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スミ入れ用塗料でスミ入れと拭き取りを実践!
紹介したスミ入れ塗料を使ったスミ入れ方法を解説します
素組みのガンプラのスミ入れに最適な塗料を紹介しましたが、ここからはそれらの塗料の実践編です。各ペン毎の描いている様子やスミの入り方、仕上がりに注目。ハミ出しの拭き取りにもコツがあります。どれを使うのが自分の製作に良さそうか、作業のしやすさや表現によって使い分けてみるなど、参考にしてください。
①ガンダムマーカー スミ入れ
▲ ガンガムマーカー スミ入れ用では、パーツ表面のミゾ(パネルラインや凹み)にペン先を入れてなぞるように描いていきます。ハミ出しやブレがあっても気にせず、くっきり色が付くように進めていきます。油性ペンは乾くのが早く作業は進めやすいです
▲ 描き込みを区切りの良いところで終えたら、ハミ出しの拭き取り。凹みの周辺を例のように消しゴムや布、綿棒などでこすり、色がミゾの中にだけ残るようにします。消しゴムは適度な弾力と表面だけをこすれるので作業しやすいです。もし色を落とし消し過ぎたらまた描き直します
②ガンダムマーカー流し込みスミ入れペン
▲ペン先をミゾの一部にあてるとインク(塗料)が流れるように入っていき、色がついていきます。ミゾを全部なぞらず、所々にペン先をあてる使い方なので、スピーディにスミ入れができます。画像ではハミ出しのみえるところがペン先をあてたところです
▲ハミ出しの拭き取りはこちらも同様に。消しゴムはフチを使ってパーツ面をしっかりこすることができます。狭い箇所などでは綿棒を使ったり、消しゴムを細く切って使うとよいでしょう
③ミスター ホビーマーカー スミ入れ極細筆先タイプ
▲ 続いてはスミ入れ極細筆先タイプでのスミ入れ。筆先が極細なのでモールドに筆先を当てやすいものです。それを活かしてミゾだけでなく“段差”のところにもスミ入れが描き込みやすいです。この例はそんなところも描き込んでいます
▲ ここでもハミ出しの拭き取りに消しゴムを使っています。アンテナ中央の赤いパーツの面。カドに沿った段差にもスミが入り、引き立ってきました
▲ 細かな部分は細めの綿棒で、特に先が尖って硬めの綿棒が使いやすいです。ひさし部分ではミゾが浅めで、拭き取れすぎて薄くなってしまっています。「凹」でなく「V」や「L」のミゾだとこうなりやすいです
▲ スミが残りやすいよう、ミゾを補完してみましょう。ミゾ部分にナイフの刃を沿わせて位置決めしたら、少し押す(または引く)ようにして僅かな跡(切り込み)を付けます。他に細い針(ニードル)でなぞってもよいでしょう
▲ ひさしの左側がミゾを補完してスミ入れしたもの。よりくっきりとスミの色が残るようになりました
④ガンダムマーカー スミ入れふでペン
▲スミ入れふでペンでのスミ入れ。筆ペンは筆先がしなってパーツに沿うように変形してくれるので、たくさんのミゾをなぞったり、曲面など向きが変わっていくところでも描き込みしやすいです
▲尖った筆先なので、凹凸のある箇所や奥まった所にも描き込みがしやすいです。筆先を傾けて“面”で塗るようにも使えます
▲パーツ面が一定では無いところの拭き取りは綿棒が使いやすいです。綿棒の側面を使って、すくい上げるように回しつつ拭き取るとハミ出しの汚れが広がらずに拭きとっていけます
⑤ガンダムマーカー リアルタッチマーカー
▲リアルタッチマーカーはペン先が大小あります。奥まったところ、細かなモールドのところは細いペン先が塗りやすいです
▲パーツ表面で塗りやすいところは太いペン先が使いやすいですが、ハミ出しが多めになります。リアルタッチマーカーはこのハミ出しをぼかして、汚し塗装やグラデーションとして利用するのが本来の使い方ですが、色も豊富なのでスミ入れに限っても便利なのです
▲ハミ出た塗料を太めの綿棒で拭き取ります。やはり綿棒をすくい上げるように回しながら拭き取りましょう。パーツ面に色味が残った場合は、ぼかしペンのインクを染み込ませて拭き取るなどの方法も使えます
▲ 使い勝手が似ているガンダムマーカー スミ入れふでぺんとガンダムマーカー リアルタッチマーカーでのスミ入れを比較。色の違いの他には、ほとんど仕上がりに違いはありません。合わせて使えば色数が豊富でパーツ色によって選びやすくなります
▲ 赤丸で囲んだところはモールドはないのに拭き取っても消えないところ。よく見るとゲート跡のささくれに塗料が染みたようになっていました。こういったことからもゲートはしっかりと処理した方がよいですね(ゲート処理についてはこちらをご覧ください)
⑥ガンダムマーカー スミ入れペン SHARP
▲ シャープペンなので、流し込むではなくまさに線を描きながらスミ入れをします。0.3mmと細い芯ですが、先端を斜めにしておくとより細いミゾに沿って描きやすくなります。横に見えているのはそのために紙に芯を擦った跡です
▲ シャープペンなので消しゴムで簡単に拭き取りできます。思いのほかしっかりとスミ入れした線がモールドに残っていて、仕上がりもシャープなスミ入れ、といった印象です
⑦タミヤ スミ入れ塗料
▲ スミ入れしやすい濃さと色のエナメル系塗料です。凹みに沿って流れやすいので、モールド全体を一気に塗ってスミ入れしていくことができます。フタの裏についた細いブラシで塗っていきます
▲ エナメル系塗料は乾くまでやや時間がかかります。乾く前なら綿棒でハミ出しを拭き取ることもできますが、周囲に広がりやすいので、しっかり落としたい場合にはエナメル系塗料の溶剤を染みこませて拭き取っていきます
拭き取るアイテムの使い分け
▲ スミ入れは凹みにだけを色を残すので、拭き取り方で仕上がりが変わってきます。強めにこすり取れる消しゴムは平面ではシャープに仕上げやすいです。綿棒は目的のところだけに当てやすく、インクを溶かす液を染みこませて使うこともできます。先の尖ったものや細いものを用意しておくと、場所ごとの拭き取りがしやすくなってきます。そんな特徴を利用して、スミ入れしたところを整えましょう
今回のまとめ
使用した各スミ入れ塗料の特徴を簡単にまとめます。
・ガンダムマーカー スミ入れ用
くっきりはっきり描ける
・ガンダムマーカー流し込みスミ入れペン
流し込めるので描き込み作業がしやすい
・ミスター ホビーマーカー スミ入れ極細筆先タイプ
繊細な描き込みができる
・ガンダムマーカー スミ入れふでペン
筆先に柔軟に描き込める、拭き取りしやすい
・ガンダムマーカー リアルタッチマーカー
筆先に柔軟に描き込め、色数が豊富
・ガンダムマーカー スミ入れペン SHARP
シャープな描き込みができる
・タミヤ スミ入れ塗料
手軽にスミを流せる。スナップフィットやABSに注意
今回はさまざまなスミ入れ用塗料の紹介とその使い方を中心に紹介してきました。そうした過程の中で、素組みにスミ入れをすることで精密感やリアルさが強調されたることも見てとれたのではないでしょうか。スミ入れを施すことで各々のパーツに込められたモールドや考証などが引き立ち、栄える姿になっていきます。次回はキット全体にスミ入れした仕上がりを紹介する予定です。
記事中の模型用語をピックアップ簡単解説!
■素組み(すぐみ)
塗装などをせず、キットのパーツをそのまま組み立てた状態。またはそのような組み方のこと。色分けされたプラモデルでは完成に近い状態。
■エナメル系塗料による“割れ”
エナメル系塗料(や溶剤)は流し込みやすいものですが、溶剤分が多いとパーツに浸透して“割れ”をおこすことがあります。特に接着剤を使わない「ハメ合わせのプラモデル」やABS樹脂のパーツではそうしたことがおこりやすくなります。
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解説・文/野本憲一
多くのユーザーから愛される模型製作ガイド「NOMOKEN 野本憲一モデリング研究所」の著者・プロモデラー。当連載『いまさら聞けないプラモデルの基礎』では、令和最新版“プラモデル製作の基礎”を解説します。現在では数多くの選択肢があるプラモデル製作の道具やテクニック。「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもなぁ…」と思うものもあるはず。そんな“ギモン”を改めて学んでみましょう。
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