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日本の空を翔けた永遠の蒼き幻影 
F-4EJ改 ファントムII ファントムフォーエバー 2020

2021.06.21

F-4EJ改 ファントムII ファントムフォーエバー2020【造形村 1/48】 月刊ホビージャパン2021年7月号(5月25日発売)

 2016年のF-4Jから着実にバリエーション展開を行っている造形村SWS 1/48 F-4ファントムIIシリーズだが、日本でのファイナルイヤーを飾るべく、航空自衛隊F-4EJ改が満を持しての発売となった。キットは限定版で、第301飛行隊ファイナルイヤー記念塗装を施された2機のうち、ブルー系のカラーリングに尾部にファントムのマスコット“スプーク”が描かれた436号機を再現するもの。機首がロングノーズとなったE型の特徴はもちろん、ライトニングストリップが追加されたレドームなどEJ改での空自独自改修も盛り込み、蒼き幻影をみごとに立体化した!

▲1972年に導入を開始、1980年代末に能力向上の改修を受け「F-4EJ改」となった航空自衛隊のファントムIIも2000年代から徐々に退役、最後の第301飛行隊も2020年度をもって運用が終了。2機の特別塗装機によるメモリアルフライトが全国で行われた。
▲カエルのマーキングと「Phantom Forever」の文字は胴体両側面と下面に描かれている。特別塗装機なので外装は翼下ドロップタンクと内側パイロンだけにとどめた
▲機首右側面。青と白のストライプやシャークティースはもちろん、エアインテークのスプリッターベーンのF-4運用8部隊のマーキングもデカールに用意されている
▲436号機は垂直尾翼にファントムのマスコット“スプーク”が描かれる。キットではF-4EJ改で追加された胴体尾端ポップアップドアの尾灯も再現している
▲このF-4EJ改スペシャルマーキングで造形村のSWS 1/48 F-4ファントムIIシリーズも8作目。別売りのアフターパーツとして自重変形タイヤやメタル脚柱も用意。今後は通常塗装のF-4EJ改の発売も予定されている。
▲コクピットは前後席とも専用パーツを用意してEJ改を徹底再現。計器類は付属のデカールを貼り付けている
▲2基のJ79エンジンも再現。組み立て後は見えなくなるのでアフターバーナー部やファンを塗装しておけばOK
▲水平尾翼(スタビレーター)の補強板は別パーツだが厚みが気になるので薄く整形、また形状も修正している
▲最初に下地塗装。主尾翼のツヤあり黒に合わせGSIクレオスのMr.カラーGX2ウイノーブラックを使った
▲エグゾーストノズル付近の耐熱板部分の縞模様はマスキングにより再現。ノズルは塗装後に取り付ける
▲通常塗装の第302飛行隊所属機を再現する「F-4EJ改 ファントムII」も2021年6月12日から販売中

■限定のスペシャルマーキング
 造形村からファントムフォーエバー2020のブルーバージョンが限定キットとして2021年1月初めに発売されましたので製作します。20年にリリースされた初のロングノーズ型「F-4E(前期型)ファントムII」のバリエーションですが、機体はF-4EJ改なのでそれ用のパーツが入っており、レドーム、翼端パーツ、メーターパネルなどが新規となっています。なお第302飛行隊の通常塗装機を再現する「F-4EJ改 ファントムII」も発売中となっています。

■コクピット
 まずパイロット・シートです。よくできたパーツで充分なものですが、シートベルトがないのでファインモールド製のベルトを追加してあります。またキットのフェイスカーテンリングが細く脆いので、ファインモールド製のベルトパーツに含まれるパーツを使用してあります。
 コクピット部は前脚庫と一緒に組み立てるようになっています。サイドコンソールやメーターパネルはデカールが用意され、モールドにもピッタリ合うので充分だと思います。一部計器の大きさが違うような気もしますが、キャノピーを閉じた状態ではほとんど気になりませんので大丈夫でしょう。
 胴体の内部に取り付けるパーツが結構ありますので忘れずに。ピトー管やバルカン砲の砲口部は塗装時のことを考え組み立ては後にします。たぶんおもりは必要ないと思いますが、安全のため数gのおもりをレドームの中に仕込んでおきました。

■エンジン
 少ない部品でよくできていますが、組み立て後は見えなくなってしまいますので、アフターバーナー部やファンを塗装しておけばよいでしょう。作例ではエンジン外周も資料を参考に塗装してみましたが、パイピングなどの追加はしていません。

■主翼とインテーク
 パイロンの取り付け穴を必要に応じて開けておきます。主翼下面パーツにインテークダクトの奥の部分と前面ファンを取り付けておきます。これに組み立てたエンジンを取り付け、主脚庫の側壁パーツを取り付け主翼上面パーツも取り付けます。またここで前脚収納庫扉アクチュエーターを取り付けますが、先端を折りやすいので気を付けます。
 胴体パーツに組み込んだ後、インテークパーツを組み立てます。外側のパーツの内面に押し出しピン跡が見られますので、パテで埋めておきます。またここに取り付けるプローブは、資料に照らすと少々取り付け位置が前すぎるように思われますが、作例ではそのままにしてしまいました。インテークベーンは塗装、デカールを考え最後にします。
 各動翼は作動状態にも組めますが、今回は特別マーキングということもあってクリーンな状態としました。

■機体後部
 エグゾーストノズルおよびテールパイプシールは機体の全塗装後に取り付けたほうがよいでしょう。スタビレーターは取り付け位置を3パターンで選べ専用パーツが付属します。作例では水平位置にしました。このスタビレーターは補強板があるタイプなのですが、別パーツを貼り付けるようになっています。しかしこのパーツ、厚みがありすぎるので若干薄くしました。また形状も若干異なるので修正してあります。

■脚部など
 説明書通りに組み立てていけば問題なく仕上がります。外装は今回は翼下ドロップタンクと内側パイロンだけとしました。補助エアインテークドアおよびエアブレーキは開状態でセットしました。とにかく小物パーツも組み立て精度がすこぶるよいので、塗装しデカールを貼ってからのセットが可能です。
 最後に塗装済みのキャノピーを取り付けて完成です。

■塗装とマーキング
 とは言ってもマーキングは決まっていますし、塗装も同じくです。塗料はすべてGSIクレオスのMr.カラーです。今回下塗りは主尾翼の黒がツヤ有りなので、GSIクレオスのMr.カラーGX2ウイノーブラックにしました。下面はC308、上側面はC307です。
 スミ入れも今回はGSIクレオスのMr.ウェザリングカラーを使用しています。また通常ではデカール貼りの後オーバーコートして、ツヤの均一化およびデカールの保護をするのですが、今回の機体はツヤのある部分とない部分が混在しているので、部分的にしかオーバーコートしていません。

■最後に
 造形村さんのショートノーズF-4はリリース当初いろいろ指摘されたところがあったようですが、ロングノーズF-4リリースにあたって見直されたようで素晴らしいことですね。今後どこまでバリエーション展開されるのか実に楽しみです。

造形村 1/48スケール プラスチックキット

F-4EJ改 ファントムII ファントムフォーエバー 2020

製作・文/山田昌行

F-4EJ改 ファントムII ファントムフォーエバー 2020
●発売元/造形村、販売元/ボークス●7480円、販売終了※通常版(8250円)は2021年6月12日発売●1/48、約40.1cm●プラキット

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山田昌行(ヤマダマサユキ)

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