筆塗りで手描きマーキングに挑戦!リバイバル版メカコレガンダムをリアルタイプカラーで昔ながらの雰囲気に仕上げる
2025.03.24
筆塗りTribe/RX-78-2 ガンダム[リアルタイプカラー]【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2025年4月号(2月25日発売)
筆塗りで手描きマーキングにチャレンジしてみよう!
注目の新キットから名作プラキットまで筆塗りで楽しむ人気連載「筆塗りトライブ」。今回は、リバイバル版メカコレ ガンダムに手描きマーキングを描いて、第一次ガンプラブームを彷彿させるレガシーな仕上げにしてみます。
スケールモデルの世界では、本体にぴったり合うデカールが無い場合や、マーキングを本体とより一体化させたい場合、デカールではなく「手描きのマーキング」で表現されることがあります。この手法はガンプラにおいても非常に効果的です。今回の「筆塗りトライブ」では、そんな手描きマーキングの描き方に注力し、筆塗りの魅力を存分にお届けします。
(構成・文/フミテシ)
今回のパイセン
ふりつく/ウォーハンマーをはじめとしたミニチュアをハイレベルな筆塗りで仕上げるモデラー。グラデーション塗装だけでなく、エアブラシで塗ったかのような均一なベタ塗りも得意とします。
POINT
1/リタッチしやすいように基本塗装はベタ塗りにしておく
2/一発で線を描かない。「描いたら消して整える」という工程で攻める
3/図形や文字もそのままに描こうとしない。描きやすい形に置き換えて、リタッチしつつ塗る
水性塗料でマーキングを描いていく
主に使用するもの
▲基本塗装、マーキングは水性塗料の筆塗りで行う。使用する塗料はシタデルカラーとアーミーペインター。どちらも完全に水に溶けるエマルジョン系のため溶剤を必要とせず、水だけで塗料の希釈や筆洗いが可能となる
ウォーターパレットがあると便利
▲マーキング類を描いていく時、塗料は薄めに希釈して塗っていく。ウォーターパレットの上に希釈した塗料を置いておけば、塗料が潤った状態が長時間キープされてより塗りやすくなる。ふりつくオススメのアイテムだ
サーフェイサーを吹く
▲塗料の食いつきを良くするのと、上塗りする塗料が成型色の影響を受けないようにするためにサーフェイサーを吹く。サーフェイサーはラッカーでも水性でもどちらでもOKだ
(1)リアルタイプカラーのベタ塗り
▲胴体の黒は、シタデルカラー「コルヴス・ブラック」。少し青みのある黒。こちらをまずは薄く塗っていく。1回目は下地のサーフェイサーの色が透けているくらいに留めて、完全乾燥してから再度塗るときれいに仕上がる
▲緑はシタデルカラーの「グァーグ! フレッシュ」。隠蔽力が強く、濃いめで塗ると一撃で発色するかわりに少々厚ぼったくなる。きれいな塗面を目指すなら薄めに希釈した塗料を数回に分けて塗り重ねよう
▲1回目の塗りで一気に発色させないのがよりきれいに仕上げる近道だ。シタデルカラーは隠蔽力・発色ともに強力なので一気に塗りたくなるが、その気持ちをグッと抑えて薄めに希釈した塗料で3回くらい塗り重ねるようにして発色させよう。エアブラシで塗ったかのような平滑な塗面に仕上がるぞ
▲リアルタイプカラーの暗い赤は、シタデルの茶色系から「ドゥームブル・ブラウン」。本体の緑色とは補色の関係になるため、より赤が強く見える
▲黄色はシタデルの「アヴァーランド・サンセット」。グレーの上から塗ってもしっかりと発色する。少しくすんだ色味がリアルタイプカラーともマッチする
▲グレーは明るめの色味になる「ドーンストーン」。リバイバルガンダムの巧みなパーツ構成のおかげで、はみ出しを気にせず塗装できる
▲頭部の白はアーミーペインターの「マットホワイト」。少しアイボリーの色味がありつつ、かなり純白に近い白を使う。こちらもシタデル同様に薄めに希釈して3回ほど塗り重ねて丁寧に発色させている
(2)ラインを引いてみよう
▲ベタ塗りが終わった状態。この状態にマーキングを描いていく
▲肩に白い線を引いてみよう。まずは線を引きたいと思った部分にアバウトに線を引いてみる。臆せず塗ってみよう
▲ラインを交差させる場合は、交点にしっかりと角が生まれるように、両方の線を少しはみ出してクロスさせよう。あとからはみ出した部分を基本塗装の色で塗り潰すことで、しっかりと角が出た線になる
▲線のキワを黒で塗り潰し、太さや形状を整える。真っ直ぐに線を引くのは難しいが、この様にはみ出した部分や太すぎる部分を塗り潰す方法で「線を整形する」方法で塗っていくと意外とうまくいく
▲線がクロスした部分のはみ出しもきれいに塗り潰した。この様にかっちりと角が立った線になる
▲ガンダムのラインマークは途中で点線になる模様もある。そういう場合は、線を整えた時同様に本体色(ここでは黒)で塗り潰せばOK。一発で狙わずに、少し細めに線を引いてから線を太らせよう
▲塗り潰すイメージができたら、再度しっかりと塗り潰して“白の実線”を“点線”に整形しよう
▲白のぱっきりとした線ができた。このあと同じ方法で、もう1ヵ所手を加えて点線にして完成! いきなりきれいな線を引ける人は少ないが、この方法なら真っ直ぐに線を引けなくてもきれいな図形ができるので、ぜひトライしてほしい
(3)型式番号を描いてみよう!
▲型式番号は“文字”としてすぐに認識できるため模型の情報量を増やすアクセントにピッタリ。文字を描く時に大事なのが、文字の大きさがきれいに揃っていること。そのためにもまずはマスキングテープを平行に貼って、ガイドを作る
▲リカバリーしやすいように塗料は薄めに溶き、文字の形を細く描いて少しずつ太らせていく。文字の部分が厚塗りにならないように濃度を調整しよう
▲「RX-78」と描く。まずはRの縦棒から。文字の大きさ・幅の基準となる“縦棒”から描くと、全体的なバランスが取りやすい。このように細めの線でアタリの線を描く
▲全体のバランスを見ながら他の字も描いていく。マスキングのガイドをしっかりと活かしてサイズ感を揃えていこう
▲全体的な文字のバランスが取れたので、マスキングのガイドラインを外し、本格的に文字を描き込んでいく
▲塗り進めるなかで、線がずれても問題無し! ここでも線を引いた時と同じ方法で、本体色で塗り潰そう。修正できるとわかっていれば、安心して筆を動かしていける
▲文字を描いていると、どうしても文字を正面から見た位置で塗りがちだが、写真のように文字が逆位置に見えるようにひっくり返して塗るのも、形をきれいに整えるテクニックだ
▲完成! 線や点線に比べると少々難しいが、ミスをしても塗り潰して修正しやすいという筆塗りならではのメリットを活かしてトライしてみよう
(4)三角形を描いてみる!
▲ガンプラの特徴的なマーキングのひとつ「三角形」。こちらも、少し考え方を変えると簡単に描くことができる。いきなり三角形を辺から描こうとすると難しい。まずはこのように四角形に塗る
▲あとは両サイドを三角形になるように塗り潰す。四角形から削るように三角形を作ることで中心が取りやすく、左右対称の図形を塗ることができる
▲描きたい図形を描くために、いったん他の形に置き換えて塗り潰すと案外簡単に描ける場合が多い。正円や、複雑に重なる図形も同じような方法論を使えば描ける。モチーフに合わせて考えて塗ってみよう
(5)細かな文字の集合体を描いてみよう
▲「CAUTION」や「DANGER」などの指示が細かく書かれているいわゆる“コーションデカール”のような文字の集合体を筆塗りで施してみる。難しそうに聞こえるが、実はとても簡単で、細い線を引いて、その間を細かく塗り潰すだけで「なんとなく文字列に見える」という目の錯覚を活かすのだ
▲先ほど描いた三角形の下に注意書きを施してみる。まずは赤い線を引こう
▲細い面相筆を使用して、本体色の黒で赤い線に細かな縦線を描いていく
▲ランダムな細い縦線によって赤い線にたくさんの空白ができた。これが、遠目に見ると文字っぽく見えるのだ。この方法で他の注意書きも描いている
▲応用編! 黄色いラインの上に注意書きのブロックを描く。白い四角を赤い線で囲ったマーキングにしようと思う。まずは白で大まかな四角を塗る
▲白い四角の中に入る注意書きや三角形を描く
▲三角形のはみ出しを整え、黒線が文字に見えるように白で塗り潰していく
▲赤い線で白い四角を囲い、最後は本体色の緑や内側の白で赤い線を塗り潰して整形すれば完成!
形は塗り潰して整える! 注意書きは遠くから文字のように見えればOK!
▲こちら各マーキングのアップ。このように超拡大すると少し粗が見えるが、普通の距離で見るぶんにはまったく問題ない。マーキングを描いたらトップコートを吹いてしっかりと保護することも忘れずに!
まずは色選びからですが、リアルタイプガンダムらしい落ち着いた色味にするために黒はシタデルカラーの「コルヴス・ブラック」、緑は「グァーグ! フレッシュ」、黄色は「アヴァーランド・サンセット」、赤は「ドゥームブル・ブラウン」、グレーは「ドーンストーン」をチョイス。ドゥームブル・ブラウンなんかは単品で見ると茶色すぎてちょっと不安になる色合いですが全体で見るとしっかり赤色に見えるので大丈夫です。
色が決まったら塗装に入ります。今回はラインやコーションマークを手描きするので後でリタッチしやすい様にベタ塗りします。筆塗りでムラなく塗装するには一度で発色させようとせずに少し薄めに溶いたものをしっかり乾かしながら数回に分けると良いです。
塗り分けが完了したらマーキングを描いていきます。まずは各部のラインを引いていくのですが細い線を引くのが難しい場合は太めの線をざっくり引いたあとにベース色で線を整えればOK。また肩のラインなどにある角部分はしっかりとラインをクロスさせたあとにベース色で整えるとしっかりとしたエッジが出て見映えが良くなります。
胸のRX-78はイラストを参考にバランスを見ながら描き込み、一筆で描こうと思うと難しいので一文字一文字を単純な直線や曲線に分けて描けば大丈夫。こちらもわざとオーバーランさせた線をベース色で整えたりしてエッジ感を出すとそれっぽく見えます。
続いてコーションマーク。さすがに細かい文字を書くのは無理なのでそれっぽく見える様に。まずは文字列となる部分に数本真っ直ぐ線を引きます。その後ベース色を使って引いた線をランダムに削っていきます。この時単語の塊を意識したり削る方向を変える等すると何か文字が書いてある様に見えてくるのでいろいろ試してみてください。近くで見るとAIイラストの文字みたいになってるんですが遠目で見ればそれっぽく見えるはずです。最後にお好みで塗膜保護のためにクリアースプレーでコーティングすれば完成です。
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット“ベストメカコレクション”RX-78-2 ガンダム(REVIVAL Ver.)使用
RX-78-2 ガンダム[リアルタイプカラー]
製作・文/ふりつく
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