HOME記事工具・マテリアルプロが【ライトニングニッパー】の使い方教えます。ノモケンが気になる最新工具を本気でレビュー!

プロが【ライトニングニッパー】の使い方教えます。ノモケンが気になる最新工具を本気でレビュー!

2025.02.15

プロモデラー「ノモケン」が教える道具の使い方!! 【ライトニングニッパー/ゴッドハンド】

実践その1:ランナーからの切り分け

 ここからは実際のパーツの切断。“二度切り”(「ニッパーの使い方」参照)を基本としつつも、そうでない場合も試してみました。

▲ ランナーからゲートに刃をあてる位置や向きを見きわめつつ使うことになるので、落ち着いて作業するのがいいでしょう。パーツを手早くパチパチと切り取っていくような扱いではニッパーを傷めやすくなります
▲ ゲートの切り口に注目。平らで歪みのない面に切れています。白化もわずかですんでいます。ゲートを残す段階でここまでキレイなのは、贅沢な使い方という気もします

▲ ライトニングニッパーを活かせるのはこうした細いパーツの切り離し。薄い刃で切り込むのでパーツを曲げるような力も少なく、パチンッという衝撃もないので、破損のリスクが減るわけです

▲ 試しにパーツのフチでゲートを一度切りしたもの。ニッパーをあてやすい向きだったこともあってか、まるで二度切りしたような切り口になっています。しかし、このように切れるかは条件しだいですので、この方法をオススメするわけではありません

実践その2:二度切り目で整える

 二度切り目での扱いのコツと、ゲート跡の仕上がりをみていきましょう。

▲ ゲートの残りを切る際のニッパーの刃の当て方について解説します。パーツフチにあるゲートの場合、“受け刃”の厚い分を利用してパーツフチにあてがい、切り刃は表面をパーツ側にそわせるようにして挟んでいきます。そうするとブレにくくパーツ表面に沿って切ることができます

▲ 図の要領でゲートカットを実践。白化もなくキレイに切れています。が、少しゲートの厚みが残っています。刃が少し浮いていたようです

▲ 残ったところをもう一度切り直し。薄く残っていた部分を平らに切り取ることができました。このわずかな厚みを切り取れるのはさすがの切れ味。切り口は切りっぱなしとは思えないほど歪みのないものとなっています
▲ 同様のゲートを4ヵ所切ってみたところ。いずれの切り口も滑らかで、仕上がりにばらつきが少ないのががわかります
▲ 面の中央に付いたゲートを切った例。これだと受け刃が厚い分、パーツ面に少しの切り残しがでるのですが、実際にはほぼ平らに切り取れています。ゲート付近に微妙に傾斜がついているので、それに助けられたようです。右は比較のためにデザインナイフで削いだもの。少しの白化があり、ニッパーほどのフラット感にはなっていないのが分かります

 実際に多くのゲートカットを繰り返していく中で、商品の使い勝手をどう感じるかということで、パーツ数130点程のキャラクターモデルをほとんどライトニングニッパーで切って組み立ててみました。近年の精度が高くゲート形状に統一感があるキットは、こうした切り口のキレイなニッパーで組んでいくのに相性がいいですね。
 そして製作中に感じたのはこれは「とても贅沢だ」ということです。数多くのパーツを黙々と切り出して整え続けることは昨今のキット製作では珍しくありません。それを極上の切れ味を持つニッパーで行えて、無音が続けば正しく切れ、音がすればちょっと扱い方が良くなかったとわかる状況。軽い力でそろりと刃を閉じれば切れるので、力加減を調整しつつ慎重に…と気にしていたところが明らかに減ります。ゲートの仕上がりを修正することもほとんどなく「これは贅沢な作業時間を過ごしているなぁ」と感じました。


今回のまとめ

 「ライトニングニッパー」は極上の切れ味と切り口の滑らかさによってゲートカットの仕上がりの良さと、長時間の作業での製作者の負担を減らす、というのを体験しました。
 切断の厚さ(薄さ)や取り扱いの注意などもあり「よく切れるので誰にでもオススメ」といったものではなく、よい道具を丁寧に扱える人に使って欲しいと思わせるものです。“片刃ニッパーの使用経験があること”という条件にも納得。ゲートカットの多いキットや整形色活かしの製作、繊細なパーツの切り取りで特徴が発揮されるでしょう。
 高価かつ繊細な道具なので他のニッパーとの併用はもちろん、ゲートの二度切り目などに限定するなど、消耗を抑えつつ利用するのが現実的な使い方になるでしょう。


「ノモケン」こと野本憲一著書好評発売中

 当連載の著者「ノモケン」こと野本憲一のベストセラー「NOMOKEN」シリーズが絶賛発売中。連載をご覧になって、更にステップアップしたい方はこちらの書籍もぜひご覧ください。


解説・文/野本憲一

 多くのユーザーから愛される模型製作ガイド「NOMOKEN 野本憲一モデリング研究所」の著者・プロモデラー。当連載『いまさら聞けないプラモデルの基礎』では、令和最新版“プラモデル製作の基礎”を解説します。現在では数多くの選択肢があるプラモデル製作の道具やテクニック。「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもなぁ…」と思うものもあるはず。そんな“ギモン”を改めて学んでみましょう。


▼ 関連記事はこちら

ⓒあまとき ASSORT ASSEMBLY

1 2
この記事が気に入ったらシェアしてください!

野本憲一

オススメの書籍

NOMOKEN 野本憲一モデリング研究所 新訂版

ご購入はこちら

NOMOKEN3 ガンプラ完全攻略ガイド

ご購入はこちら

カーモデル製作の教科書 懐かしの国産名車製作ガイド

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー