ウェーブ製1/20シーピッグが10年ぶりに再販決定!ユニークで重厚なデザインの魅力を活かしたMAX渡辺、横山宏の作例たちをご堪能あれ
2024.12.14傭兵軍 宇宙用偵察型装甲戦闘服 シーピッグ 製作・文/横山宏
センジュナマコ現る! このシーピッグはイルカ(漢字だと海豚と書きます)から名付けて、のちにsea pigという深海生物がいることがわかり最近までその生物をウミウシだと思っていたのですが、KATOOOさんにセンジュナマコだと教えてもらいました。そんな触手がたくさん生えているナマコのようなシーピッグが前回発売されたのは10年前の2014年。愛すべき中古模型店で8000円超えのプレミア価格で売っているのを発見! 「こんなに高価だともうみんな買えないわ」と思ってすぐにウェーブの高沢さんに「シーピッグ再販してちょうだい」と頼みました。新パッケージで成型色も変わって新デカールが付いて新たに塗装カードも追加されているとこれはもう再販品という名の新製品だね。
今回のシーピッグは筆塗りとエアブラシのハイブリッド塗装です。まず2色迷彩の境界線を筆でラフにぼかして塗ります。筆だけやエアブラシだけだとできない表現があるので今回のような迷彩塗装は筆とエアブラシのハイブリッド塗りが一番やりやすいんです。すべてにピントが合うのが筆塗りだとしたら部分的にフォーカスをあまくするのがエアブラシで、被写界深度を同一画面の中にいくつか設定できるんですよ。ところどころピントを外した塗装面にすることでメリハリがつくんです。ずっと第二次大戦のドイツ空軍のキットで練習してきたのでうまいこと塗れますよ。
今回のシーピッグは「7割くらいの塗装の完成度でデカールを貼ろう」と決めた頃に完成させたものです。普通のモデラーは筆の粗いタッチが残っている段階でデカールを貼るってのはなかなかできないよね。しかし粗い部分が残っている「7割くらいの塗装段階でデカールを貼る」と決めておくと、偶然できた粗くて勢いのある塗装部分をいい感じで残すことができたりします。イヤな筆ムラがあってもデカールを貼ると目がデカールのほうにいくからその近辺はさほど気にならなくなるんですよ。普段丁寧に作って何か物足りないなって人は騙されたと思って7割塗ったらデカール貼ってみてください。自分でも驚くような大胆なタッチが残ってカッコいいマシーネンが完成しますよ。最初は「9割塗り」からスタートしてもいいですね。
今回、本体の迷彩色は10年前に作ったシーピッグを意識して、さらに濃いバイオレットグレーで塗っています。「MAXさんだったらこの色喜ぶだろうな」っていう“MAX的な色”に寄せて塗りました。40年前作ったものを見せびらかしてたMAXさんこと渡辺君に今回もまた見せびらかしたくてこの塗装にしたのですよ。いつもより明度差を大きくしたのでケレン味がいいでしょ。iPhoneで撮影したものを画像処理のブリリアンスで調整しながら、もちろんいつものように写真を撮った時にどう見えるかを考えて塗装しています。
デカールはキット発売前だったので、レインボウエッグの「1/20ラプーン&S.A.F.S.デカール」の白いPのコードレターを4つ使いました。背中のPはバイオレットグレーにしたほうがいいと思って100円ショップのネイル用の細い筆で描くようにデカールの上に色を塗り重ねています。この筆はツールクリーナーで洗うと溶けてなくなっちゃうので普通のラッカー系の薄め液を使おう。
キットに特に記載はないけれど、このシーピッグはスネークアイとして組めます! 長いこと売ってなかったスネークアイが欲しい人はシーピッグのキットから作るといいですよ。(横山宏)
ウェーブ 1/20スケール プラスチックキット
傭兵軍 宇宙用偵察型装甲戦闘服 シーピッグ
製作・文/横山宏
担当編集オオマツのシーピッグ
レインボウエッグ製「1/20 傭兵軍宇宙スーツ用デカール3」の塗装見本を目標に、青と赤はプロモデラー・朱凰氏プロデュースの新たなラッカー系塗料ブランド「RAYVE」のコバルトマリンブルーとブラッディレッドを使用。白は水性ホビーカラーを使って色のメリハリを意識して筆塗りしました。ラッカー塗料の上に水性ホビーカラーで迷彩を描き込むことで、失敗しても台所用洗剤で何度でも拭き取れる工程を取りました。(オオマツ)
[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.130
傭兵軍 宇宙用偵察型装甲戦闘服 シーピッグ
文/KATOOO(レインボウエッグ)
シーピッグは新型のスネークアイに高性能な偵察機器を増設したハイエンドモデルです。プラウラーのものよりアップデートされたIRシーカー、左右のレドーム(レーダードーム)、アクティブセンサー、ドロップタンクを装備。そのてんこ盛りなフォルムもシーピッグの魅力となっています。
初出は月刊モデルグラフィックス2000年7月号。前号が『Ma.K.』巻頭特集で横山先生は複数のオリジナルモデルを製作。シーピッグは発売前のモデルカステン製スネークアイの改造作で、大一番のあとの連投というべき新作でした。横山先生に当時のお話を伺ったところ、「シーピッグを作ったのは24年も前なんだね。前号の特集で徹夜が続いて顔面麻痺になったんです。特集でいろんな人と一緒に新作を大量に作って次号のシーピッグもその勢いで作ったから今見ると当時の記憶があまりないんですよ。でもそのおかげでタバコがやめられたのはよかったなあ」と教えてくれました。
スネークアイ30機に対し1機の割合で生産されるシーピッグはその設定もあって発表当時からレアな機体の風格を漂わせていました。1999年よりモデルカステンからプラ+レジンの『Ma.K.』キットが販売され、S.A.F.S.系スーツはスネークアイ、ファイアボールSG、ラプター、A8/R8と出たもののシーピッグはキット化されず終了。オリジナルモデル発表から14年後の2014年、ついにウェーブから1/20プラキットが発売されました。そんなシーピッグもプレミアキットとなっていましたが、2024年9月に10年越しの再販が実現! さらにシーピッグはスネークアイに組むこともできるので、2013年以来再販されていないスネークアイを補充してくれるキットでもあったのです。
ホビージャパン55周年イベントレポート
2024年10月23日~27日に東京・秋葉原のAKIBAカルチャーズZONEで開催された「月刊ホビージャパン55th ANNIVERSARY FESTIVAL」で「Ma.K. in SF3D ARCHIVE」のカバーを飾ったMAX渡辺、横山宏、KATOOOの完成作例が展示された。27日にはMAX渡辺、横山宏のトークも行われた。
サイン入り シーピッグプレゼント
MAX渡辺、横山宏のサインが入ったウェーブ製1/20シーピッグを2名にプレゼント! 応募要項は月刊ホビージャパン2025年1月号P.342の「読者プレゼント」まで。
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