HOME記事キャラクターモデル「マットアロー1号」を“ペーパークラフト”を意識した薄くシャープなフォルムに仕上げる!『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』

「マットアロー1号」を“ペーパークラフト”を意識した薄くシャープなフォルムに仕上げる!『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』

2024.04.30

マットアロー1号(DAICON FILM版) 【フジミ模型 1/72】 月刊ホビージャパン2024年6月号(4月25日発売)

マットアロー1号発進命令

プラキットで甦る幻のウルトラメカ!!

マットアロー1号のメイン画像

 緊迫感のあるドラマと作り込まれたミニチュアセット、そして衝撃の怪獣バトル。自主映画ながら、製作から40年以上を経た現在も特撮ファンの間で語り継がれる『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』。そんな本作に登場するMATの主力メカ、マットアロー1号をフジミ模型がまさかのプラキット化! 今ではamazon prime videoで配信(2024年4月現在)されるなど、視聴は容易になったものの、まだまだ“知る人ぞ知る”存在だけに、このニュースに驚いた読者も多いのではないだろうか。

今回はそんな奇跡のキット化を果たしたマットアロー1号を、80年代SFメカ好きの野田啓之が発売目前キットレビュー! ペーパークラフト製という撮影用プロップの特徴を意識し、薄くシャープなフォルムを目指したというその仕上がりをご覧いただこう。


マットアロー1号の上部の画像
マットアロー1号の下部の画像 その1

『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』とは?

 1983年に発表されたDAICON FILMによる自主製作映画。円谷プロの『帰ってきたウルトラマン』をはじめとした「ウルトラマンシリーズ」にオマージュを捧げ、宇宙からの侵略と闘うMATの姿を描く。また、総監督の庵野秀明をはじめ岡田斗司夫、赤井孝美、山賀博之、武田康廣、澤村武伺ら後のガイナックスに関わる人々もスタッフとして数多く参加していることでも有名である。

あらすじ
 ヒラツネ市に落下した隕石ラムダ1を調査するMATだったが、隕石内部に潜んでいた怪獣バグジュエルが出現。怪獣の攻撃によりイブキ隊員のマットアローは墜落し生死不明となってしまう。被害の拡大を恐れる参謀本部は熱核攻撃をMATに命じるが、ヒラツネ市周辺には生存者が残る可能性があり、イブキ隊員の安否も不明のまま。出撃のタイムリミットが迫る…。

マットアロー1号の正面全体画像 その1
▲ キットは接着剤不要のスナップフィットモデル。機首パーツの選択で写真のレーザー装備タイプと通常タイプの機体が製作可能だ。なお、着陸状態でディスプレイする際は、機体が重く尻もちをつきやすいので、機首にエポパテ等のオモリを入れておくと良いだろう
マットアロー1号の正面全体画像 その2
マットアロー1号の背面全体画像
▲ 機体のシャープさを強調するため、ダクト周りのエッジを薄く見えるように削り込んでいる
マットアロー1号のコクピットの画像
▲ コクピットも丁寧に塗り分けることで精密感がさらに高まる
マットアロー1号のキャノピーを開いた画像
▲ こちらはおまけで製作した開いた状態のキャノピー。着陸状態で製作する際に効果的かもしれない
マットアロー1号の核弾頭マーク8搭載タイプの画像
▲ キットはDAICON FILM版マットアローの特徴である、用途に合わせて交換可能なコンテナの着脱ギミックを楽しめるので、コンテナを換装すれば、劇中後半に登場した核弾頭マーク8搭載タイプの機体も再現可能!
マットアロー1号のコンテナの画像
▲ 左がレーザー装備用のバッテリーユニットのコンテナ、右が核弾頭マーク8搭載コンテナ。各種マーキングはデカールで再現されている
マットアロー1号の機首の画像
▲ こちらは劇中に合わせノーマルタイプの機首に交換した
マットアロー1号のコンテナを取り外した画像
▲ コンテナを取り外した状態。作例は見た目重視で接続用の突起を削り取り、フラットな面に仕上げている
マットアロー1号の下部の画像 その2
▲ 離陸シーンで目にする機体下面のディテール。ランディングギアは差し替えで開閉を再現できる
台座を取り付けたマットアロー1号の画像
▲ 初回生産分にはこちらの飛行用展示台座と3Dプリンター出力品のパイロットフィギュアが付属する
マットアロー1号と台座の接続部分の画像
▲ 台座と機体の接続には、着陸脚の取り付け部を利用しており安定感も抜群

マットアローは紙製!?

 DAICON FILM版のマットアロー1号といえば撮影用モデルがペーパークラフト製というのは有名な話。2021年から全国を巡回中の『庵野秀明展』でも当時プロップの製作を担当した三枝徹氏自身の手で当時と同じ手法(もちろん紙製)で制作されたレプリカモデルが展示され、その精巧な仕上がりには誰もが驚かされた。

DAICON Ⅳに展示されたマットアロー1号の画像
▲ 「DAICON Ⅳ」に展示されたマットアロー1号

 今回のDAICON FILM版マットアロー1号は正直言って初耳ネタで知りませんでした。が、見たら何とカッコイイではありませんか! 世代でしょうか? 自分的にデザイン、スタイル、カラーリングすべてがど真ん中でした。早速映像でも確認したのですが映像に使われたプロップは紙で出来ていると聞いて腰を抜かしました(笑)。とても紙とは思えないくらい精巧かつ繊細に仕上げてあり素晴らしく惚れ込みました。

■製作
 キット自体プラ厚も薄くシャープな仕上がりなのですが、プロップモデルが紙製なのでこれに近づけるべく、まずはエッジを薄くするところから始めました。ただ、キットのままの状態だと作業性が悪い(私の経験不足から来る慣れ不慣れの問題ですが)のでいったん本体を左右に切り離してから各部のエッジを薄く削り込みます。

そしてエッジの薄々攻撃が終わったら、ダクト周りの合わせ目を処理しつつ全体の形状を整えました。ここでエアインテークの緩やかな形状だけはちょっと気になったので削り込んでプロップを参考にシャープな形状に近づけました。この上にあるインテークもプロップは薄くシャープなのですが、こちらはプラキットとしての形状バランスを重視しプロップ通りに薄くするための作り替えはせず整形するのみに留めています。

 DAICON版マットアローの特徴であるコンテナに関しては、前側面にある本体との取り付け溝と(プロップ再現ではあるものの、コンテナの脱着時に引っかかるので)本体側の突起部分は削り取りコンテナの溝も埋めています。また、おまけ作業にはなりますが、今回いただいたテストショットにキャノピーパーツが2個入っていたので、1個を中央で分割し展開状態を再現しました。

■塗装
 真っ白な機体に青いラインがバシッ! と決まったカッコイイカラーリングですので、チョロハゲ&ウェザリングにてスター・ウォーズビークルっぽい仕上げに…と進言しましたが、あえなく編集部担当さんより却下! そりゃそーだ(笑)てことで、真面目な話プロップモデルを意識したウェザリングを施して仕上げました。また、青いラインは本来デカールが付属しますが、今回はテストショットのためマスキングと塗装で再現しています。

本体=#GX1クールホワイト(100%)
濃いブルー=#328ブルーFS15050(100%)
※タミヤエナメル塗料ロイヤルブルー
薄いブルー=#34スカイブルー(100%)   ※タミヤエナメル塗料スカイブルー
ジェットノズル&ダクト内部=#01グラファイトブラック

※ブルーのラインは塗装して仕上げる方でラッカー塗料で仕上げるのは失敗がちょっと怖いかな…という方は、エナメル塗料の使用をお勧めします。実際私はマスキングに大失敗して大泣きしましたので(笑)。
ウェザリング=ガイアカラーの#073ニュートラルグレーをモールド線に沿って細引き(これもエナメル塗料のニュートラルグレイとかで行うと良いかもです)

■あとがき
 近年、主にキャラクターモデルに関しては色分けパーツ成型済みのパーツを切り出してハメ込んでいけば出来上がる! みたいなプラモデルが多いなか、久々に「プラモデルらしいプラモデルを作ったな〜」と思いました。ま、このキットも塗り分け部分はデカールが揃ってますので、今回のように塗装せずとも組んでデカール貼ってスミ入れするだけでも充分満足できる仕上りになるのはさすがのフジミ模型さんに感謝です。

マットアロー1号の正面全体画像 その1

フジミ模型 1/72スケール プラスチックキット

マットアロー1号(DAICON FILM版)

製作・文/野田啓之

マットアロー1号(DAICON FILM版)

●発売元/フジミ模型●7480円、5月15日発送予定●1/72、約19cm●プラキット


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©円谷プロ ©DAICON FILM

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