「勇気爆発バーンブレイバーン 未来戦士ルル」 エピソード6冒頭をWEBで試し読み!【公式外伝小説】
2024.09.27勇気爆発バーンブレイバーン 未来戦士ルル 月刊ホビージャパン2024年11月号(9月25日発売)
TVアニメ『勇気爆発バーンブレイバーン』の劇中10話で語られた、過去へと向かう方法を不器用ながらも探すことになったルルとスペルビア。このふたりが絆を深め成長していくことになった、知られざる「数年間」は本編では惜しくも語られることはなかった。本外伝ではこのふたりの『もう1つの物語』を描いていく。
原作/Cygames
ストーリー/横山いつき
ストーリー監修/小柳啓伍
協力/CygamesPictures、グッドスマイルカンパニー
イラスト/かも仮面
スペルビア製作/コジマ大隊長
ベラトール製作/オオマツ
エピソード1はコチラ
これまでのあらすじはコチラ
episode 6
──日本:種子島:大崎海岸沖──
1300フィートの上空で、青と白──2体の〈デスドライヴズ〉が向き合っていた。
『ベラトールといったか。お主、まことにつまらぬ相手よ』
『なに? 私がつまらぬと?』
『我やブレイバーンの戦いから情報を得たといったな。ならば、何故お主は独りなのだ』
『何をいうかと思えば〈ルル〉のことか。まことの戦士たる私は既にそれを克服している』
『克服だと?』
『そうだ。〈ルル〉は所詮使い捨てのエネルギーに過ぎん。あれを使わなければ真の力を発揮できない今までの〈デスドライヴズ〉こそ、未完成の証明であろう』
ベラトールは〈ルル〉ではなく母艦よりエネルギーを充填し、他の〈デスドライヴズ〉が持っていた力に近い能力を発揮していた。〈ルル〉を失ったことで大きく力を落としたかつてのスペルビアのようなリスクはないと言えるだろう。
『ふっ……ふはははははは!!』
だが、そんなベラトールの言葉をスペルビアは一笑に付した。
『なんだ? 絶望に錯乱したか?』
『ブレイバーンを失った時以上の絶望などあるものか。仮にそのような機会が訪れるとするならば、それはルルと共に推して参れなくなったその時だ!』
「スペルビア! ルルも、ずっとスペルビアと推して参る!!」
『ふふ……記録にあるブレイバーンの真似事をして、強くなった気でいるのか』
「それ、違う!」
『そうだ。魂を通わせる相棒を持ってこそ、我はより高みへ登ることができる!』
『たわけたことを!』
ベラトールは右手から赤い光線を放つと、そのまま両手足を分離する。
「またあれ来る!」
『うむ!』
スペルビアは飛燕雷牙で眼前へ転移してきた右腕を打ち払うと、その勢いを利用して右脚に回転蹴りをぶつける。それを追撃するように殴りかかってきた左腕を防ぐと、後ろに飛び退いた。直後、そこにベラトールの左足が通り過ぎていく。
『何度も同じ手は喰わぬ!』
そう言い放ったスペルビアの視線の先、頭と胴体だけのベラトールは一瞬笑い──その身体を消失させた。
『ぬ──』
スペルビアがベラトールの現出に気付いた時、その右肩部は既にベラトールの右腕から伸びた赤い光刃に貫かれていた。
『が──ぐッ!』
スペルビアは右手から離れかけた飛燕雷牙を握り直し、ベラトールへ力の限り突きを放つ。だがそこには既にベラトールの姿はなかった。
「上ッ!」
ルルの声にスペルビアが上を向こうとした瞬間、ベラトールの踵落としが頭部に直撃する。攻撃の衝撃を殺せず、勢いのままスペルビアは海中へと墜落した。
「スペルビア、大丈夫!?」
『この程度の傷、なんということはない!』
心配するルルをよそに、スペルビアは気丈に振る舞った。先程のベラトールの攻撃でスペルビアは確実に損傷している。母艦とのリンクが切れ、エネルギーの補助がなくなった今のベラトールでさえスペルビアでは五分に届かない状態なのだ。状況はさらに悪化しているといえた。
「腕、ちゃんと動く?」
『大した問題ではない。この身が朽ちるまで、我は戦おう。彼奴もそれを望んでいるようだからな』
「ダメ! それじゃ、イサミとブレイバーン、同じ!」
『だが彼奴を倒さねば、この星は滅ぶぞ』
『……っ……』
スペルビアの正論じみた返しに、ルルは唇を噛む。
イサミとブレイバーンが命を賭して守ったこの星を、滅ぼされてなどなるものか──その想いは変わらない。だが今のルルには、スペルビアを失いたくないという気持ちもまた、存在していた。
『往くぞ!』
ルルは不安な気持ちを振り払うように首を振ると、強く頷いてみせる。
スペルビアはそれに応えるように海上へと浮上した。
そこに待ち構えていたのは、全身に赤い雷を纏ったベラトールだ。
ベラトールの赤い雷は槍の先端へ集中していき、やがて巨大な光球となる。
『消え去れ』
無造作に振るわれた槍から光球が放たれた。
避けられないと悟ったスペルビアはそれを飛燕雷牙で受け止めると、光球は膨張し──スペルビアは赤い光の中に消えた。
──日本:種子島:大崎海岸沖:コンステレーション:格納庫──
「よくもってくれたな」
エレベーターで格納庫へと降ろされた〈烈華〉と〈ブレイブカノン〉が奥へ運ばれて行くのを見送りながら、サタケは労うようにそう呟いた。
クーヌス型と超大型母艦へ計4発を発射した〈ブレイブカノン〉と接続されていた〈烈華〉の消耗は酷く、砲塔は焼き付き、各所に破損が見える。これ以上の使用は危険と判断され、回収されることとなったのだ。
だが、今はTSパイロットを遊ばせている場合ではない。
サタケは代わりの機体を待っていた。
「お待たせしました。ディンゴ、いつでも出せます!」
駆け寄ってきたミユは呼吸を整えながらそう告げる。
〈コンステレーション〉に搭載された出撃していない〈ギガース〉の機体は1機だけ。シェリーが〈ブラスト・ライノス〉に搭乗したため、格納庫に残されていた〈M2A1 ディンゴ〉だ。
「了解、すぐに出撃する」
「〈烈華〉とは操作系が違います。念の為確認を──」
「今はその時間が惜しい」
サタケの言葉にミユは不安気な表情を見せる。
「大丈夫だ。全て頭に入っている」
そんなミユの不安を払拭するように、サタケは力強く答えてみせた。
──日本:種子島:大崎海岸沖:コンステレーション:戦闘情報センター──
超大型母艦の製造プラントが破壊され、新たな〈ゾルダートテラー〉の現出は停止した。しかしELCOの艦隊を狙う〈ゾルダートテラー〉はいまだ勢いを落とさず次々と襲いかかってくる。ロケット発射設備のために展開した防衛線を再構築したのが幸いし、現状はなんとか持ち堪えている状況だ。
「司令官。指揮官型〈ゾルダートテラー〉の現出により、防衛線が突破されつつあります」
「ああ、厳しい状況だがここは耐えるしかないだろう」
アイザックス艦長の報告にキングは淡々と答える。
この戦いの勝利条件は、超大型母艦を破壊すること。それができるのはやはり、ルルとスペルビアのみだ。ここで不覚を取り、彼らの足枷となるわけにはいかなかった。
「ルルくんとスペルビアに頼ってばかりになってしまうが、我々はそれを全力で助けるのみだ」
「はっ」
全ての〈ゾルダートテラー〉を撃退し、迅速に援護へ向かう。それが、今のELCOの目標だ。
指揮官型に統制された〈ゾルダートテラー〉が艦砲射撃を掻い潜り〈コンステレーション〉へと接近してくる様がレーダーに映る。
そんな状況を笑うかのように〈ゾルダートテラー〉が1機、弾幕をバリアで防ぎながら徐々に接近してきていた。
その状況を見やるキングの額から、汗が一滴流れ落ちる。
〈ゾルダートテラー〉はそのまま機体を加速させ、〈コンステレーション〉に迫る。もう少し接近すれば、艦橋が充分に狙える距離だ。
しかし──接近中の〈ゾルダートテラー〉は飛行甲板から放たれた弾頭に撃ち抜かれ、結晶となって消滅した。
その弾頭はシェリーが任務のために〈コンステレーション〉に残していった〈M2A1ディンゴ〉の背部キャノン砲から放たれたもの。
『コンステレーション、こちらアトラス・アクチュアル。CIC、指揮官型の座標を共有してくれ』
CICにサタケの声が響き、キングは僅かに口元を緩めた。
つづきは「月刊ホビージャパン 2024年11月号」にてお楽しみください
また、ルル役の会沢紗弥さん独占インタビューも収録しています!
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