1/144スケールを越えた巨大感に魅せる攻略法
1/72AFVモデルはディテールアップパーツの宝庫
標準的な1/144ガンプラはおよそ11~13cmほどの大きさだが、そんな手のひらに乗るような小さな模型を大きく見せるために、パーツの情報量を上げる、すなわち解像度を高めるという選択肢が取られる。NAOKIのHG ガンダムEXは、1/72 AFVキットから厳選した極小パーツ類を移植するかたちでディテールアップ。細密なメカモールドをアクセントとして全身に忍ばせることにより、写真からでは1/144キットであることに初見で気付かないほどの高解像度モデルとして完成させている。
使用キット
HG ガンダムEX (復讐のレクイエム)
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●2090円、発売中●1/144、約13cm●プラキット
巨大感を出すためのポイント
・1/72AFVキットは宝の山。他ジャンルキットもリサーチしよう
1/72スケール、特に海外製メーカーのAFVモデルは小さくて細かいパーツが豊富。ディテールを重視し、ひたすら細かく分割する設計志向がその一因なのだが、すなわちガンプラのディテールアップに馴染みやすいパーツが非常に多い。使えそうなパーツがあれば複数ストックしておきたい。
・『復讐のレクイエム』はディテールアップに最適!
通常のガンプラにAFVモデルのパーツを埋め込むのもいいが、基デザインのディテールがミリタリーテイスト寄りだと、AFVパーツとの親和性が飛躍的に高まる。『復讐のレクイエム』のMSはデザインからしてミリタリーテイストで内部メカの露出箇所が多いため、追加パーツを組み込みやすい。流用パーツを駆使したディテールアップの練習キットとして最適といえる。
▲参考例として、中国メーカー・MENGモデル製「1/72 M1A2 SEP エイブラムス TUSK II」。手のひらサイズの大きさながらそのモールドのシャープさと密度感は特筆もの。1/35のAFVキットだとやや大ぶりのため1/144ガンプラに組み込むには工夫が必要となるが、1/72のAFVキットならサイズもフィット、精密感も遜色ない
▲月刊ホビージャパン2024年12月号掲載、NAOKI作のHGUC Ξ(クスィー)ガンダム。こちらは主にビークルモデル『スター・ウォーズ』シリーズのパーツを組み込んでいる。今回の1/72 AFVキットのパーツ流用と同じ方法論で、小さく密度感のあるパーツを見定めて移植。他ジャンルのキットパーツはディテールアップの近道のひとつだ(もちろん、組み込むセンスは問われるが)
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頭部のディテールアップ
▲一見するとあまりディテールは増えていないように見えるが、①アンテナ先端のフラッグ切除はもちろん、くまなく手が入っている。各部の面をヤスリでならし、面ごとのエッジを立たせている他、②ドリルでアゴ(チンガード)部分に穿孔モールドを追加。③頬のダクト風ディテールもフチを薄く削り込むとともに、タガネを使って穴を深く彫り直している
脚部のディテールアップ
▲股関節内側の部分はもともとシリンダーなどのメカディテールが加えられているが、その密度をAFVキットの配管パーツを埋め込むことで強調(矢印の部分)。パーツ組み込み後、金属色に塗り分けることで、その追加色も含めてディテールアップの見せ場としている。流用パーツを組み込む際は表面に貼り付けるだけでなく、その形に沿って装甲板を切り欠いたり、埋め込むように配置すると馴染みやすくなる
胸部のディテールアップ
▲成型色のままでは分かりにくい点もあるが、塗装・スミ入れを施すと白い外装に追加したモールドの箇所が分かりやすいだろう。タガネを使って入れた小さなマイナスモールドも効果的だ。流用パーツとプラ板貼り付け、そしてマイナスモールド、そのどれかに偏ることなくケースバイケースでディテールを入れている
▲キットの肩関節付け根はディテールの宝庫。金属色や警戒色の赤で塗り足すことで、チラッと見えた際のアクセントにしている
▲装甲の隙間から覗くメカディテールはとても細かい一方、白い装甲板はディテールが少なめ。そこで、胸部~鎖骨にかけての外装面へのスジ彫りの追加と、細切りのプラ板と流用パーツを使ったディテールアップを施し、内部メカと装甲板のバランスを取っている。胸部ダクトのフチを削り込みでシャープに加工し、ダクト自体の厚みを薄く見せている点にも注意
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