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ディオラママイスターに訊く! 模型テクニック【コジマ大隊長】

2021.06.25

ディオラママイスター/コジマ大隊長 (ゴジラvsコング【BANDAI SPIRITS】) 月刊ホビージャパン2021年8月号(6月24日発売)

Diorama Meister

ディオラママイスター

コジマ大隊長

 ディオラママイスターは、月刊ホビージャパンで多くのディオラマをコンスタントに製作しているコジマ大隊長。今回製作したのは『ゴジラvsコング』。今回は艦船部分の仕上げについては記事後半で解説しているのでそちらも要チェックだ。

▲月刊ホビージャパン2021年5月号掲載のOBSOLETEディオラマ「EP7 AZANIA’S HOPE」。コンパクトながらストーリー性のある見事なディオラマ(月刊ホビージャパン2021年5月号の書籍情報はこちら)
▲月刊ホビージャパン2020年10月号掲載のディオラマ「呉爾羅襲来」。アイデア元となった絵巻風のタッチを造形と塗装で再現している。現在淡路島の「ゴジラミュージアム」に展示中(月刊ホビージャパン2020年10月号の書籍情報はこちら)

 ディオラマ製作のポイント 

 ディオラマとは時間と空間を切り取ることで成立するもの。さまざまな角度から見たときの役者と余白のバランスや角度、流れゆく時間軸の中のどの瞬間を切り取るのかを、「コレ!」という発見に出会えるまで根気よく探すことに尽きるのではないでしょうか。
 今回は空母の長い船体をやや斜めに配置することで、進行方向の暗示とこれまでの軌跡を象徴する引き波を対角線上に配置し、動きと奥行きを感じさせるシーンを切り取ることができました。

可動モデルを固定する

 キャラクターを用いたディオラマ製作においては、可動モデルを使用する機会も多くなります。少しもったいないですが、見映え重視のためにポーズを決めたら関節を埋めましょう。

▲マジックスカルプを関節の隙間に充填し、それぞれの皮膚の質感を維持しながらテクスチャーを彫刻していきます
▲いろいろ試しましたが、アクリルシンナーに浸した爪楊枝で彫るのが一番よかったです

▲一度に全部やろうとすると早々に硬化してしまうので、数回に分けてじっくり彫刻していきます。焦りは禁物!

水面の表現

 今回は海上というシチュエーションのため、水面の表現をメインに解説していきます。

▲いくつかの試作を経て今回の方式(手前のもの)になりました。
奥から順に
①くしゃくしゃにしたアルミホイルにクリアーカラーで着色し、UVレジンでコーティングしたもの
→不自然なほど鮮やかでレジン硬化後表面が平坦なため立体感に乏しい
②同じくアルミホイルにソリッドカラーで着色して、ジェルメディウムでツヤを添加したもの
→色合いは改善したがアルミホイルが直線的なシワになりやすいため再考
③石粉粘土を使ったもの
→大波小波を自由に造形できるため採用、ツヤ感も申し分ない
▲まず、土台となる盤面が水分で反らないようにラップでコートします
▲石粉粘土を盛り付け、ベビーパウダーを撒いて麺うち棒で厚み5mm程度に伸ばしていきます
▲大きな波の起伏と、その中にさらに細かな起伏をつけるためにいろんなツールでスタンピングを行います(写真で使用しているのはドライバーのお尻とプラスチックの薬さじです)
▲船尾の引き波はナイフなどで粘土を立てて、立体的に表現します

▲石粉粘土が硬化したら、タミヤの水性アクリル塗料をエアブラシ吹きで基本塗装します。スカイブルー、フラットブルー、ロイヤルブルー、フラットグリーンをランダムに吹き付けます。凹んだ部分には濃い色を、波のトップには明るい色を残すようにしましょう。引き波は周りより明度を高めにすることで、スクリューでかき混ぜられた雰囲気が出ます

▲水性ツヤ出しニスでツヤを出します
▲白波の表現は珪石(石の粉)をジェルメディウムに混ぜたものを塗りつけます
▲ジェルメディウムは乾燥すると透明になるため、ジェッソのドライブラシで白さを強調します

▲この段階で水面にもう一段階細かな波紋を付けたくなり(笑)。KATOの「さざ波」を叩きつけるように塗ってダメ押し! 完成です(さざ波)

破壊神(ゴジラ)と守護神(コング)の闘いをディオラマ化!! 
Here we go!

 『ゴジラvsコング』より、予告編でもおなじみの名場面、甲板上での激突をイメージしたディオラマをコジマ大隊長が製作。二大怪獣は現在発売中のS.H.MonsterArtsを使用し、ステージとなる空母には劇中スチールのサイズ感に合うようにイタレリの1/720カールビンソンをチョイスしている。海面表現、艦船の仕上げ、そして生物表現とマイスターの腕が存分に発揮されたディオラマとなっており、映画公開に向けてボルテージが高まること間違いナシな作例だ。

▲幅約64.5cm、高さ約24cm、奥行き約27.5cm。予告編で何度となく見た洋上での殴り合いをモチーフとしている。劇中映像から確認できる情報をもとにスケールとイメージを割り出し、既存のキットを活かす形で製作している
▲予告編で写っていない部分は想像で補完。台座背面にはコネクタが配線されており、ケーブルを接続することでLEDが点灯する
▲転落防止ネットは切り取り、エッチングパーツで再生。イタレリ用が入手できなかったためピットロード 強襲揚陸艦 ワスプ級用の1/700を加工して使用している
▲フィギュア2体を載せるため、船体をプラ棒で補強している
▲飛行甲板は基本塗装ののちに、数回に分けて明るめの色をスポット塗装して変化付けを行う
▲デカールを貼り、Mr.ウェザリングカラーを使ってウォッシング。特にアレスティングフック付近は着陸時のタイヤ跡が多くなるように、暗めの汚しを付けた
▲スケール的にくどくならないように加減しつつ、船体にも軽くサビだれや陰影を描き込む
▲口内には透明ゴムボンドで涎を追加し、野性味と迫力を演出

▲破損したF-35にチップLEDを配線。さらに水槽のろ過フィルターを塗装し作った黒煙をスプレーのりで甲板に接着して、炎上する様子を再現。煙は配線隠しとしても機能している

▲炎上するF-35はピットロードのステルス機セットから複製し、クリアーレジンで製作したものを用いている
▲艦橋にもエッチングパーツの手すりを追加し、人間のサイズ感を連想させる要素を加える。レドームもアフターパーツやプラ棒で製作したものを追加。マストの張り線は伸ばしランナー(0.2mm)で再現
▲ゴジラは皮膚の硬質感を出すためにコントラスト強めのドライブラシで仕上げ(上が仕上げ前、下が仕上げ後)
▲逆にコングは毛の質感を細筆で書き込んで塗装。ゴジラ(寒色系)とコング(暖色系)に振り分けて対比的に仕上げている

■初めに
 今回の特集ではモデリングライター10年目の節目に「ディオラママイスター」に選出していただきましたので、僭越ながら話題の映画『ゴジラvsコング』の名場面を再現した作例で華を添えたいと思います。

■いきなりピンチ!
 編集部で企画の打ち合わせを行ったのがGW直前ということもあってか、いきなりニミッツ級空母がどこも欠品という大ピンチに遭遇! 連休の引きこもり特需の影響か量販店やネットでも軒並み品切れという状況。困り果てた末にとある個人営業のお店で相談したところ、「イタレリの1/720カールビンソンなら在庫がある」と返事が…。この機を逃したら企画自体が成り立たないので、すかさずGET! ただし付属の艦載機がF-14とFA-18だったため、ピットロード製の最新ステルス機セットも購入し、怪獣になぎ倒されるF-35Cも無事確保。なんとか準備ができました。

■シチュエーションについて
 残念ながら映画の公開が延期されてしまい製作段階では本編を見られていないのですが、YouTubeで予告編を繰り返し確認してイメージを構築。艦番号が写っておらず空母の特定ができなかったため、今回は忠実な再現というよりは「らしさ」重視の方向性で、艦橋や艦尾のレドーム追加など予告編で見える角度からの解像度を上げていく工作を加えていきました。
 艦船模型のスケール感をアピールする上で欠かせないエッチングパーツですが、1/720というイレギュラーなスケールのものは入手できなかったため1/700ワスプ級用のものを活用しています。手摺りや落下防止ネット、レーダーなど手の入れがいのある部分にエッチングパーツを使い、さらに伸ばしランナーでマスト周りの張り線を丁寧に追加しました。こうするとディテールがグッと鮮明になりますね。
 そしてこのディオラマを語る上で欠かせないのが海面の表現。いくつかの試作を経て1/700前後のスケールにおいての最適解を模索した結果、石粉粘土で大きな波のうねりを造形して水性アクリルで着色し、ツヤ出しニスで光沢感を出しています。

■洋上対決!
 今回の主役であるゴジラとコングはS.H.MonsterArtsを使用しています。どちらも細密なモールドと良好な可動性を備えているので、それらを活かしつつ進めていきます。
 両者を空母甲板に配置し、激突寸前のポーズを決めたら関節を瞬間接着剤で固定。隙間にマジックスカルプを充填して周囲のディテールと馴染ませるように彫刻していきます。一気にやると硬化して作業できなくなるので、数回に分けて丹念にモールディング。最終的にサフを吹いたときに元の皮膚との境目が分からなくなる仕上げを目指しました。

■塗装
 塗装では、ゴジラは寒色系に振ってドライブラシでコントラスト強めのハイライトを入れることで硬質感のある皮膚を表現。一方のコングは獣毛を暖色系の数色で塗装、毛並みを細筆で描き込んで両者の対比が明確に出るように調整しています。

■終わりに
 コロナ禍という未曾有のアクシデントにより映画の公開が延期されるなどさまざまな影響が出ているこの頃ですが、外出自粛を機にプラモデルやディオラマの楽しさを再発見された読者も少なくないはずです。我々モデラーはこれからも皆様の知的好奇心をくすぐる作例を作り続けて参りますので、ぜひ今後も楽しみにしていてください!

BANDAI SPIRITS ノンスケールPVCモデル“S.H.MonsterArts”
GODZILLA FROM GODZILLA VS. KONG(2021)、
KONG FROM GODZILLA VS. KONG(2021)使用

ゴジラvsコング

ディオラマ製作・文/コジマ大隊長

S.H.MonsterArts GODZILLA FROM GODZILLA VS. KONG(2021
●発売元/BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部●6600円、発売中●約16cm

S.H.MonsterArts KONG FROM GODZILLA VS. KONG(2021)
●発売元/BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部●6600円、発売中●約14.5cm

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コジマ大隊長 (コジマダイタイチョウ)

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