HOME記事工具・マテリアル見た目をよくする第一歩、パーティングライン消し!!【いまさら聞けないプラモデルの基礎:パーティングラインの処理】

見た目をよくする第一歩、パーティングライン消し!!【いまさら聞けないプラモデルの基礎:パーティングラインの処理】

2025.03.01

初めてでも安心!プロモデラー「ノモケン」と学ぶプラモデルの入り口!! File.05

■カーモデルのパーティングラインを処理してみる

 最後にカーモデル(楽プラ アンフィニ FD3S R-X7/青島文化教材社)のパーティングラインを処理してみます。キットのパーツ表面の光沢感が非常に高いので、パーティングラインを処理した後に、その光沢感を取り戻す方法も解説します。

▲ ボディパーツは複雑な形状を再現するため、前後左右上下と分割された金型で作られています。そのためパーティングラインはパーツフチだけでは無く、画像の赤いラインのようにボディの各所を通っています。パネルラインやモールに沿って目立たないところと、やむをえずパネル表面を通っている箇所があります
▲ バンパー部に通っているパーティングラインを整えます。なるべく深いキズは入れたくないので、先に1000番の紙ヤスリで付近を撫でて、段差の状態を明らかにします。次により削れる800番で削ることにしました
▲ 画像の右側が800番で整形したところです。削った範囲とパーティングラインの段差が少なくなっていことが分かるでしょうか。この作業を反対の左側でも行います
▲ パーティングラインが無くなった様子。ここは始めに紹介した図のようにパーツ表面の曲面を維持しつつならすわけです。このあとはヤスリ掛けでのキズが無くなるように、パーツを磨いていくことになります
▲ 磨きを簡単にしてくれる道具に頼ります。ヤスリスティックフィニッシュ細型(ウェーブ/495円)は弾力のある基材についた研磨材。緑の面は4000~6000番相当、白い面は10000番相当で、手早く光沢を回復できます
▲ 緑の面でこすって磨くための下地を整える作業をし、それが終わったら白い面を使用します。こちらの面はまさに磨くといった感触です。スポンジの基材で曲面にも追従してくれます
▲ ヤスリスティックで整形した後、更にコンパウンドで磨いた状態です。細かなキズが消え曇りもしっかり取れて、元の光沢を取り戻しました

▲ 手軽に組める成型色仕上げ向きのキットでは、パーティングラインも微かな跡となるように配慮されています。そのためパテなどで埋めたりしなくても跡が消しやすいキットということでもあり、“成型色仕上げ”でもより仕上がりを高められます。このように全体を光沢で仕上げる場合はキズ消しに気を使いますが、半ツヤやツヤ消しの場合よりも全体を整えやすいともいえるでしょう

▲ ここでご紹介した楽プラ RX-7製作の詳細は、発売中の「カーモデル製作の教科書 懐かしの国産名車製作ガイド」に掲載されています。気になった方はぜひ手に取ってみてください

■クリアーパーツのパーティングラインも消える?

 クリアーパーツの場合は先のカーモデルのボディの例の延長になります。その最後の仕上げを中心に補足しましょう。

▲ 紙ヤスリでパーティングラインを消した状態。キズを深くしないよう細かい番手で“水研ぎ”しています。曇ったようなキズとなっているので、これを磨いていきます
▲ ヤスリキズで曇ったところは研磨材(コンパウンド)を付けた布で磨くことで透明度が回復します。そこにパーティングラインがあったとは分からない仕上がりになっています。ヤスリ掛けや磨き中は、強く力を掛けないように注意して作業しましょう

あったら簡単にパーティングラインが消せる! 便利工具紹介!!

パーティングラインを処理するためにあったら便利な工具をご紹介!

 ナイフやヤスリよりも効率的にパーティングラインを処理できる工具をいくつか紹介します。持っていなくてもプラモデルの製作に支障はありませんが、使ってみると絶対に手放せなくなるアイテムばかり。価格を含めてぜひ自分に合った工具を試してみてください。

▲ 造形村セラカンナ(太刀)(ボークス/3410円)。その名の通りにカンナ掛けの要領で削る工具です。先端の刃はセラミック製で、ナイフなどに比べて怪我をしにくく安全です。レジンキットのパーティングラインを消すことに対応した強度を持っているので、プラモデルもサクサクと削れます
▲ HGキサゲナイフ【曲線・両刃】(ウェーブ/1980円)。こちらも表面を削ぐようにカンナをかける要領で削る工具。刃が直線と曲線刃で使え、ピンポイントでも削りやすくなっています。厚みがあるので刃がブレにくく安定感があります
▲ 超硬スクレーパータフ(ファンテック/1760円)。3辺に刃のある超硬合金製の三角錐型スクレーパー。削る箇所に軽く刃を当ててスライドするだけでパーティングラインを処理できます。専用の斬技ホルダースリム(1760円)やピンバイスに装着して使用します
▲ Mr.ポリッシャー PRO(GSIクレオス/2640円)。電池式の電動ヤスリ。先端に付いている紙ヤスリ部分が左右に往復回転することでヤスリます。紙ヤスリはスポンジに貼り付けてあるので、力加減で微妙な削りや、曲面での作業も得意です
▲ 整形専用の工具だけにサクサク削れます。ただし、各アイテム削りやすいだけに削り過ぎには注意しましょう。最初は優しく刃を当てて様子を見ながら作業しましょう。ナイフでの作業同様、ゲート跡付近を削る場合も注意しましょう
▲ Mr.ポリッシャー PROは軽く押しあてるだけで簡単にヤスリ掛けできます。交換用のヤスリの番手も220、400、600、800、1000番と豊富です。交換用のヘッドも販売しているので、番手ごとにヘッドを用意しておくと作業効率が上がります

今回のまとめ

 パーティングラインの処理、整形は近年のキットであればパテなどで埋めずに整えられることがほとんどといえます。成型色活かしで楽しむところから、より仕上がりをよくしてみたいとなったらまず取り入れてその効果を実感してほしい工程です。塗装前提のプラモ製作では“パーツの整形”の一つの要素として、ゲート跡の処理や合わせ目消しなどとまとめて作業するようになるでしょう。


記事中の模型用語をピックアップ簡単解説!

■パーティングライン
 型の合わせ目、そこに生じる線状の跡のこと。貼り合わせた型を使ってカタチ作られるものにはそれがあります。タイ焼きで周囲にハミ出すところもパーティングラインです。

■カンナ削り
 “カンナ”は刃先の方向に押して薄く削ぐ道具。手軽なパーティングライン整形の方法として、ナイフの刃を横スライドして切削する方法を、その削れ具合からカンナ削りと呼んでいます。

■パテ埋め
 充填剤や補修材などで凹みや段差を埋めること。プラモデル製作では用途や使い勝手によってプラパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着剤など、さまざなパテが用いられています。

■水研ぎ
 紙ヤスリなどで切削する際に水分をつけながら行うこと。ヤスリの目詰まりを抑えて長持ちさせたり、滑らかに仕上げやすくなります。また摩擦熱を減らす効果もあります。水を付けない場合を“空研ぎ(からとぎ)”と呼びます。

 


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解説・文/野本憲一

 多くのユーザーから愛される模型製作ガイド「NOMOKEN 野本憲一モデリング研究所」の著者・プロモデラー。当連載『いまさら聞けないプラモデルの基礎』では、令和最新版“プラモデル製作の基礎”を解説します。現在では数多くの選択肢があるプラモデル製作の道具やテクニック。「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもなぁ…」と思うものもあるはず。そんな“ギモン”を改めて学んでみましょう。


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