HOME記事キャラクターモデル40年越しの新キット! ウェーブ新設計の1/20 「P.K.A. Ausf H0」を製作! 【Ma.K. in SF3D】

40年越しの新キット! ウェーブ新設計の1/20 「P.K.A. Ausf H0」を製作! 【Ma.K. in SF3D】

2024.05.07

Ma.K. in SF3D/P.K.A【ウェーブ 1/20】 月刊ホビージャパン2024年6月号(4月25日発売)

40年越しのP.K.A.は傑作キット!!

 1984年発売の日東製プラキットから実に40年、2024年3月にウェーブから新設計の1/20 P.K.A. Ausf H0が発売された。ウェーブの完全新金型の装甲スーツにP.K.A.H型シリーズが加わったことでついに『Ma.K.』の基幹スーツが1/20ですべて揃ったことになる。
 日東キットよりもボリュームアップされたP.K.A.はプロポーション、ギミックともに秀逸。組み立てやすさも考慮され傑作キットとの呼び声も高い。横山宏、MAX渡辺はそれぞれ2体のP.K.A H0型を迷彩塗装機として製作。40年越しの新キットからP.K.A.の魅力を存分に味わっていただきたい。

P.K.A. Ausf H0
●発売元/ウェーブ●4620円、発売中●1/20、約12cm●プラキット


シュトラール軍 装甲戦闘服H0型 P.K.A. Ausf H0 製作/横山宏

▲ノイパンツァーファウストを持った28番機はほぼ無改造。余剰パーツをスモークディスチャージャーとして上部側面に真鍮線で接続
▲39番機はパンツァーシュレックを所持。腕の付け根を詰め、チューブ付きのマスクを他のキットを参考に自作した
▲グリーン系の迷彩塗装にウェザリングカラーのオレンジとサンドを混ぜたもので汚しを入れた
▲︎組立説明書に指示がないエンジン上部のカバーを付けシーリング済みパワーパイプに換装
▲撮影前日の2024年4月1日にMAX渡辺氏の株式会社ウェーブ代表取締役就任が発表された。横山氏のウェーブ製P.K.A.作例を持って記念撮影
▲ 「ベースは前回の使いまわし。軸穴を埋めて塗り足してだんだん層が厚くなって、いい感じの油絵みたいになってます」(横山)
前回のweb記事はコチラ
▲キャノピー開放時の見映えを考慮して下端の挿し込み部を除去。マスクとチューブは自作した
▲自身の改造例(写真奥)を参考にエポパテやビニールコード、エナメル線でマスクとチューブを自作した
▲マウンテッドサイトとパイロットの視線を同方向に
▲39番機は軸を真鍮線に替えて腕の付け根を詰めた
▲1体はかかとを上げて歩く態勢で固定。角度を変えた軸穴をあけ、つま先に挿した
▲「3D造形の恩恵で透明パーツの曲面の精度が40年前より格段に進化していますね」
▲ボディシェルは無改造で展開できる
▲「サイドアーマー取付部の後端にノイパンツァーファウストをひっかけられるくぼみがあるからここに接着してもいいね」
▲︎横山氏製作のパッケージモデル(左)とオリジナルモデルとほぼ同寸のKATOOOのセミスクラッチ作例。ボリュームの違いがわかる
KATOOOのセミスクラッチ作例web記事はコチラ

 MAX社長!! いや渡辺君!! ウェーブの社長就任おめでとう! これってわしの人生でもっとも驚いたことのひとつです! その発表は今回の撮影の前日、2024年4月1日に海洋堂宮脇センムと一緒にアキバ模型屋巡りしてる最中に知ります。マジでジジイは腰を抜かすほど驚きましたよ。エイプリルフールかどうかを確かめるべくMAXさんを模型屋さんに呼び出してセンムが模型買ってプレゼントすることになったのは必然の流れでした。しかしふたりの友人が自分のコンテンツをどんどんキット化してくれる人生ってのははなかなかないよね(もちろんハセガワ様の社長も友人です!)。1982年にMAXさんの1/60ザクの作例を見て「ガンダム」もこんなに面白く作れるんだって関心をもった時から早40数年、最大のマシーネンキットを手がけるウェーブの社長に就任するなんざまさに「お釈迦様でも気がつくめぇ!」って状況ですな!
 そして社長就任直後のこの連載がウェーブのマシーネンキットの今後を占う40年越しのP.K.A.の新キットになったというのはなんと感慨深い話でしょう。40年前の『SF3D』時代に日東科学からキット化された時の感動は筆舌に尽くしがたいものがありましたが、今回40年ぶりに発売されたシン・P.K.A.もその感動を超えるものになりました。その勢いはパッケージ用モデルに続いてキットになったP.K.A.を2体作ってしまうことになりました。
 シン・P.K.A.も例によって2体同時に組み立てるところから始めたわけだけどこのキットは驚くほどよくできていてとても組み立てが楽! いや!「楽しい!」というほうが正確かもしれません。楽しいは楽と同じ字書くはずだね。これまでウェーブのマシーネン製品は脊戸氏の原型を使って素晴らしいキットを作ってきましたが、次のステージとして脊戸原型に代わって新規金型の原型を作ってくれる人を探していました。そこでたいへん完成度の高いジレーネのレジンキットを作ってこの連載に登場したこともある福岡在住の兼行雅雄さんに白羽の矢を立てました。そしてP.K.A.からウェーブのマシーネン製品の原型を作ってもらうことになります。兼行さんはデジタル造形を得意として、オリジナルモデルのP.K.A.のフォルムやディテールを検証しその構造や組み立てやすさも考慮して設計してくれました。実際に組んでみるとその精度の高さがよくわかります。
 このP.K.A.は最初にデザインしたH0型で、キットのランナーには今回使わない部品も入っているのでこれらを多く使って作ってみました。腕に付けるグレネードランチャーをスモークディスチャージャーということにして本体の上部に付けました。1体にはエンジン上部のカバーになるG2パーツやシーリング付きのパワーパイプも装着させましょう。
 1体は腕の付け根を詰める改造にもチャレンジします! まず付け根の軸を切断して球状部分に真鍮線を挿してから腕の蛇腹パーツに球の部分を押し込み、腕を本体につなぎます。ネットのみなさんの工作を見てみると本体の腕の受け側のフチを削る人もいたので可動範囲を広げたい人はやってみるといいでしょう。わしはカメラマンでマシーネラーの松井君のまねをして本体上部のマウンテッドサイトの向きとパイロットの視線をシンクロさせておきました。
 最初期バージョンのH0型ということもあって今回の塗装はクレーテのオリジナルモデルみたいなライトブルーグレーもいいかなって思ったんです。WWIIのドイツ軍用車両も初期は濃いブルーグレーの機体だったしね。だけどやっぱり黄色味が欲しくなってダックエッググリーン寄りの色に落ち着きましたよ。GSIクレオスのドイツ機下面色の瓶に白や黒を入れて明度を入れて調整した色です。フォッケウルフのプラモの塗装準備をしていたけどそっちはなかなか塗れなかったのでP.K.A.に塗ったというわしの中ではよくあるパターンです。濃いほうの色は茶色とグリーンを混ぜたオリーブグリーン的な色で塗っています。40年以上毎日同じようなことを継続してやっているのでジジイになればなるほど塗るのが上手くなって当然だわ(笑)。材料も道具も40年前とは比べものにならないくらいよくなっていて、40年ぶりに出たP.K.A.のキットを作るのは本当に楽しかったし感動も大きいよ。何より技術の進化に驚く。みんなもシン・P.K.A.をどんどん作ってみてくれるとうれしいです。(横山宏)

ウェーブ 1/20スケール プラスチックキット

シュトラール軍 装甲戦闘服H0型 P.K.A. Ausf H0

製作・文/横山宏


シュトラール軍 装甲戦闘服H0型 P.K.A. Ausf H0 製作/MAX渡辺

▲彩度を落としたブルーとクリーム系ホワイトの迷彩塗装を施したMAX渡辺のH0型2機。粗く力強い筆のタッチが鮮烈。機体番号や部隊マーク、ノイパンツァーファウストやパンツァーシュレックの先端がいい按配の挿し色となっている
▲工業機械的な様相を呈する背面。パワーパイプは2機ともH0型では使用しないものに換装した
▲カギ爪は開閉し軸はボールジョイントにより可動する
▲ボディのサイドアーマー取付部はオリジナルモデル準拠で前方と後方の形状が異なる
▲背面下部にも日東キットにはない、H0型やH1型のオリジナルに準拠したモールドが
▲同じフィギュアを塗装で別人に見えるよう仕上げた。2番機は熟練パイロットの雰囲気
▲4番機は柔和な表情のパイロット。フィギュアは若干上下に動かすことができる

■MAX渡辺がWAVEシャチョー?
 悪い冗談のような、しかし本当のお話です。2024年4月1日より、私MAX渡辺は株式会社ウェーブの代表取締役に就任しました。マックスファクトリー代表と兼任になります。魅力溢れるホビーの世界をより楽しく面白くすべく、ボク自身もコレまで同様、皆さんと一緒に目一杯楽しみながら頑張ります。より一層の応援、激励をヨロシクお願いいたします♪

■完全新規!! 新生PKAはマヂで凄いぞ!!
 多分世界一多くのウェーブプラモデルを組んで塗った男、MAX渡辺です。シャチョー就任で唯一困った面倒なことは、今後ウェーブ商品を褒めると自画自賛になってしまうことではないでしょうか。さりとて問題点ばかりをほじくって反省していても気持ちの良い記事にはなりません。その辺りを踏まえつつ出来る限り今まで同様のノリでやっていきたいと思っています。で、今回取り上げた1/20 P.K.A.、マヂで良いんですよ♪ 歴代ウェーブプラモデル2024年4月現在での最高傑作だと思います。組み心地、嵌合精度、形状などなど、ホント素晴らしい、だから気持ちよくサクサク組めちゃいます♪ 本キットの開発に僕は一切関わってないからこのくらい言っても良いですよね(苦笑)。

■青で行く!!
 ココ最近、またまた一皮剥けて塗りが冴えてる横山センセ。高齢者になっても伸びるって素晴らしいですよね♪ で、センセ得意のカラーリングゾーンだと勝てる気がしないのです(汗)。なので今回はそこあたりをチョイと敬遠…(笑)。いずれ塗るであろう茶系、ドラブ系はひとまず置いておき、ボクのフィールド、キャラ物寄りの色味で行こうと決めました。彩度をボクなりにかなり殺したブルーにクリーム色基調の白のツートンです。赤やオレンジの部隊マークを挿し色に足してまとめてみました。粗い筆のタッチをむしろ残し過ぎくらいに活かしてみました。色味についてはもっと彩度を落としても良かったかな? とも思いますが、コレはコレでうん、悪くないのではないかと♪
 ウェーブの『Ma.K.』シリーズは今後も今まで同様、1/20スケールを軸として淡々と、しかし良質のキットをリリースし続けて参りたいと思います。引き続き、ご愛顧、応援ヨロシクお願いいたします!!
(MAX渡辺)

ウェーブ 1/20スケール プラスチックキット

シュトラール軍 装甲戦闘服H0型 P.K.A. Ausf H0

製作・文/MAX渡辺
協力/鈴木孝、堤啓介


[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.125

シュトラール軍 装甲戦闘服H0型 P.K.A. Ausf H0

文/KATOOO(レインボウエッグ)

 今回の「Ma.K. in SF3D」撮影前日の2024年4月1日にMAX渡辺さんが株式会社ウェーブ代表取締役に就任。マックスファクトリー、ウェーブの代表を兼任されるとのことでワクワク感がいっぱいです。MAXさん、代表取締役就任おめでとうございます!!
 P.K.A.H0(エイチ・ゼロ)型はシュトラール軍初の装甲戦闘服です。ホルニッセ(HORNISSE)のコクピットになるので頭文字を取ってH型になりました。初出は月刊ホビージャパン1982年7月号。ヘリコプター(ハセガワ1/48ディフェンダー)を芯にしたため傭兵軍のA.F.S.とは対照的なデザインに。腕はA.F.S.に使われたミクロマン強化スーツ2の武器を切断し上腕と前腕にしています。P.K.A.の武器について横山先生にお話を伺うと、「シュトラール軍はドイツ軍をイメージしてたからドイツ歩兵が使う対戦車兵器のパンツァーファウストを参考にした“ノイパンツァーファウスト”をP.K.A.に持たせました。P.K.A.のこの武器がドイツのものと同じカタチだと思ってる人もいるけど本物の弾頭はもっと細身なの。P.K.A.のは棍棒みたいだもんね(笑)」と話してくれました。ノイパンツァーファウストの流用パーツは完全に解析できていませんが、先端はダイアクロンの日東1/60バトルス02のパーツを使用。筒状や円錐状のパーツと直径5mmのプラ棒を組み合わせています。
 H0型とH1型の設定上の違いはエンジンにあり、Maybach 210TRMを搭載しているのがH0型、220TRMがH1型となります。日東製1/20 P.K.A.は金型の都合でエンジンパーツを共通にせざるを得ず、どちらも220TRMと刻印されていますが、ウェーブの新設計P.K.A.H0型のエンジンには210TRMの刻印が(!)。Iランナーにはエンジン以外にカギ爪や腹部のエアインテイクのパーツもあり、それらがH0型の外見的特徴となります。キットにはどのタイプに使用するのか不明なパーツも入っているので今後のキット展開を予想するのも楽しみですね。

▲オリジナルのP.K.A.の腕はミクロマン強化スーツ2の武器を切断したもの。本体取付用の穴がモールドになった
▲ノイパンツァーファウスト先端はダイアクロンの日東1/60バトルス02のパーツを流用

静岡ホビーショー『Ma.K.』先行販売品&限定販売品情報

 ツインメッセ静岡で開催される「第62回静岡ホビーショー」の2024年5月11日(土)、12日(日)の一般公開日に販売される『Ma.K.』アイテムを紹介しよう。
 マックスファクトリーは1/35ファルケを先行販売。通常版とは異なるパッケージで限定200個の販売となる。
 海洋堂は成型色が大理石風マーブルで新規デカール付属の「マブQ グラジエーター[後期量産型]」を限定販売する。

1/35 反重力装甲戦闘機 Pkf.85 ファルケ

●発売元/マックスファクトリー●5200円(イベント価格)、5月11日、12日(「静岡ホビーショー」限定先行販売)●1/35、約19cm●プラキット

ARTPLA マブQ グラジエーター[後期量産型]

●発売元/海洋堂●4000円、5月11日、12日(「静岡ホビーショー」先行販売)●1/35、約13.5cm●プラキット●海洋堂直営店で後日販売(4400円)※数量限定商品のため、売り切れの場合があります

NINJA発売!!

 ウェーブから月面用クラッフェンフォーゲル「NINJA」が発売!! 頭部の索敵シーカーなど新規金型パーツが追加される。

NINJA

●発売元/ウェーブ●6820円、7月下旬予定●1/20、約25cm●プラキット

横山宏展GWに開催!!

 東京・青山のビリケンギャラリーで横山氏の個展「横山宏from 1982」が2024年4月27日(土)から5月12日(日)まで開催される。開催時間は12時~19時(火曜が定休日)。横山氏のイラストや立体作品も販売する予定。

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© Kow Yokoyama 2024

MAX渡辺/横山宏/KATOOO

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