それをブレイズ・ルミナスで防ぐと、一気に近づいて両腕を切り落とし、さらに腰を薙いで沈黙させる。

「駄目だ！相手にならねぇ！こうなったらイワンだけでも！」

　仲間がやられている隙を突いて、トレーラーへと向かう最後の鋼髏。

「悪あがきを……」

　ハクバが新月を転進させて追おうとした瞬間、トレーラーに向かっていた鋼髏が爆散する。

「なに!?」

　新月のほうに飛んできた鋼髏のハッチが開き、黒服が飛び出してくる。

「うわあっ！もう一機いたのか！」

「もう一機？」

　ハクバが見ると、停車したトレーラーの真横で鋼髏の起こした爆炎の煙の奥に何かが見える。

「あのナイトメアは……」

　ゆっくりと煙の奥から姿を現したナイトメアには、ハクバも見覚えがあった。しかし、それはあくまで資料の中だけ。実物を目にしたのはこれが初めて。異形の両腕を持つ白い装甲のナイトメアフレームの名は……。

「業火白炎ごうかびゃくえん」

　ピースマークの伝説のエージェントと謳われた“オズ”の乗機である。

　開いたトレーラーの後部ハッチから業火白炎を見るサトリとイワン。

「今度は白い紅蓮？」

「いや。あれは白炎だ。ピースマーク最強のエージェント、オズの乗機」

　その伝説の機体を自分の目で見ようと運転席から来たドクが答える。

「オズ……」

「あ、あれは……、ファントム。あの時と同じだ……」

「あの時？もしかしてピュアエレメンツGを盗んだのって……」

　業火白炎の姿を見て震えるイワンに気づいたサトリが聞く。

「ああ。あのファントムだ」

　イワンの視線の先にいるのは業火白炎。ファントムとはそのパイロットを指しているのだろう。

　業火白炎と対峙する新月。

「白炎だって？冗談言いっこなしだぜ」

　ハクバは、相手の出方がわからない以上、ゆっくり戦闘態勢をとる。

「だって、あんた死んだはずだろう」

　ハクバの言葉に応えるように業火白炎もゆっくりと戦闘態勢をとる。

「ピースマークのオズ！」