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『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』対談! 貴重なコンセプトデザインとともにメカクリエイター達が『復讐のレクイエム』を語る!!

2025.01.19

メカクリエイター対談 山根公利×SAFEHOUSE 鈴木卓矢 月刊ホビージャパン2025年2月号(12月24日発売)

『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』
メカクリエイター対談

『復讐のレクイエム』メカクリエイター対談

メカニカルスーパーバイザー 山根公利
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CGワークス SAFEHOUSE 鈴木卓矢

 3Dゲーム用に開発されたCGソフトウェア「Unreal Engine5」を使用して現実感のある映像として表現された『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』。モビルスーツが現実的に存在するならばどのようなデザインや表現になるのか? 本作においてメカ描写の重要なパートを担ったメカデザイナーの山根公利さんとSAFEHOUSEの鈴木卓矢さんに話を聞いた。

山根公利(ヤマネキミトシ)

メカデザイナー。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』、『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズなどのメカデザインを手掛ける。

鈴木卓矢(スズキタクヤ)

SAFEHOUSE 取締役。CGクリエイター。代表作に『World of Warcraft』、『海賊とよばれた男』、『スターシップトゥルーパーズ:レッドプラネット』などがある。

(取材/石井 誠)


 CGで挑んだ新たなモビルスーツの表現 

──まずは今作でのそれぞれの関わり方についてお聞きしたいと思います。今回、山根さんはメカデザインではなく「メカニカルスーパーバイザー」とクレジットされていますが、どのような形で仕事をされたのでしょうか?

山根 まずは僕のほうでコンセプトデザインを描き、それを基にSAFEHOUSEさんのほうでCGのモデルを作ってもらって、それを僕が監修するという形です。その形状を整える作業をしてくれたのが鈴木さんです。鈴木さんの作業はSAFEHOUSEさんのスタッフが作られたものを監督されているという感じですかね?

鈴木 そうですね。山根さんからいただいたコンセプトデザインを基に、僕のほうから「こういうふうにしてほしい」という具体的な指示をスタッフに与えてモデリングしてもらって。社内で形状をいろいろと詰めてから、山根さんに見ていただいて要望を聞き、それに合わせてまた修正をするという作業を何度か重ねて完成にもっていった形です。

──いわゆるCGディレクターというポジションになるわけですね。

鈴木 そうです。僕の役割だと、キャラ以外は全部見ています。モビルスーツはもちろん、戦闘機や車両などのビークル系、さらに背景のデザインも僕のほうでディレクションしました。

──今作は、SAFEHOUSEさんが映像全般を作られているんですか?

鈴木 そうなります。本作の企画は、NetflixさんにSAFEHOUSEから「こういう映像を僕たちは作れますよ」ということをプレゼンする形で進めていって、そのなかでサンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)さんの「ガンダム」はどうだという話になり。企画を固めるなかでサンライズさんの了承も得られたのでCGのガンダム作品という形で実現することになりました。

──その結果、山根さんにお話が行ったわけですね。

山根 最初の話では、あくまでメカデザインの範疇で、新しいガンダムとザクのイメージを出してほしいとプロデューサーから依頼をもらって。ただ、CGだからイメージを出せばモデリングで細部を固めてくれると思ったので、まず雰囲気を伝えられればということでこのデザイン画を描いたんです。僕のほうでは当然ここから何稿か重ねて完成版にしていくという形だと思っていたので企画書とシナリオを読んで、「こういう雰囲気じゃないかな?」と描いたんですが、初稿の段階で「これでいいです」とOKが出ちゃって。

ザクII コンセプトデザイン

『復讐のレクイエム』ザクIIコンセプトデザイン
▲通常のメカデザイン画と違い、プロポーションや各部のバランス、大まかなディテールなどが描かれ、これを基にCGモデリングで細部ディテールが追加される形でデザインが進められた

鈴木 それは僕が監督に言いました。これで情報のほうは充分ですと。

山根 そういうことで、ラフデザインを基に細かいところはモデルで作り込んでもらえるということになったわけです。

──今回、ガンダムEXやザクのデザインを見たときに、いわゆる今までのモビルスーツデザインのセオリーから外れている部分を多く感じました。

山根 連邦軍のモビルスーツの装甲板はもっと平面的な構成という印象があるんだけど、それがこれまでのガンダム作品の歴史の流れであって、手で描くアニメーションや模型の表現が影響していたと思うんです。以前、『G-SAVIOUR』というアメリカで作った実写作品がありました。当時、制作発表を聞いたときは『スター・ウォーズ』みたいなディテールのモビルスーツを勝手に期待していましたが(笑)、従来のアニメのイメージとは大きく異なるものではなかったんですよね。でも、僕はそれ以来アメリカのSF映画らしい表現の「ガンダム像」も見たいなと思っていたんです。

──なるほど、その思いがメカデザインに反映されているんですね。ということは、最初の段階では特に具体的なイメージのオーダーは無かったんですね。

山根 プロデューサーの小形尚弘さんから企画書とシナリオだけ渡されて「このガンダム、山根さんならどう描きますか?」みたいな感じで振られて、ゆるく始まった印象ですね。デザイン作業をするなかで監督のエラスマス・ブロスダウさんとリモートで会議をしたんですが、そのときにブロスダウ監督が「ザクの動力パイプを取りたい」って言ってきて。それには驚きましたね。

──なかなか大胆な提案ですね。

山根 やっぱり、動力パイプがないとキャラクターとしてザクにならないという話をして。ただ、取りたいというのは技術的な問題とも関係していて、あのパイプがCGの動かし辛さにつながるというところと、巨大なロボットとしてこれが森の中で動くとパイプが引っかかったりするのでは? など、そういう現実的な考え方をされるんですよ。

鈴木 ある意味合理的なんですよね(笑)

山根 実際に戦う舞台を想定してそういうことを言われていたんですが、「さすがにキャラクターとしてないと困るので絶対に外せない。付けさせてほしい」とお話をしました。ブロスダウ監督も、パイプを脚に沿わせたり、埋め込んだりという案を提案してくれました。それらの意見をすり合わせて「関節軸のところにパイプ付け根を固定することで動かしやすくなりませんか?」と提案して、決定したのがあの構造だったんです。単に個性的にデザインチックにしようというのではなく、CGの都合も含めてあのデザインになりました。

鈴木 最初に山根さんのデザインが上がって、ラフのCGモデルを作っている段階で「ここがちょっと問題になるかも」という技術的な話から、パイプの問題が出てきたと思います。

山根 僕自身がCGは素人だから、CGなら何でもできると思って(笑)、装甲のショットトラップには防弾用のチェーンカーテンとか付けているんだけど、CG的には動かし辛いということで省かれた部分です。揺れそうなものはダメということなんですよ。小銃のスリングベルトとかも。でも脚部の動力パイプなんかはその結果デザインとして面白くて特徴的になって良かったかなと思っているんですよね。

次ページ──ガンダムEX等について

ⓒ創通・サンライズ

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