HOME記事完成品TOY開発秘話&注目ポイントを語る!!「超合金魂 GX-115 新幹線変形ロボ シンカリオン E5はやぶさ」商品企画・者寺野彰と設計担当・元木博行による商品化記念インタビュー!

開発秘話&注目ポイントを語る!!「超合金魂 GX-115 新幹線変形ロボ シンカリオン E5はやぶさ」商品企画・者寺野彰と設計担当・元木博行による商品化記念インタビュー!

2025.05.28

超合金の魂【BANDAI SPIRITS】 月刊ホビージャパン2025年7月号(5月23日発売)

超合金魂 GX-115
新幹線変形ロボ シンカリオン
E5はやぶさ

商品化記念インタビュー



BANDAI SPIRITS
寺野 彰
×
T-REX
元木博行



「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」インタビューTOP画

 本記事では、「超合金魂GX-115 新幹線変形ロボ シンカリオン E5はやぶさ」の商品企画を手掛けたBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の寺野彰氏と、設計を担当したT-REXの元木博行氏をお呼びした。気になる開発経緯のエピソードや商品のセールスポイントを語っていただいた。

寺野彰(てらの・あきら)

 大阪府出身。2005年にバンプレストに入社し、2011年株式会社バンダイに転籍。コレクターズ事業部に配属され、超合金シリーズやMETAL BUILD.等を手掛ける。2020年からバンダイ トイディビジョン ブランドデザイン部にて「スーパー戦隊シリーズ」を担当し、2023年に再びコレクターズ事業部に戻り、今回のシンカリオンなど超合金を担当。

元木博行(もとき・ひろゆき)

 埼玉県出身。コナミの「アムドライバー」シリーズでプロデビュー。2008年に独立して株式会社T-REXを立ち上げる。BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部では、DX超合金やHI-METAL Rでマクロスシリーズを担当。ほかにもROBOT魂ver.A.N.I.M.E.やMETAL BUILD等を手掛ける。

※画像はイメージです。実際の商品とは異なる場合がございます。


設計する側としては、何度も弄ってほしいので
遊びやすさを追求しました

──「超合金魂 GX-115 新幹線変形ロボ シンカリオン E5はやぶさ」の開発経緯についてお聞かせください。

寺野 よくBANDAI SPIRITSとタカラトミーさんが以前行ったコラボレーション企画『Dream Together Project』の一環なんじゃないかと勘違いされるのですが、この商品に関しては『シンカリオン』の製作委員会から「超合金でやっていただけないか?」とオファーをいただいて実現した企画です。もちろんオファーする経緯のひとつとして『Dream Together Project』の時に出した「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」の実績があったのでしょう。製作委員会から「今、BANDAI SPIRITSに商品化してほしい」と言われて我々のほうも驚きました。その時、連絡を受けたのは「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」の開発チームなのですが、僕が超合金でシンカリオンをやりたいと手を上げて担当者になりました。ただプラレール版のシンカリオンは、プラレールのデフォルメを基に子供用に開発されているのでハイターゲット層向けの超合金魂として開発するとなると、変形機構はまったく新しい変形機構を考えなければならない。だからイチから考える必要が出てきて、どういう風に構成がなされているのか想定しておこうと思って、タカラトミーさんと相談した時、新幹線の側面の絵に(変形時に)装甲が割れているであろう部分に目論見をつけたり、普段の提案よりも具体的な資料を作って持っていきました。

──T-REXの元木博行さんに頼んだ理由は?

寺野 まずやりたかったのはテレビアニメ劇中でやっていることはなるべくできるようにしたい。そう考えた時にDX超合金の「マクロスシリーズ」で複雑な変形機構をこなしているので、ハイターゲット向けの商品を作るならば元木さんだとオファーした流れです。

元木 T-REXとして寺野さんと一緒に仕事をしていますが、ご指名を受けたのは久しぶりですね。最初にうちに来られた時に驚いたのは、すでにシンカリオンの変形機構について検証をされていて、台座もシンカリオンモードとシンカンセンモードで両方飾れるように考えられていました。

──最初の打ち合わせでどういうことを話されたのですか?

元木 新幹線だと細くまとまって見えるのですが、いざロボットに変形させると思った以上に大きくなるのです。だからロボット形態の想定合わせで、新幹線のサイズが決まりました。最初、寺野さんの希望のサイズがありましたが内部機構やヒンジの量を考えると最低限はこうなりますと検討する段階で、現在のサイズになったんです。

寺野 最初は全高22cmでお願いしたのですが具体的に設計を始めると、2回ほどサイズ変更を経て最終的には約26cmとなりました。

元木 シンカンセンモードに関して最初、寺野さんから「リアルフォルムそのままだと無理があるだろうから多少は新幹線のバランスは変更を検討していい」とおっしゃってくれたのですが、最初の試作は一発目というのもあり、意地でそのまま作りました。あと、新幹線ファンの方にとって、どこまでデザインを弄っていいのかわからなかったのもあり、なるべく形を変えないようにしようと頑張ったというのもありましたね。
 それと変形シークエンスも再現したいとおっしゃられていたので、資料やデータを確認したのですが、太モモとスネの間が妙に伸びているんです。とはいっても、ただつながっていればいいって問題じゃないなと思ってその都度、変形シークエンスはこうなっているが商品はこうしてくれませんかと相談しました。

寺野 元木さんに試作品を作ってもらって、変形シークエンスで伸びている箇所って、あまり変形に意味がないところがあることがわかりました。

元木 まずは変形シークエンスを解析するところから始まりました。コマ送りしてみて機能的に必要なものと演出的に必要なものがあり、変形に影響がない箇所はオミットさせてもらいました。あと、変形完了後に自然とかっこいい変形位置にできるよう調整してほしい、とのオーダーもありました。

寺野 具体的にはシンカリオンの設定画って、どの立ち姿も新幹線部分が水平な状態で首が腰よりも後ろにあるので、S字立ちにしてくださいということです。

元木 関節の軸の角度でS字立ちになるようにしてくださいというオーダーなのでこっちからすると関節で曲げればいいじゃない? と思いましたが遊びやすさの観点からいうと、変形させたらそのポーズになっているというのは確かにかっこいいんですよね。

「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」新幹線のノーズ部分
▲︎頭部と腹部にヒンジが入るのが確認できる。これにより、頭部が新幹線のノーズ部分に来るようになっているのがわかる
「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」た変形シークエンスの完了
▲︎インタビューで出ていた変形シークエンスの完了後の状態である。S字の立ちポーズになるように腰周りに調整がされている

寺野 ユーザーさん全員、ポージングが上手いわけじゃないですからね。なるべく変形させたら、すぐにかっこいいものがあるというのが理想ですよね。とりあえず一発目の試作は完全変形で元木さんにお願いいたしました。

元木 遊びやすいか否かは置いておいて、まずは完全変形を作って出力させてもらって、それを見てからのスタートでしたね。

──つまり卓上案で諦めたわけではなく、実際にちゃんと完全変形版を作ったんですか?

元木 えぇ、完全変形するシンカリオンを作りました。それで寺野さんにこうなりますと見せてから、どういう仕様にしようか検討した流れです。

寺野 だから元木さんが僕に完全変形を諦めさせてからが本当の開発スタートになります。やはり完全変形を再現すると新幹線の外装にメチャクチャ関節が露出してしまうし、遠く離れてしまうパーツを寄せるためのヒンジを何個も入れて折り畳まないといけないので、結果的にかなり遊びにくくなるんです。

──第1試作を経て製品版では付け替え変形となったわけですが、公式の変形PVだと付け替え変形を隠していませんでしたね。

寺野 付け替え変形が発生するのはわかっていましたし、ユーザーさんに「完全変形じゃない」と言われるのも想定していましたけど、そこを隠すのも詐欺みたいだなと思い、外れるところは見せようとあの動画を出したんです。

元木 設計する側としても何回も遊んでほしいので遊びやすさを追求しました。完全変形版は、自分が作りましたが、試作品第1号の完全変形版はもう変形させる自信ないですよ。多重ヒンジが入っているパーツが壊れそうで怖いんですよね。

寺野 完全変形版は、一手間違えると破損しますからね。試作品を見た時、「もっとこうすれば良くなるんじゃないですか」という意見を出すのが僕の仕事なのですが、完全変形版の時は改善案が思い浮かばず何も言えなかったですね。

──開発する際に作ってみて最大のネックはなんでしたか?

元木 一番大変だったのは肩部でしたね。

寺野 位置を入れ替えできないんですよね。デザイン上、肩は車体の後ろに付けなきゃいけないんです。胸が先頭って決まっていて、頭が間にあるのは決まっていました。さらに中に頭部が入っているので頭の脇にアームを入れられないんですよね。

「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」車両の中間部で前部と後部を止める
「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」車両の中間部で前部と後部を止める2
「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」車両の中間部で前部と後部を止める3
「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」車両の中間部で前部と後部を止める4

▲ロボ時のスタイルを再現するために、車両の中間部で前部と後部を止めることで形をまとめている。また、肩下の段差はモールドで表現

元木 足の外装に関しても最初は多重ヒンジでの変形にしていますが、結構挑戦していますね。畳み方はヒンジを短くして小さくしようとしたりと、いろいろ提案しました。途中から折り重ね方は何が正解なのかだんだんとわらなくなりました。最終的に寺野さんがこれでいいとおっしゃられて今の状態になっています。

寺野 サイズに関しては弊社の設計チームに頼んだとしても26cmでもピーキー過ぎる。まともに作るとなるとHOゲージサイズで、みたいな話にはなったんだろうなとは思っています。ただあまり大きすぎるとロボ時の自重問題も発生しちゃうんですよね。別の関節強度を上げなきゃいけなくなっちゃうんです。あと、ハンドパーツの5指可動に関しては僕のオーダーではなく、元木さんの押し売りですね!

「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」肩を構成するシンカンセンモードの後部部分
▲シンカリオンの肩を構成するシンカンセンモードの後部部分。腕に変形するパーツが詰まっており、密度があることが確認できる

元木 他のアイテムにも入れてる機構ですし、そこはサイズ確認していけるんじゃないかなと提案しました。せっかくなのでフルで動かしたいというのがありました。ハンドパーツがいっぱいついているよりは、一種類でいろいろ遊べたほうがいいかなって思ったんです。ハンドパーツ以外にもいろいろと機構を入れていくのは大変でしたが、太モモ部を太くする技術ができた時は一山越えたと思いましたね。

「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」太モモ引き出し
「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」太モモ引き出し2
「超合金魂シンカリオンE5はやぶさ」太モモ引き出し3

▲元木氏によれば、シンカリオンの太モモは左右両側からの引き出しを入れることで、細かった新幹線の車体に厚みが出て、ずっしりと太くなったという

──今回の「超合金魂 GX-115 新幹線変形ロボ シンカリオン E5はやぶさ」のアピールポイントをお聞かせください。

寺野 試行錯誤を重ねた結果、遊びやすく安心して手にとっていただける設計ができたと思います。まだまだ製品としての改良を続けているところなので頑張ります。

元木 ここまで提案を重ねつつ、直しを繰り返したのはいままでで初めてですね。考える時間をたくさんもらったので、いいものができたと思います。

超合金魂 GX-115 新幹線変形ロボ シンカリオン E5はやぶさ

●発売元/BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部●41800円、11月予定●約26cm(シンカリオンモード時)


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