エアフィックス「フェレット装甲車 Mk.2」に内部インテリアをスクラッチで追加! 箱絵の西ベルリン駐留師団に倣った塗装で仕上げる
2024.08.22FERRET SCOUT CAR Mk.2
1950年代から70年代にかけ、イギリス陸軍をはじめ各国で偵察任務を中心に活躍した装甲車、フェレット。AFVモデラーならずとも本誌読者なら実写版『機動警察パトレイバー』に登場したレイバー指揮車としてご記憶の方も多いのではないだろうか。今回はそんなフェレットを同じくイギリスの模型メーカーエアフィックスの1/35スケールキットでご覧いただこう。製作は本誌が誇るソフトスキンモデラー福田哲夫。開口部の多い車両ということでインテリアも可能な限り再現し、手のひらサイズのキットとは思えない、見どころの多い作品に仕上げている。
第二次世界大戦中に使用されたダイムラーディンゴの後継として開発されたフェレット装甲車は、ディンゴ同様に頑丈な車体構造と不整地走破能力の高さを備え、小型で高速(90㎞/h強)で走行することが可能だった。ディンゴとよく似た設計だが、ひとまわり大きく、かつ足周りとエンジンも強化され、機関銃付きの砲塔を装備(Mk.2以降)し、より汎用性が高くなっている。1952年から1971年の間に4400両以上も生産され、英連邦国を中心に広がり現在でも現役で使用している国もある。
戦後の英国装甲車を語るうえで外してはならない車両だが、キットには恵まれず、1/35では、今回のエアフィックス製が初のインジェクションキットである。昨年の秋、国内に少数が入ってきたがすぐに売り切れ、この春にやっと手に入りやすくなったのでこの機会に作例を紹介したい。キットのパーツは最近のエアフィックスの飛行機キットとは少し趣が異なる。太めのランナーと厚くしっかりとモールドされた一見固そうに見えるパーツ。しかしよく見るとモールドはメリハリが効いているし、組むとそのプロポーションは「さすが、自国車両!」と感じる正確さと再現度である。車体内部は見える範囲をそれなりに再現している(ハンドル・シート・無線機)が、開口部が広めなので、物足らない部分をスクラッチして再現してみた。また、各ハッチ類は一見可動化できるように見えたが、開閉位置によって、ヒンジ部分に微妙なズレが生じるため、今回は見送って開位置で固定してしまった。組み上げてみると開口部分からは想像以上に内部が見えなくなるのが判明したため、内部をいつでもみられるように、車体上半分にネオジム磁石を組み込んで取り外し可能にしている。その他、車体に多数あるフットマンループを3Dレジン製のものに交換、マフラーカバーのメッシュ部分を交換、キットで唯一再現不足の左後部車体側面の消火器をレジン製のディテールアップパーツからもってくるなど、ところどころに手を加えて精度を向上させた。塗装は、箱絵が西ベルリン駐留師団になっていたので、それに倣い「ディープブロンズグリーン」(BS381C224)を調色した。1955年から1971年後半の「Green&Black Scheme」制定までの間の欧州の英国軍用車両は「艶あり」の同色が標準色である。多く生産され紛争国をはじめ世界中で使用された車両なのでその塗装バリエーションは多い、キットもキプロス派遣の国連軍仕様のデカールなど作例以外に2種。その他別売りデカールも出ているし、またレジン製のタイヤなどもリリースされてきているので、この手のひらサイズの可愛い奴にぜひチャレンジしてほしい。
エアフィックス 1/35スケール プラスチックキット
フェレット装甲車 Mk.2
製作・文/福田哲夫
フェレット装甲車 Mk.2
●発売元/エアフィックス、販売元/GSIクレオス●5170円、発売中●1/35●プラキット
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福田哲夫(フクダテツオ)
本誌ではソフトスキン専門モデラーとして活躍中。中でも大の英国ファンということで今回は特に気合が入ったとのこと。