HOME記事工具・マテリアル水性ホビーカラーって本当に水で薄めていいの? メーカーに訊いてみた! そして性能をじっくり検証!!

水性ホビーカラーって本当に水で薄めていいの? メーカーに訊いてみた! そして性能をじっくり検証!!

2024.08.19

水性ホビーカラーの「水性」の謎を検証!! 月刊ホビージャパン2024年9月号(7月25日発売)

「水」で薄めていいの?? 水性ホビーカラーの「水性」の謎を検証!!

「水性ホビーカラー専用うすめ液」と「水」で薄めた時とではどう違うの!?

 水性ホビーカラーの容器には「水または水性ホビーカラー専用うすめ液で少し薄めて使用すること」と書いてあります。実は水性ホビーカラーは溶剤系の塗料なので、アクリジョン、シタデルカラーやファレホといった水で完全に溶ける「エマルジョン系」とは成分が異なります。そのため「水でも希釈できる」という立ち位置にいる塗料なのです。最近の模型誌では水溶性という言葉を使うこともあります。
「水で希釈できるなら、専用うすめ液は必要ないんじゃないの?」と思われるでしょう。実際、本特集においても水性ホビーカラーで作例を塗っている清水圭は「うすめ液」で希釈し、セイラマスオは「水」で希釈しています。水とうすめ液では何が違うのか? 月刊ホビージャパンが行った検証の結果、希釈する液体によって塗り心地や塗面には大きく差が生じることがわかったので、早速その結果を見ていきましょう!

Q .水とうすめ液は何が違う? GSIクレオスに聞いてみました!

A.

水性ホビーカラーを薄める時は、基本的には専用うすめ液を使用していただいたほうが、仕上がりの面と扱いやすさの点でメリットがあります。塗料がよく伸びるようになり、筆塗りもしやすくなるでしょう。
 水でも薄められますが、コントロールが少々難しくなります。つまり、塗料の中の水分が多いため、パーツが塗料を弾きやすくなってしまうのです。弾かれる場合は水性サーフェイサーやツヤ消しトップコートのようなものを吹き付けてから筆塗りすると、定着度合いが向上します。うすめ液を準備しなくて済むぶんコストや利便性という長所はありますが、練習を重ねて希釈コントロールのコツを掴む必要はあると思います。(GSIクレオス)

希釈の目安

▲水性ホビーカラーは瓶の状態ですでに筆塗りに適した濃度になっています。伸びをよくしたい場合は少量の水でOK。容器に移した水にちょんと波紋ができるくらいの水分量で問題ありません。これはうすめ液でも同様。水やうすめ液を筆に含ませたら、いったん布などにちょんちょんと筆先を置いて穂先の塗料の量を調整するとスムースな塗装ができます

塗料を伸ばした時の比較

水で伸ばした場合

▲水を含ませた筆で伸ばしてみると、始点はかなり濃いめですが、筆の中の水が少しでも塗料に混ざってくると一気に薄くなりました。パーツに直接塗る際は、色の濃さのコントロールが難しくなりそうです

うすめ液で伸ばした場合

▲スタートからほぼ均一な色濃度で伸びていきます。水以上に塗料と混ざっているので、滑らかな塗面を形成しやすいです

プラ地に直接塗ると?

 まずは手つかずのプラ地の上から直接塗装して、それぞれ希釈した塗料がどのように定着するか見てみましょう。

▲水を少量にすれば弾かれません。しかし少々厚ぼったい塗面になっています
▲下地の成型色が透けるくらいの薄さでも弾かれません。塗膜も厚くならずコントロールしやすいです
▲うすめ液、水で希釈した塗料を3回ほど塗り重ねた状態。うすめ液のほうがしっかりと定着しており、塗面も比較的平滑。水のほうはツヤが無く、表面が凸凹しています

ツヤ消しスプレーを吹いてみよう!

水性プレミアムトップコート
つや消しを吹きました

 ツヤ消しスプレーを吹くと、パーツの表面に目では見えにくい細かな凹凸ができて、より塗料をキャッチしてくれるようになります。まさに透明のサーフェイサーといえる役割を果たすのです。ツヤ消しを吹いたパーツに塗料を塗ってみましょう

より薄めてみます

▲水希釈、うすめ液希釈どちらも同じ条件で薄めに希釈しました。薄い塗料を塗るとどうなるでしょうか?

弾かれない! じわじわと広がる感じ

▲ツヤ消しスプレーによって、塗料が留まり弾かれません

水彩のようです

▲もう少し塗り広げてみます。すると最初に塗っていた場所が少し乾いてきました。紙の上に水彩絵の具を塗ったような表情が現れています

弾かれない! 流れない!

▲かなり薄めの塗料を塗ってみましたが、塗料が弾かれてシミのようになったり、さまざまな方向には流れ出ず、筆跡の方向にしっかりと留まっています。ツヤ消しスプレーは水希釈、水性ホビーカラー専用うすめ液希釈ともに効果的ですね

黒立ち上げの場合

 エアブラシ塗装だけでなく、筆塗りでも黒やダークグレーの下地色から色を立ち上げることが多いですよね。「水性ブラックサーフェイサー1000」を塗装した上から、レッドを塗っていきましょう。

▲プラ地、ツヤ消しスプレーを吹いた時よりも圧倒的にコントロールが難しくなります。下地を透かそうとすると弾かれてしまったり塗料溜まりができやすいです。塗り潰そうとするとついつい厚塗りに
▲下地を透かす、隠蔽するのどちらもコントロールがしやすいので、塗面の色情報をコントロールしやすいです。また塗料が弾かれたり流れたりしないので筆跡の方向もコントロールできます

 検証結果

1/水希釈のほうがツヤが出ない(水希釈派のセイラマスオの塗面も、ツヤ消しスプレーを吹く前からほぼツヤ消し状態)。
2/希釈具合のコントロールが難しい。少しでも水量が多いと一気に弾かれやすくなる。
3/水性プレミアムトップコート つや消しを下地に吹くと塗りやすい。
4/暗い色から立ち上げるのには向かない。

水希釈の場合は以下の条件がオススメ!!

→成型色の上から同系色を塗る、水性プレミアムトップコート つや消しを吹いてから塗る

1/プラ地への塗装、水性プレミアムトップコート つや消し、黒立ち上げのすべての条件で安定した筆塗りが可能。水で希釈するのとは別物と考えよう。
2/ほんの少しだけ溶剤の匂いがする。

初めて水性ホビーカラーで筆塗りするなら断然「水性ホビーカラー専用うすめ液」がオススメ!

©創通・サンライズ

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