HOME記事キャラクターモデル『戦闘メカ ザブングル』のウォーカーマシン「ザブングル・タイプ」をハセガワの1/72で製作!【サンライズ・メカニック列伝】

『戦闘メカ ザブングル』のウォーカーマシン「ザブングル・タイプ」をハセガワの1/72で製作!【サンライズ・メカニック列伝】

2024.03.09

サンライズ・メカニック列伝 第62回 ザブングル・タイプ【ハセガワ 1/72】●田仲正樹 月刊ホビージャパン2024年4月号(2月24日発売)

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 特撮

ザブングル・タイプ
(『戦闘メカ ザブングル』より)

 サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回は昨年のニューキットラッシュに続きHGキット化が発表され、さらなる盛り上がりを見せる『戦闘メカ ザブングル』から、ウォーカーマシン(WM)「ザブングル・タイプ」の1/72作例をお届けしよう!
 ザブングル・タイプは車両および飛行形態となるブングル・スキッパーとブングル・ローバーの2台のマシンが合体変形する特殊機構を有した最新型WMである。人間に近い動作も可能な抜群の運動性と高い出力によって、他のWMとは一線を画す戦闘能力を持つ。また、豊富な専用武器のすべてを装備した状態の火力は、ランドシップに並ぶと評されている。
 重武装版の作例は掟以外もいろいろ破るシビリアン、田仲正樹が私物を投入して製作。キットの素性を活かしながら「劇中のザブングルらしさ」をさらに向上させるべく、フォルム、ディテール、可動のそれぞれについて、ジロン・アモスばりにこだわった改修を加え完成させている。

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 後ろ
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 走 ポージング

[製作途中状態]

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 製作途中後ろ

 作品世界からある意味浮いているデザインのザブングル・タイプ。ハセガワ1/72ザブングルは、惑星ゾラという舞台や他のWMと馴染むようにアレンジを加えた画稿を立体化したものだが、本作例は「世界観から浮いていてこそザブングル」という考えのもと、あえて設定画や劇中のいわゆるスーパーロボット的な雰囲気に戻すための追加工作を行っている。一方で各パーツの形状やディテールをほぼ変更していない箇所も多く、製作途中状態の画像からは、キットを最大限に尊重・活用した作例であることが分かるはずだ

[頭部]

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 頭部製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 頭部

 形状はたいへん良好なため、作例は一部のディテールを整理したのみでほぼキットのまま。首のボールジョイントの軸が細く強度に不安があったため、軸が太い適当な代替品に交換した

[胴体]

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 胴体 胸部製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 胴体 背中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 胴体 製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 胴体 タイヤ 製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 胴体 腰

 首は30MINUTES MISSIONSアルトの腰関節を入れて後ハメ化。肩関節には市販のロールスイングジョイントを仕込みマルチ可動化。脇腹はキットのシリンダー状部品を外し、設定画風にプラ板で作り直し。背中も「戦闘メカのエンジンは剥き出しにはならないのでは?」ということで、設定画風にプラ板で装甲を追加した。腰部は股関節をガンダムSEED系MGの「Xフレーム」に交換しグリップ力を向上。加えてMGガンダムVer.2.0の腰装甲の可動部を移植し、6枚の装甲が個別に開くようにして脚部の可動範囲を拡大させた。タイヤは合体シークエンスの設定画と「オフロード仕上のパターン」という書き込みを参考に、タミヤ1/48 M20高速装甲車のものに交換して小型化(腕と脚のタイヤも同様)。腰の側面装甲に取り付け、位置は若干下げている。翼は田仲氏曰く「惑星ゾラに航空灯をつける決まりはない、あるのは三日の掟だけだ(劇画『黒騎士物語』風)」とのことで、翼端灯のモールドを埋めている

[腕部]

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 腕部製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 腕部製作途中タイヤ
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 腕部

 上腕が細く感じられたため、断面が正方形になるようにプラ板で左右にボリュームアップ。タイヤの交換とフェンダーの小型化によって腕部全体のバランスが大幅に変化した。武器の持ち手は指先の肉抜きをプラ板で埋めている

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 専用ライフル構え
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 9連装ロケット弾ポッド構え

[脚部]

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 脚部太モモ製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 脚部ヒザ関節製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 脚部

 太モモは正面から見ると若干ボリューム不足に感じられるため、プラ板で左右に1mm幅増し。同時にメンテナンスハッチやボルトのモールドを埋めた。ヒザ関節内の隙間はプラ板を接着して軽減。安定翼とスネの間の隙間も1mmプラ角棒で目隠ししている

[武装]

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 武装各種
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 武装 3連バズーカ製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 武装 専用ライフル製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 武装 9連装ロケット弾ポッド製作途中
ハセガワ「ザブングル・タイプ」 武装 4連ハンドキャノン製作途中

 専用ライフルは上面のフックモールドを削り落とすなど、ディテールを整理して劇中のシンプルなイメージに近付けている。「もしフックがつくとしたら小型WMが掴みやすいものになるはず」とは田仲氏の弁。4連ハンドキャノンも同様にディテールを整理し、キットをもう1セット用意して右腕用も製作。肩の武装は基部を中央で切り離し、片側だけ装備した状態を再現できるようにした。9連装ロケット弾ポッドは発射口のグリッド状のモールドを消すなど、こちらもディテールを整理。3連バズーカは砲身の前半部を同径のプラパイプに交換した。「1982年までに実在していた火器について調べ、キットのような砲口部の段差はないほうがよいと解釈しました」とのこと

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 フル装備

■ジロンもザブングルもゾラと合っていない
 小説版『ザブングル』第1巻の「ザンブグル」という誤植を見て「バッフ・クランみたいだわさ」と思ったことがあるサンライズメカファンのみなさんは、すでにハセガワ1/72ザブングルを2個入手しているはず。今まで見たことのない大ボリュームのザブングルがそそり立つ姿には感動を禁じ得ませんが、部品単体が大きく結構な重さもあり外れやすいので、組み立てには必ず接着剤を使いましょう。さて、部品をしっかり固定したところで改めて見直すと、「作品世界に馴染むようにアレンジを加えた画稿を立体化したんだな」と気づきます。それはそれでよいのですが、私は「ザブングル・タイプは作品世界から浮いているべき」と思っているので、作例ではそのアレンジされた箇所を、設定画や劇中のスーパーロボット的な雰囲気を醸し出す形状やディテールに作り直して(戻して)みました。 
 特に気になったのはタイヤの太さです。惑星ゾラの大地を走るのに必要であろう大きさがあり、確かにリアルなのですが、私は薄いタイヤで強引に荒野を走っているほうがザブングル(ジロン)らしいと思うのです。そこで合体パターンの設定画を参考に、タミヤ1/48 M20高速装甲車(ちょうど6輪)のものに交換、小型化します。脇腹のシリンダー状のディテールは撤去して設定風にプラ板で作り直し。ライフルやハンドキャノン上面の、おそらくクレーンに吊り下げるフックのモールドは削り落とし(第3話登場の砲弾ケースのように、小型WMがツメをひっかけられる幅広のフックのほうがよりリアルな気もします)、9連装ロケット弾ポッドや3連バズーカ砲口付近のやや主張が強いディテールも整理しています。さらに股関節と腰の装甲を加工して大きく足が開くようにすれば、ライフルを片手で構えたオープニングのあのポーズも再現できるようになり画面の印象にさらに近づく…のですが、大きさが大きさなだけに改造はとても大変なので、なるべくストレートに組んで完成させることをおすすめします。キットのままでも充分格好いいですよ。
■昔のイメージに合わせます
 講談社刊「テレビマガジンロボット大全集8 戦闘メカ ザブングル」掲載のカラー画稿を参考に塗装。本放送当時のテレビ画面のイメージで青と赤の彩度を高めに調色し、パステル調にならないようにしています。
本体青=スカイブルー+スージーブルー+コバルトブルーに純色シアンとクールホワイトを各少量
足首の濃い青=スージーブルー+ミッドナイトブルー+純色バイオレットに本体青少量
赤=ハーマンレッドにピンク少量
黄=キアライエロー+モデナイエロー1
白=クールホワイトに本体青と関節色を各少量
 関節は自作の緑系グレー、ライフルは自作の紫系グレー、バズーカ砲身は自作の青系グレー。バズーカ基部は本体青+足首の青+胸部赤にバズーカ砲身の色少量。スミ入れの後に、ツヤ消しと半光沢を混ぜたクリアーで塗膜をコートして終了です。 
 次回はこちらも久しぶりの「1回だけ出た機体シリーズ」でお会いしましょう。

ハセガワ「ザブングル・タイプ」 特撮

ハセガワ 1/72スケール プラスチックキット「戦闘メカ ザブングル」ザブングル 重武装バージョン 使用

ザブングル・タイプ

製作・文/田仲正樹


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 ホビージャパンムック
 雑誌68159-61
 ISBN978-4-7986-3442-5

©創通・サンライズ

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