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日露戦争の立役者「二十八糎榴弾砲」を新キットを使用して朽ち果てた遺跡ディオラマに!

2024.04.16

日本陸軍 二十八糎榴弾砲 日露戦争 1905【ボーダーモデル 1/35】 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)

日本陸軍 二十八糎榴弾砲 日露戦争1905

夕景の追憶に描き出す明治期の巨砲

 日露戦争は、明治38(1905)年5月27日の日本海海戦の大勝利が有名だが、その原動力となったのが前年に行われた旅順要塞の攻略であった。要地である203高地への攻撃はとくに困難を極めたが、日本陸軍は二十八糎榴弾砲を投入し約1万7000発もの砲撃を加え、12月5日についに203高地の奪取に成功したのである。日露戦争におけるリーサル・ウェポンのひとつである二十八糎榴弾砲はすでに1/35スケールキットが存在するが、ボーダーモデルから完全新金型のニューキットが登場。120年前の勇姿を偲ぶ遺跡ディオラマとして製作!

日本陸軍 二十八糎榴弾砲 日露戦争1905 背面
日本陸軍 二十八糎榴弾砲 日露戦争1905 俯瞰
▲二十八糎榴弾砲はもともと海岸防衛用で、203高地攻撃の砲も当初は対馬などの要塞に移設予定のものだった
▲要塞に配備された二十八糎榴弾砲は、円形劇場のようなコンクリートの砲台に設置されていた
日本陸軍 二十八糎榴弾砲 日露戦争1905 二十八糎榴弾砲 砲口アップ
▲古の大砲のイメージを具体化したような太く短い砲身。内部のライフリングは砲口から砲尾まで完全に再現されている
▲砲身の俯仰機構は各部のギアやハンドルがきちんと再現され、砲架の回転とも合わせて完成後も可動できる
▲手すりや足かけ、旋回用のギヤなどが再現された砲架後方の観測台。作例では本来の用途であった海岸要塞に配備された状態、さらに錆が付き朽ち果てた状態を想像したディオラマとした
▲二十八糎榴弾砲の巨大さの指標となる女学生フィギュア。ミニアートのキットをベースにエポパテでスクラッチ
▲イーゼル、キャンバス、絵の具箱などの絵を描くための小道具はすべてプラ材やエポパテなどから自作
▲塗装前の状態。砲身、砲架、旋回台などは未接着の状態。この上から錆色を塗装後、お湯で溶いた紙粘土を塗布し乾燥後に拭き取り、油彩やピグメントなどで錆のテクスチャーを表現した
▲完成状態に組み立ててみた状態。ボーダーモデルのキットは少なめのパーツながら薬室と閉鎖器のかみ合わせなども精密なディテールで再現。組立説明書もていねいで組み立ても容易だ

■日露戦争時の大砲キット
 大砲は今も昔も戦争には欠かせない重要な兵器ですが、戦車や戦艦、戦闘機などに比べると残念ながら地味な存在ですね。しかし、今回紹介する二十八糎榴弾砲は日露戦争での有名な活躍のこともあって、大砲の中でもよく知られているのではないでしょうか。短砲身のずんぐりした「いかにも昔の大砲!」という印象的な姿も、知名度の高さに繋がっているように思います。ボーダーモデルのキットは、そんな二十八糎砲の佇まいをきっちりと再現しています。

■製作
 キットはすべてプラ製で(ウインチ用のワイヤーロープ除く)、パーツ数は少なくランナーは3枚のみ。省略が多いかと思いきや、リベットや足場の滑り止め、薬室と閉鎖器のかみ合わせなど、ディテールはとても精密です。とくに砲身のライフリングは砲口から砲尾まで完全に再現しており、びっくりしました。砲の仰俯角、砲架の回転は可動式。各ギアやハンドルがきちんと再現された優れた設計で、完成後も動かして楽しむことができます。組み立ては、説明書がていねいでわかりやすいこともあって、可動部も含め難しいところはなくさくさくと組みあがります。
 この砲は日露戦争でのロシア軍陣地への砲撃が有名なのですが、そもそもは海岸防衛用で日本国内の各要塞に据えられていました。最初はその様子で製作を考えたのですが、もうひとひねりして、戦後に遺棄され錆びて朽ちた様子にしてみました。現実では、戦後日本軍の兵器は連合軍によって処分されましたので有り得ないシチュエーションです。また、新製品紹介の作例ですので、砲は大きく壊れたり部品が欠損した状態にはせず、稼動状態とほぼ同じです。ただ残念ながら可動部は固定することになります。そして、砲の大きさを示すために、フィギュアがあったほうがいいと思い、砲の絵を描きに来た女学生を添えてみました。これもちょっと無理な設定です。そんなこんなで全体的に「模型ならではの空想・妄想作品」と考えてもらえればと思います。

■塗装
 塗装は、まずGSIクレオスのMr.カラー レッドブラウン(C41)や赤褐色(C131)などで錆色を作り全体に吹き付けます。その上にお湯で溶いた紙粘土を塗布し、乾燥後に拭き取って錆の下地とします。紙粘土には油彩で錆色をしみこませます。その後、錆色のピグメントで変化をつけます。さらに、油彩の黒に近い茶色をエッジを中心にドライブラシして、黒ずんだ錆を表現。遺棄された兵器や機械には年月とともに土や枯葉などが堆積していきますので、木の粉やティーバッグの中身などをまぶして表現。ツタは山で採取したコケを乾燥させたものです。

■ディオラマベースの製作
 ベースはスチレンボードを使い、Mr.モデリングプラスター(GSIクレオス)を塗布してコンクリートを表現。要塞への設置方法は、コンクリートの床に円形の段差をつけ、そこに砲床を収めていたようです。凹みに溜まった水はグロスポリマーメディウム(リキテックス)とモデリング・ウォーター(光栄堂)を使用。草は麻紐やドライフラワー、近所で採取した草などを使用しました。フィギュアは「ソビエトの村人」(ミニアート)の女性(E)をベースに、エポキシパテで改造しました。

■おわりに
 完成型を眺めていると「二十八糎砲はこういう風にのんびりと余生を送っている姿が似合うのかも……」と思いました。生きている兵器は猛々しくてとてもかっこいいものです。しかし、遺棄され朽ち果てていく姿もまた魅力的です。私はそういうディオラマをときどき作りますが、大砲をベースにするのは初めてです。
 先に書いたとおり、ディテールも可動部も優れた好キットなので、朽ちた状態にするのに苦労はありませんでした。とはいえ、今回は私の勝手な妄想のせいで可動部を固定してしまったのが申し訳なかったです。また稼動状態でも作りたいですね。

ボーダーモデル 1/35スケール プラスチックキット

日本陸軍 二十八糎榴弾砲 日露戦争1905

製作・文/松本森男

日本陸軍 二十八糎榴弾砲 日露戦争1905
●発売元/ボーダーモデル、販売元/ハセガワ●5390円、発売中●1/35、約8.2cm●プラキット

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松本森男(マツモトモリオ)

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