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Iron Rocks 
岩鉄城、起動

2021.04.13

岩鉄城 月刊ホビージャパン2021年5月号(3月25日発売)

 UAU ZERO編最終回に登場したムキシバラ星人の決戦兵器「岩鉄城」の作例を紹介。岩鉄城の造形は『ウルトラセブン』に登場した軍艦ロボット「アイアンロックス」をモチーフとしており、4本の脚は『8マン』等の作者、桑田二郎(当時は桑田次郎)氏による『コミカライズ版ウルトラセブン』のオリジナル要素として描かれたものである。
 このZERO編最終回を飾る強敵を製作したのは、UAUのほぼすべての作例を製作してきた只野☆慶。戦艦大和のキットを基礎にスクラッチした大作をご覧あれ。

▲ 全長約21cm、全高約23.5cm、全幅約15cm。船体はハセガワの1/450 戦艦大和のミキシングビルド、下半身はフルスクラッチのため、総体ではスクラッチを主としたミキシングビルドともいえる作例に。スケールの整合性などはあえて念頭に置かず、キャラクターモデルとしての絵的な納まりを優先して各パーツを配置・造形していった
▲ 主砲は回転軸を延長、基部のかさ上げにはビルダーズパーツHDのノンスケール MSレドーム01等を使用
▲ 艦橋は8mmかさ上げし、レーダーを大型化。アンテナ部にはHO 1/100 フェンスD(パンチング・ペーパー製)やプラストラクトT型鋼 TFS-1を組み合わせ真鍮線0.5mmで立てた。艦橋正面中央に赤いレンズ状のアクリルストーンを嵌めている。煙突は底部にレジンブロックを貼り付け整形、大型化した

▲ 塗装前の状態。増設された部分や改造された部分が分かりやすい

▲ 副砲は左右に移植、その他の副砲は1/700戦艦大和の主砲を改造移植し、基部をABSパイプやプラパイプで新造している
▲ 艦首は主砲基部を中心に大胆に甲板を切り刻み、形状を大きく変えている
▲ SEVEN SUIT(製作/只野☆慶)と並べてのワンカット

▲ 脚部はタミヤ2mmプラ板を短冊状に切り出し7枚重ねて圧着、関節を凹凸状にして2mmキャップボルトで締め付ける。スネのディテールはタミヤ3mm三角棒を2・5mm程度にたくさん切り出し、一個一個接着している。

▲ アクチュエーター部はプラパイプ、アルミ丸棒、プラ角棒、1.4mm精密ビスで構成した

▲ 脚部ユニット基部はウェーブ製のプラ板箱組み。脚部ロール軸は円形のレジンブロックにスイング軸をプラ素材で足し、脚部ユニット基部に対して2mmのキャップボルトで締め付け固定して完成

▲ 甲板より下のディテールには戦艦大和のパーツ、ハセガワ1/72自走臼砲「カール」のパーツを主に、さまざまなスケールモデルのパーツをコラージュして密度感を演出した

▲ 脚部が可動。アクチュエーターが連動して動くこだわりのギミック付きだ

■フル可動アイアンロックス?!

 ことの始まりは2020年12月、HJ編集部での担当者との会話からだった。「事前に情報があればUAUの登場メカを作れる、いや作りたい。」そんなニュアンスのことを口走った気がする。そして2021年1月初旬、ハセガワ1/450スケールの戦艦大和が届く。発注内容を要約すると「UAUのZERO編 最終回でアイアンロックス(漫画版の脚付き仕様!)を出したい」とのことだった。こんな面白いモチーフはモデラー人生の中でも滅多にないだろう。「自立は最悪出来なくても大丈夫です」いやいや何を仰るか! 持てるすべてをぶつけてやりますとも! どうやらこの時点でいろんな脳内物質が只野を狂わせていたのだろう。脚部全16ヵ所可動のアイアンロックスを組上げるに至ったプロセスを語ろう。

■岩鉄城立つ

 戦艦大和の甲板を仮組みしておもむろに切り刻む。映像的イメージを優先して主砲に外径4.5mmプラパイプを被せ、船体左右に主砲基部を増設移設したり艦橋やレーダーや煙突を大型化、挙句別スケールから砲を改造移植するなど艦船模型のセオリーを全く無視して進める。
 甲板のアウトラインが出来たらシャシーをプラ角パイプで組み、その底部に収まるように脚部ユニット基部をプラ板で箱組みする。
 以降現物合わせで脚部を構成させるのだが、強度と可動を両立させるため2mm厚のプラ板、レジンブロック、2mm径のキャップボルト、精密ビスを駆使して切った貼ったの連続で試作。え? 大きすぎた! …気を取り直して半分の太さで再構成し同じ作業を脚4本分頑張った。ここで悪い癖が出る。「アクチュエーター組み込んだら造形的にも強度的にも格好良いのでは…?」ハイ、2日間作業追加です。立たせてみるとかなり脳内イメージに近づいた! カール自走臼砲等スケールモデルからパーツを捥いでミキシングビルドの要領で艦要所を構成した。

■塗装

 塗装下地はあえて缶スプレーのサーフェイサーを使用して「鉄」の質感を演出。タミヤラッカー塗料LP-12 呉海軍工廠グレイを主体に、艦底色やブラウン系塗料をランダムに吹き重ねている。甲板にはタミヤラッカー塗料LP-17 リノリウム甲板色を筆塗りした。
 油彩バーントアンバー、バーントシェンナ、バーミリオンヒューやウェザリングカラー各色で「鉄」のさまざまな錆びを表現、ピグメント、ウェザリングペーストで足周りの汚しを行った。

■総括

 ちょうどコロナ禍と並走するようにUAUの進行と寄り添ってきましたが、ZERO編最終話でこんな面白い仕事ができたことは私にとってとてつもない財産になりました。え? まだ纏めるの早い? そうでしょうそうでしょう。長谷川先生はじめ全スタッフの皆様、時代がどう変化したとしても、只野はどんなネタフリでも状況を面白がりますのでこれからもよろしくお願いします! ULTRAMANファンの皆さん、未来に何が待っているのか僕にもわかりませんがともにこれからの展開を楽しみましょう!

ノンスケール スクラッチビルド

岩鉄城

製作・文/只野☆慶

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Ⓒ円谷プロ ⒸEiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi

只野☆慶(タダノケイ)

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