『機甲戦記ドラグナー』HGドラグナー1をストレートに仕上げる! ヒロイックさと航空機らしさを両立させた塗装に注目【サンライズ特集2024】
2024.04.01ドラグナー1 リフター1装備タイプ【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)
特徴的なトリコロールを鮮やかに塗装+軽度の汚し塗装で航空機らしさも添加
1987年放映のTVアニメ『機甲戦記ドラグナー』。主役メカ・ドラグナー1の1/144キットは、放送35周年の2022年にプレミアムバンダイ販売アイテムとしてリメイクされた。放送当時の1/144キットでは部分再現に留まった内部ムーバブル・フレームが完全造形となり、かつて「武器セット」に分売されていた追加武装類が大量に付属。さらには2種類から選べる「ひさし」パーツなど、確かなこだわりがファンの心をくすぐる。そんな逸品を今回はほぼストレートに製作。塗装表現でD-1のヒロイックさ+リフター1の航空機らしさを演出してみた。
機甲戦記ドラグナー
□1987年2月7日〜1988年1月30日□名古屋テレビ□メカニカルデザイン/大河原邦男
監督は『ダグラム』『バイファム』『超力ロボ ガラット』などを手掛けた神田武幸氏。本作は『機動戦士ガンダムZZ』の後番組で、同枠サンライズ製作ロボットアニメの掉尾を飾る作品となった。舞台は西暦2087年。月のギガノス帝国と地球連合軍との戦争中、偶然にも最新鋭の「D兵器」のパイロットに登録されてしまった青年ケーン・ワカバらの活躍を描く。大河原氏デザインの人型機動兵器「メタルアーマー(MA)」は電子戦の概念の導入や武器・装甲材の仔細な設定など、現用兵器のテイストを取り入れる試みが積極的に行われていた。
【カラーレシピ】
白=316番ホワイト FS17875
赤=3番レッド+114番RLM23レッド(1:1)
青=UG02番MSブルー
黄=58番黄橙色+109番キャラクターイエロー(1:1)
銃=ボトムズカラー ブルーグレー
ツインアイ=ガイアカラー 蛍光イエロー+シンロイヒ蓄光性夜光塗料
■伝説のOP
『機甲戦記ドラグナー』を語る時、「夢色チェイサー」「大張正己メカ作画」をエレメントとする伝説のオープニングアニメーションの存在を避けて通ることはできない。現に後期オープニング曲「スターライト・セレナーデ」を山瀬まみ氏が歌っていたこと、作画を大森英敏氏が担当していた事実を確認するまで只野はすっかり忘れていたのだ。
結論を先に述べれば、あの前期オープニング・アニメーションのインパクトは最強強度を誇る。時代は1987年、『機動戦士ガンダムZZ』の後番組として原点回帰の意匠が盛り込まれたメカニックデザイン、神田監督による新兵たちの人間ドラマ等見どころは盛りだくさんだが、日本サンライズ(現・サンライズ)×創通エージェンシー(現・創通)がタッグを組んで紡いできた一連の「ロボットもの」アニメーション企画が落ち着きを見せる極点が『ドラグナー』だったともいえる。であるがゆえに「あの伝説のOP」が際立つ。
…いやいや本編こそ本筋やぞ! 現在は各サイトにて全48話が動画配信されているので、新兵たちの軌跡を貴方の目でぜひ確認してほしい。
■「D兵器」
ギガノス帝国対地球連合の構図、ケーンら新兵が「D兵器」登録者となった経緯、後に中国の重慶でドラグーンと称されるMA量産機が開発される流れが縦軸だという前提を押さえつつ、HGドラグナー1がどんな感じかを見てみよう。
D兵器共通のムーバブル・フレームに装甲が付加される基本構造で、特徴的なトリコロールのストライプが成型色単位で落とし込まれているのは見事。前頭部は2種選択式でOPイメージと設定準拠イメージと解釈できる。全体のバランスも極端なデフォルメをしない程良さで、「D-2」「D-3」の展開を期待させる(いや、出してもらわねば困るよ)。ここでオレ要素を付加するのは野暮なので工作に関しては補足的に行った。リフター1主翼の軸部肉抜き穴はプラ棒を挿入接着後に整形。スネ外装部の色分けは、段差を極力無くすようにヤスリがけによる面出しを慎重に行った。
■塗装
NAZCA メカサフ ヘヴィを下地とし、フレームには雲母堂本舗CCパールのMCブラックを添加した半ツヤクリアーを重ね吹き。要所をマスキングして白部には316番ホワイト FS17875を使用、陰影を残すように面やパネルラインを意識して細吹きで徐々に発色させた。特にリフター1の翼面には縦に陰影を残すように吹き、航空機特有の表情を表現した。Mr.ウェザリングカラー各色、油彩を駆使してスミ入れ、汚しを適度に添加。
デカールワークは今回、汚しを行った後に施した。メインでベルテクスのEXコーション01レッド、システムマーキング01ダークグレーを使用。肩ナンバーやシールドにはウェーブ X-DECAL4ダークグレーを使用。部分的にガンダムデカール各種を転用している。
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “ハイグレード”
Metal Armor XD-01+XDFU-01 ドラグナー1 リフター1装備タイプ
製作・文/只野☆慶
ⓒサンライズ ⓒ創通・サンライズ
只野☆慶(タダノケイ)
各種造形、デザイン、模型製作を生業とする。造形・塗装表現が幅広くウェザリングも得意。