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アメリカ海軍艦上攻撃機「スカイウォーリア」をハセガワの1/72秀作キットをベースにスーパーディテールアップ・モデリング!!

2024.03.05

KA-3B スカイウォーリア【ハセガワ 1/72スケール】●ハルサー 月刊ホビージャパン2024年4月号(2月24日発売)

ハセガワ スカイウォーリア 

偵察・空中給油・電子戦をこなした
大型ジェット艦攻

 空母で運用できる核爆弾搭載機として1956年に登場したアメリカ海軍艦上攻撃機ダグラスA3D(A-3)スカイウォーリアは、最大離陸重量約37トン、全長・全幅ともに20m超えという異色の大型艦上機だった。1960年代に入ると核攻撃任務はICBMに取って代わられたが、偵察機、電子戦機、レーダー/航法訓練機、さらには空中給油機として1991年まで運用が続けられ、大柄な機体から「ホエール」(クジラ)と親しまれた。1990年代にハセガワが発売した空中給油機型KA-3Bの1/72秀作キットをベースに、主翼折り畳み状態や内部を過激な作り込みで製作。その出来映えはまさに“スーパーディテールアップ・モデリング”!

ハセガワ スカイウォーリア 俯瞰
ハセガワ スカイウォーリア 右側面
▲核爆弾搭載のため機体サイズを大きくしたA-3は、当時の空母格納庫の天井高の制限により、主翼だけではなく垂直尾翼の折り畳みも必要となっていた
ハセガワ スカイウォーリア 全体俯瞰
▲ハセガワのキットはほぼエクステリアのみでモデル化されているが、この作例では主翼および垂直尾翼の折り畳みだけでなく、主翼前後縁フラップ、エアブレーキ、爆弾倉、エンジンなどの完全再現をフルスクラッチで敢行している
ハセガワ スカイウォーリア 機首前部のレドーム
▲機首前部のレドームを上方に開き、側面のパネルや前脚後部の乗員用ドアを開放した状態に。キャノピーも窓枠のリベットまで再現している
ハセガワ スカイウォーリア 胴体の爆弾倉
▲胴体の爆弾倉もドアを開放し、増設タンクや給油ホースリール、油圧メカにプラ材を使用して空中給油システムを再現。左側エンジンもナセルを開き、P&W J57エンジンを自作している
ハセガワ スカイウォーリア 主翼は折り畳み部分とフラップ
▲主翼は折り畳み部分とフラップをカット。プラ材とパーツの削り込みでフラップとスポイラーとの隙間も再現。前縁スラットも同様に工作した
ハセガワ スカイウォーリア 胴体後部の黒いストライプ
▲胴体後部の黒いストライプは空中給油機を示す。胴体下から伸びる空中給油ホースはバイク模型からの流用、ドローグもスクラッチビルドした
ハセガワ スカイウォーリア 垂直尾翼の折り畳み状態
▲本機の特徴である垂直尾翼の折り畳み状態を再現。断面部分もプラ板などのプラ材を使用して作り込み。ウェザリングはスミ入れのみに抑えた

マルチロールな大型ジェット艦上機
 米海軍ジェット艦載機の中でもとくに大型なのがA-3スカイウォーリアですが、その中でも空中給油から爆撃までマルチにこなせるKA-3B。ハセガワの1/72のキットを使用し、この魅力ある機体のメカニズムをとことん細部まで作り込んでみたいと思います。

組み立てと作り込み
 まずは主翼の折り畳み、各動翼を展開状態にするためにパーツをそれぞれ切り刻みます。切り離したフラップにプラ板を貼り付けて角を丸く削り込み、さらに主翼側も薄く削り込むことで、フラップとスポイラーの隙間を再現します。折り畳み部分もプラ板などのプラ材を使用して作り込んでいきます。また前縁スラットも開いた状態に作り変えてます。垂直尾翼も切り離して折り畳み状態を再現しました。
 コクピット内部などを作り込むためにエデュアルドのエッチングパーツも投入します。シートベルトや各機器類やコンソールパネルなどを精密に再現できます。また、伸ばしランナーを金属線に巻き付けて作ったスパイラルコードも取り付けて、コクピット内部の情報量を増やしていきます。
 続いて機首周りの工作です。まずコクピットの下の点検パネルを開放するために内部機器を作り込みます。機器類はNゲージ用のディテールアップパーツを使用し、伸ばしランナーなどで配線を再現します。エデュアルドのエッチングに付属していた機首下からの出入り口のパーツをベースに作り込んでいきます。
 次にKA-3Bのメイン装備となる空中給油システムを再現するために胴体内部に増設タンクや給油ホースリール(バイク模型付属のホースを使用)、油圧メカをプラ材などを使用して再現していきます。
 レドームを開けた状態で内部のレーダーを再現したかったので資料を漁り、やっとレドームのヒンジの位置がわかる写真を見つけました。上に開くようです。内部のレーダーは木材で作ったベースでヒートプレスしました。プラ材を使用して情報量を高めています。
 続いてエンジンの工作です。作例では片方のエンジンだけカバーを開けている状態を再現しました。エンジンナセルのパーツを下半分を切り離し、それをベースにヒートプレスでカバーを作ります。エンジンはサイズの違うプラパイプを組み合わせてベースとし、それにプラ材や銅線でディテールを追加していきます。
 キャノピーにもディテールアップを施していきます。内側に脱出口などを作り込み、先ほど作ったスパイラルコードを取り付けます。本体に取り付けてパテで隙間のスムージング処理をし、全体をヤスリがけしてスジ彫りを消して馴染ませたら、しっかり磨いてツヤを復活させます。次にリベットルーラーで凸リベットを再現したプラペーパーで窓枠を再現していきます。しっかり乾燥させたら、キズ防止のためにも早めにマスキングを終わらせておきます。
 主脚はパイピングを施し、主脚格納庫内部も油圧配管などを作り込んでおきます。エアブレーキはエデュアルドのエッチングに付属していたものを使います。エンジンナセルのパイロンの後方はフラップと一緒に下がるので切り離して、フラップに合わせて取り付けます。全体的にスジ彫りはすべてラインチゼルで彫り直しています。

塗装と仕上げ
 ここまできたらいよいよ塗装に入っていきます。エンジンナセルは主翼との接続部分に合わせ目処理が必要になりますが、塗装のしやすさを考えて別々に塗装して、取り付けてから接着と合わせ目処理をすることにしました。
 先に前縁部分とエアブレーキ内部をC327レッドで塗装してマスキングします。次に下面をC69グランプリホワイトで塗装しマスキングします。次に全体をC315グレーで塗装します。
 今回は作り込みに重点を置いているのでウェザリングはスミ入れのみでアッサリ仕上げです。スミ入れが終わったらエンジンナセルを接着し合わせ目処理、マスキングして塗装します。
 続いてデカールを貼っていきます。空中給油機であることを示す5本のストライプがカッコイイマーキングです。半ツヤクリアーでコートし、各パーツを組み立てて完成です。
 ハセガワのキットは作例のような大改造にピッタリです。折り畳みなどの工作だけでも作品映えするので、ぜひチャレンジされてみてはいかがでしょうか。

ハセガワ 1/72 スケール プラスチックキット

KA-3B スカイウォーリア

製作・文/ハルサー

KA-3B スカイウォーリア
●発売元/ハセガワ●3300円、生産休止中●1/72、約32.3cm●プラキット


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