『コードギアス 新潔のアルマリア』作品をつなぐ新たなストーリーを前後編にて小説でお届け!【前編】
2024.08.02
ジノの期待を込めた言葉とは裏腹に、そこに立っていたのはピュアエレメンツG、たった一機のみだった。MVSを振るったはずのキースリーは全機、その場に崩れ落ちる。
「なに!? キースリー隊が全滅? どうやって……」
見ると、ピュアエレメンツGの左手にはクナイ型のMVSが握られている。紅蓮聖天八極式のものと全く同じものだ。
「くっ、そのMVSも完全にコピーしたってわけかい!」
言いつつ、両手に構えたエクスカリバーを振るうジノ。ジノのトリスタン・ディバイダーに装備されたエクスカリバーは、かつて帝国最強の騎士と謳われたナイトオブワン、ビスマルク・ヴァルトシュタインの駆るギャラハッドが装備していた剣。ピュアエレメンツGからすると、いくらMVSを持っていたとしても分が悪い。それに加え、ジノの剣技はキースリー隊のパイロットとは比べ物にならないほどの高さ。舞うように繰り出される斬撃に、悪魔のような戦闘力を誇ったピュアエレメンツGも防戦一方になる。
「悪いが、その手足を落とさせてもらう!」
エクスカリバーの切っ先が、ピュアエレメンツGの関節に向けられる。しかし、撃墜ではなく、鹵獲を狙うジノの太刀筋を読んだピュアエレメンツGはこれを回避。その隙をついて、右腕の統合兵装であるトライアームズの基部を回転させ、シュロッター鋼製の爪を持つアームズ1からMVSを内蔵した剣、アームズ2へと換装する。
「腕が変わっただと!?」
ジノがそれに気付くも、ピュアエレメンツGの動きのほうが一瞬早い。まるで閃光のような速さで右腕のアームズ2と左手のクナイ型MVSを振るい、トリスタン・ディバイダーの翼と脚を斬り落とした。
「くそっ! ここまでか!」
崩れ落ちたトリスタン・ディバイダーを横目に、周囲を見渡すピュアエレメンツG。ジノたちグリーンフォースだけではなく、政府軍やデモ隊にも動ける機体はない。それを認めると、エナジー・ウイングを広げ、驚異のスピードでその場から飛び去ってしまった。
「私自ら戦場に出ておきながら、奴を取り逃がしてしまうなどと、なんと不甲斐ない」
コックピットから這い出てきたジノが歯噛みする。
「大丈夫ですか? ヴァインベルグ空将」
「ああ。私は無事だ。奴は?」
「これまでと同じです。あっという間にファクトスフィアの感知圏内から離脱しました」
「そうか。だが、神楽耶様のところのエージェントのことだ。私が負けることも見越して策は施したのだろう?」
「はい。空将との戦闘の隙を突いて奴に発信機を仕掛けました。すみません。利用するような真似をしてしまって」
「いいさ。奴に勝てなかったのは私自身の落ち度だからな。他に気付いたところは?」
「他も今まで通りです。あれだけ派手に立ち回っておきながら、人的被害は最小限に抑えられています」
「やはりか。確かに我がグリーンフォースも死傷者ゼロだ。ますます奴の目的がわからないな」
「奴の真意を聞き出すためにも、早くとっ捕まえないとですね」
「そうだな。なら、宗賀の……」
「本名はご勘弁を」
「すまない。そうだった。エージェント新月は、奴の動向を追ってくれ。私はここキルギスの事後処理を行う。気になることもあるしな」
「気になること? もしかしてナイトメアのことですか?」
「やはり、君も気づいたか。そうだ。政府軍、デモ隊ともにこれだけの数のナイトメアを所有しているのはおかしい。だから、少し問い質してみようと思ってね」
「ふむ……。ひょっとすると、奴の次の動向に繋がるかもしれません。良ければ情報提供をお願いしても?」
「もちろんだ。後は助っ人も手配しておく。我がグリーンフォースが敵わなかった相手だ。君一人が相手するには荷が重いだろう」
「それはありがたい話です。ですが、空将以上の実力を持った人なんてそうそういないのでは?」
「嬉しいこと言ってくれるね。でも、奴……、ピュアエレメンツGに勝てるとしたら、あいつしかいない」
「それってもしかして……」
黒の騎士団本部。執務室の電話が鳴る。
「私だ」
ジノからの連絡を受けたのは、黒衣の仮面の男。黒の騎士団のCEOであるゼロだ。
『黒の閃光』後編へ続く。
【コードギアス 新潔のアルマリア】
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