HOME記事ガンダム試作品展示から9年ついに商品化!「ROBOT魂<SIDE MS>MA-08 ビグ・ザム Ver. A.N.I.M.E.」開発秘話を特別インタビュー!!

試作品展示から9年ついに商品化!「ROBOT魂<SIDE MS>MA-08 ビグ・ザム Ver. A.N.I.M.E.」開発秘話を特別インタビュー!!

2024.12.04

ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E. ビグ・ザム開発秘話【BANDAI SPIRITS】 月刊ホビージャパン2025年1月号(11月25日発売)

──これだけ大きいものだと、各部の可動も気になります。

T元木 例えば足首はプラスチック素材とかだと保持できないので、バンダイさんと相談して、金属パーツを使用してガッシリした作りにしています。元々巨大なボディを支えるための内部構造や脚部にも留意して作っています。耐久面や踏ん張るための構造についても、かなり気にして設計しました。

柳沢 バランスをキチンと取れば、一応自立できるようにはしています。

B元木 ちなみに、柱状の付属スタンドは股間のバーニアをひとつ外して嵌める形になるんですけど、こちらのスタンドを用いればより安定したディスプレイが可能になっています。

T元木 実は股間の接続部は真下ではなく、わざと少し前側にしているんですよね。だから重心もズレているんですけど、それでも保持には問題ないように設計しています。
関節に関しては「足の爪を取っても自立できるか」など、バランスや保持力にも配慮しています。また関節の強度もかなり頑丈にしないと重心に持っていかれてしまうので、ヒザと股間はクリック関節にして、足首にはダイキャスト製の大型ボールジョイントを採用していますね。
 そもそも商品サイズが大きいので関節を仕込むこと自体は問題ないんですけど、むしろ関節の強度と自立保持のほうが難しかったですね。一応、立てヒザでのポージングも可能ですし……ビグ・ザムでやる必要があるのかどうかは疑問ですけど(笑)。

柳沢 可動箇所が脚部くらいしかないので、当初可動は脚を頑張るしかないなと思っていて……まあ、ビグ・ザムの脚がそんなに細かく動いてもなあとも思うんですけど(笑)。
 個人的に人型の可動フィギュアを作る時は、中に人間が入っているような自然な骨格を意識して作っているんです。まあビグ・ザムは人型ではなく異形ですけど、脚部は人間っぽい形をしていますし、人が入っていたとしたら、関節の位置はこのあたりだろうというバランスについては、今回もこだわっていますね。

──全体的なフォルムについては、どのように詰めていったのですか?

柳沢 2015年に作った試作品の段階で、「基本こんな感じかな」というところまでは一応詰めていたんですよ。でも今回の再始動までに6年ほど経っていたので、試作の3Dデータなどを基にしつつ、現在の視点で改めて検討し直しています。

T元木 最初のモデルから考えると、かなり弄りましたね。当時はこれで良いと思ったんですけど、今回形状もボリュームもかなり変わっているので。

柳沢 ボディ側面の形状が複雑で、すごく難しかったですね。

T元木 側面のエリ部分も、かなり修正しました。

柳沢 大きさも含めて、バランスはけっこう弄りました。顔部分も……「そもそもあれは顔なのか?」問題もあって(笑)、どう捉えるかも含めて悩みましたね。試作だともっと小さかったと思うんですけど、改めて見直すともう少しデカいほうがビグ・ザムらしいかなと思って、大きくしています。

T元木 あとは全体的なフォルムを考えて、脚も一部を少し太くしてメリハリを付けたりというような細かい調整にも、苦労しましたね。ビグ・ザムは角度によって見え方がかなり変わるし、「かっこいいビグ・ザムってどんなの?」と考えても、正解が分からない(笑)。今の感覚でアレンジしてしまうのも違うし、本当に難しい。

柳沢 表面のディテールに関しても、入れるかどうかかなり迷いましたね。試作品はそんなにディテールが入ってなかったのですが、あまりノッペリしているのもどうかと思って、密度感を考えつつ。ド・ダイやコア・ブースターのような航空機にはこれまでも割と入れているので、ビグ・ザムの巨大感を感じられるようなオリジナルのディテールを加えています。

T元木 パネルラインのディテールが入るとそこで分割することができるので、そこについては柳沢さんと相談しながら詰めています。

──ビグ・ザムの参考資料としては大河原邦男さんの設定画の他、テレビ版や劇場版『めぐりあい宇宙編』などがありますが、今回イメージソースの中心になったのは?

柳沢 個人的に一番印象に残っているのが、講談社のTV版ストーリーブック3の裏表紙に載っていた大河原さんのイラストで、あれをベースに考えていたところはありますね。

──ビグ・ザムの発光ギミックについても、詳しくお聞きしたいのですが。

B元木 発光する部分としては、まずはモノアイですね。またモノアイは、頭頂部のダイヤルを回すことで左右に動かすこともできます。あとは胴体部のメガ粒子砲で、中央の主砲と周囲の側面砲用にそれぞれ発光スイッチが用意されています。ちなみにモノアイのスイッチは頭頂部のフタを外すと出現するんですけど、その奥にコックピットが見えるようになっていて、搭乗しているドズルと一般兵も再現しています。
 またこれらとは別にもう1個発光ギミックがあって、あの「やらせはせんぞ!」のシーンを再現するための「ドズルの怨念」を投影することも可能です。背面のフタを外すと投影機が出てくるようになっていて、これで背面の壁などにエフェクトを投影することができるようにしました。投影する壁までの距離は30cm程度を想定して開発を進めていますが、離れるとそのぶんエフェクトも大きくなるので、適宜調節して楽しんでいただければと思います。

──かなり嬉しいギミックですね(笑)。

柳沢 アイデアとしては以前からあったんですけど、実際にやるとなると絶対コストが掛かるし調整も大変になる。だから止めるつもりだったんだけど、T元木さんとバンダイさんがいきなり作ってきちゃった。

T元木 柳沢さんには絶対反対されると思って黙っていましたが……これは絶対にやりたかった(笑)。
 以前もエフェクトパーツで怨念を表現していたものがありました。でもエフェクトパーツで再現すると金型が必要だからそれなりにコストが掛かるけど、電飾系ならそこまで掛からないだろうと思って……。

柳沢 気持ちは分かるけど、やるなら先に言ってよ(笑)。

T元木 個人的には、この商品の売りとして「怨念」にはこだわりたかった。それでバンダイさんとは内々に話をして「オミットするとなったら外せば済むから」ということで、設計段階で内部に投影ユニットを入れて、ひとまず進めさせてもらいました。投影ユニットについては、会社のトイレを暗くして出力実験を繰り返して、最後にバンダイさんに確認していただいて採用されることになりました。そういう流れがあるので、柳沢さんには本当に申し訳なくて……。

柳沢 僕は入れないで、というつもりは一切なくて、これやってとお願いするとT-REXさんが大変だろうなと思って、むしろ遠慮していたんですよ。

T元木 当時はHG デストロイガンダムのエフェクトパーツが好評で、ゴーサインが出る直前までは怨念をエフェクトパーツで表現する案のほうが、意見として強かったんです。だから試作を作ったことも、意味がありましたね。
 ちなみにディスプレイ用のオプションとして、ビグ・ザムの上に立つドズルのフィギュアも用意しました。またドズルが出てきた頭頂部のハッチも、開閉できるようにしています。

──劇中再現が捗りますね。

B元木 またビグ・ザム発売に合わせて、コア・ブースター(スレッガー機)とボール2機編隊セット、リック・ドムが「ソロモン攻略戦カラー」と題してプレミアムバンダイで発売される予定です(※詳細はコチラ。ボール、コア・ブースター、リック・ドムと基本的にはすべて発売済みの商品ですが、カラーリングは劇中のソロモン攻略戦時をイメージした、少し青く暗めの色合いに変更されています。今月開催される「TAMASHII NATION 2024」でも開催記念品としてGアーマーが発売されますので、そちらも組み合わせるとさらに遊びの幅が広がるかなと思います。

──それらのプレイバリューも含め、今回のビグ・ザムはある意味究極のアイテムになった感があります。今後の「ver. A.N.I.M.E.」シリーズに、発光や投影などのギミックが活かされる可能性は?

柳沢 まあ今回は、いろんな意味で到達していると思いますね。

B元木 今後については皆様の反応次第なので、引き続き応援していただければと思います(笑)。

──ビグ・ザムが立体化されたことで、今後はモビルアーマーなどの大型商品にも期待が持てますね。

B元木 今回のビグ・ザムで、工場で量産できる形としてここまでは可能ということが分かりましたし、理論上はモビルアーマーや大型モビルスーツも商品化可能になったと思います。

柳沢 逆に今回ここまでやってしまったので、次のアイテムでいろいろなギミックを盛り込まないと、皆さんに満足してもらえない気もしますし。

B元木 自らハードルを上げてしまった感はありますね。

柳沢 自分の首を絞めることになるから、正直やりたくなかったんですけどね(笑)。

T元木 結果「ver. A.N.I.M.E.」シリーズの幅を広げてしまったという意味でも、今回のビグ・ザムの存在は大きいと思うんですよね。発光ギミックにしても、この商品に必要だから入れたんですけど、じゃあ普通サイズのモビルスーツに電飾やモーターを入れるかとなったら、「それってこのシリーズでやるべきことかな?」となってしまうし。

B元木 ビグ・ザムによってver. A.N.I.M.E.シリーズの表現の幅が広がったと思います。

柳沢 「ver. A.N.I.M.E.」シリーズとは何なのかと問われると、未だに一言では説明できない。何となくのイメージはあるけど、「このシリーズのコンセプトは?」と聞かれると、答えは人によってバラバラになってしまう。

T元木 だからこそ、こだわろうと思えばいくらでも盛り込めるし、ある意味そこは強みでもあると思うんですけどね。

柳沢 そういう意味では今このビグ・ザムを作ったことで、やれないことは何もなくなった気がしますね。ダイキャストを使って塗装も電飾もやって、もう何でもやれそうだなと。

B元木 次は、合体と変形ですかね。

──自動変形するサイコ・ガンダムなんかも、面白いかもしれませんね。

柳沢 それは勘弁してほしいなあ(笑)。

(2024年11月1日、BANDAI SPIRITSにて取材)

ROBOT魂 MA-08 ビグ・ザム ver. A.N.I.M.E.開発秘話インタビューの様子

ROBOT魂 MA-08 ビグ・ザム ver. A.N.I.M.E.

●発売元/BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部●55000円、受注中、2025年5月発送予定●約46cm●魂ウェブ商店販売アイテム

商品ページはこちら


\この記事が気に入った方はこちらもチェック!!/

 最速公開! 

全高約46cm!! ついに商品化 「ROBOT魂MA-08 ビグ・ザム Ver. A.N.I.M.E.」テストサンプル最速公開!最大ボリュームのビッグサイズに秘められたギミックとは!?

全高 約46cm!! 恐怖! 機動ビグ・ザム テストサンプル最速公開! 開発スタッフインタビューに続き、「TAMASHII NATION 2024」でも展示され大きな話題となった[…]

 昔懐かしい良きキット 

ミライト&LEDで旧キット「1/550ビグ・ザム」をお手軽ライトアップしたヴィネットに仕立てる

 今回は、1981年後半からリリースが始まったモビルアーマー(MA)ラインナップから、1/550ビグ・ザムの作例をお届けしよう。TVシリーズの中では後半ラインナップということもあり、どれも秀作揃いといえるMAの中でも、劇中での活躍シーンと[…]

Ⓒ創通・サンライズ

1 2
この記事が気に入ったらシェアしてください!

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2025年1月号

ご購入はこちら

機動戦士ガンダム ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.開発秘録

ご購入はこちら

HJメカニクスアーカイブ 機動戦士ガンダム ジオン脅威のメカニクス編

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー