HOME記事アニメ・ゲーム『勇気爆発バーンブレイバーン』大張正己監督インタビュー! OPの秘密やキャスティングの裏話、今後の見どころに迫る!!【インタビュー後編】

『勇気爆発バーンブレイバーン』大張正己監督インタビュー! OPの秘密やキャスティングの裏話、今後の見どころに迫る!!【インタビュー後編】

2024.03.01

勇気爆発バーンブレイバーン アニメ、立体物情報&大張正己監督インタビュー 月刊ホビージャパン2024年4月号(2月24日発売)

『勇気爆発バーンブレイバーン』は監督生命をかけた勝負作品として作ってきました

 『勇気爆発バーンブレイバーン』では監督はもちろん、ブレイバーンデザイン、さらに音響監督まで担当している大張正己氏。まさに八面六臂の活躍をする大張監督に、本作の魅力について語ってもらった。大張監督が「本当に観たかった、本当に作りたかった作品」として世に放たれた本作はいかに誕生したのか? CGアニメのアドバンテージとは? そして、今後の見どころとは? 今もっとも熱いロボットアニメに迫る!(後編)

聞き手/桑木貴章

大張正己 OBARI MASAMI

 広島県出身。(有)G-1NEO代表取締役。監督、アニメーター、デザイナー、スーパーバリザー。昨年は『ガンダムビルドメタバース』『境界戦機 極鋼ノ装鬼』の監督を担当。さらに現在絶賛公開中の『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』ではメカニカル作画監督を担当するなど、業界随一の人気クリエイター。ホビージャパンより最新画集『大張正己画集OBARISM』絶賛発売中!

 前回はコチラ!

 私はいつも「ここでスーパーロボットが来い!」と映画を見ながら思ってたわけですよ 

【誕生秘話も!】『ブレイバーン』大張監督インタビュー! 初期デザインも大公開!【前編】

―そもそも企画はどのように立ち上がったのでしょうか? 大張 CygamesPictures代表(兼 Cygamesアニメ事業部 事業部長)竹中[…]


――ブレイバーンといえば、声優の鈴村健一さんの存在は大きいですよね。それこそ『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のシン・アスカともまったくイメージが違う声ですね。本作はそんな鈴村さんの代表作になることと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

大張 いや鈴村さんには本当に申し訳ないです(笑)。でも、ちゃんとかっこいいですから! すごくかっこいい!

――鈴村さんのブレイバーン役はどのように決まったのでしょうか?

大張 2年前にオーディションを受けてもらいました。多くの方に受けてもらって。それこそ本来は「指名でお願いします」って方にも受けていただいていて。その中で声を聞いた瞬間、鈴村さんとだと確信しました。実際、鈴村さんとは『超重神グラヴィオン』、『超重神グラヴィオンZwei』でもご一緒していて。当時も素晴らしい声優さんでしたが、あの頃の若さとはまた違う、深みと色気があるヒーローボイスがロボットボイスになるとさらに超かっこよかった。オーディションでは技名の他にも、2話でイサミになかなか来てもらえずピンチになったときの「イサミィ~~」ってセリフもお願いしていて、情けなさとかっこよさのバランスが最高でしたね。『超重神グラヴィオン』から約20年の時が経って、また鈴村さんとご一緒できたことは光栄です。

■キャスティング

――ブレイバーン以外のキャスティングについてはいかがですか?

大張 イサミ・アオの鈴木崚汰さん、ルイス・スミスの阿座上洋平さんもオーディションですね。まずこのふたりを主軸として、ブレイバーン含めて、周りのキャスティングを決めています。鈴木崚汰さんは、私の友人でもある中澤一登監督作品の『海賊王女』の出演から注目していて。すごくストイックで魅力的な声優さんです。

――阿座上さんは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のグエル役でも知られる、今注目の声優さんのひとりですよね。

大張 『スーパーロボット大戦DD』でもご一緒してますし、『ガンダムブレイカーバトローグ』にも出演していただいて、すごくいい声優さんです。『水星の魔女』の前からもう目を付けていましたし、宮本侑芽さん、井澤詩織さんもそうですね。井澤さん、ロボット乗ったことないし……と思ってたんですけど(笑)。

――実際、オーディションは大変だったのでは?

大張 当時、コロナ過でスタジオ収録も難しくて、ご自宅なりで録音してもらった声を聞かせてもらいました。各キャラクターに数十人単位で受けてもらっていましたが、実はルルが一番多くて、それこそ70人くらい。すべてじっくり聞かせてもらいましたが、その中で会沢紗弥さんこそ「ルルだ!」ってズバリでしたね。新鮮さもありましたし、思い切りの良さも含めて天才だと思いました。本人にも伝えましたが、オーディションを受けてくれて感謝です。

――スペルビア役の杉田智和さんもオーディションですか?

大張 彼は完全に私からの指名です。特に大切な役だからこそ、杉田さんにお願いしました。ちなみにデスドライヴズの面々は、過去に自分がお仕事をご一緒させていただいてきた方々が担当されますので、お楽しみに。

――1話で戦死してしまうパイロットのリョウマ・アラカイに、木村昴さんがキャスティングされていましたよね?

大張 ここはあえて木村さんにお願いしました。つまり木村さんほどの方が演じているキャラクターが死ぬはずはないのに、死んでしまう。油断できない世界、リアリティの一旦を担ってもらいました。もちろん木村さんには事前に相談したうえで、ネームバリュー込みでの演出になりました。

――本当に豪華キャストですよね。

大張 それこそメインを張れる役者さんたちが、あえてサブでやっていただけるなんてありがたいですね。キャスティング含めて音響制作費は相当な額になっていると思います。聞かないようにしてるんですけど……本当に怖いので(笑)。

■ババーンと推参

――OP主題歌「ババーンと推参!バーンブレイバーン」は中毒的な曲ですよね。

大張 生演奏でもありますし、生コーラスですごく力を入れて、分厚く作ってもらいました。

――曲を聴いたとき、どう思われました?

大張 プロットが上がってきたとき、竹中さんから「率直にどう思います?」と聞かれまして。聴いた瞬間、「これ挿入歌としても使いたい!」と、さらにブレイバーンに歌わせたいと思いました(笑)。そこでスポットに合わせて90秒間、戦闘が始まって“タカタン”で爆発するまでの90秒間を設定して絵コンテを描きました。曲あっての戦闘シーンですね。

これを歌ってもらいたい気持ちもあっての、鈴村さん=ブレイバーンです。応援上映とかがあったら、みんなで歌いながらペンライトを振ってほしいですね。ブレイバーンと一緒に「イサミー!」って叫んでほしい(笑)。

――この曲も、大張さんとしての演出や発注指示はあったのでしょうか?

大張 鈴村さんの歌のキー、どのレンジで歌ってもらうか、ブレイバーンとして歌ってほしいとお願いしました。

――最高の曲に対し、映像としてもオープニングはまさに大張さん監督作品ならではのかっこよさがありますよね。

大張 お気づきの方も多いと思いますが、オープニングにはいろんな伏線が散りばめてあるので、ストーリーが進むと気づいてもらえることもあると思います。これはオンエアが終了したら、ぜひ語りたいです。

▲OP&ED「ババーンと推参!バーンブレイバーン/双炎の肖像」のシングルCDの発売も決定! 3月6日発売予定なので、こちらも要チェック。マイクを手にしたブレイバーンの描き下ろしジャケットも最高だ

――ED主題歌「双炎の肖像」についてはいかがですか?

大張 最初からデュエットは考えていて、私としては「東方神起」のミュージックビデオっぽいイメージにしたかったのですが……まさかあんなコテコテになるとは(笑)。撮影監督の林賢太さんが絵コンテと演出を担当されていますが、想定外の方向性ながら感動しましたね。竹中さんに「エンディング、どんな感じでイメージしています?」と聞いたとき、その場で踊りだして説明してくれたのですが。いったい視聴者に何を見せようとしてるんだろうって(笑)。

――本編含めて、半裸が多いですよね(笑)。

大張 エンディングは最後、PANアップしたとき、宇宙が広がるのは私のアイデアなんですよ。殻を脱ぎ捨て、ひとつになって奇跡を起こすイメージです。

■音響監督

――今回、監督だけでなく、音響監督も担当された経緯についてお聞かせください。

大張 今までCMアニメーションやゲーム、ショートアニメーションでは音響監督をしたことがありますが、テレビシリーズとしては初めての経験です。今回はキャスティング、劇伴の曲調にいたるまで確固たるイメージがあったので、映像だけでなく音響にもこだわりたかったから音響監督もさせていただいています。普通は大変なのでやらないのですが、今回は監督生命を掛けた作品ですからね。

――劇伴(BGM)についてはどのような作業をされたのでしょうか?

大張 今回はシナリオが上がった段階で、もう「ここから流れる曲を」という風に具体的に指定して作ってもらいました。今回、音楽は渡邊崇さんにお願いしています。さまざまな映画やドラマ、舞台などで活躍されている作曲家さんですが、ロボットアニメは初めて担当されるとのことで、どんな曲にしてくれるのかすごく楽しみでした。
 今回自分としても、演出に合わせて曲を作ったり、逆に曲に合わせた演出もできるので、そこは監督と音響監督のどちらも手掛けている強みだと思いました。ただ、映像と音楽の演出はそれこそ『超獣機神ダンクーガ』の頃からずっと意識してやってきたことでもあるので、そこは自信もありました。

――音響監督してのこだわりについてお聞かせください。

大張 ちゃんとキャラクターごとにテーマを張ることですね。「このシチュエーションだからこの曲」とか濫用したくないんですよね。気に入った曲があっても、「戦闘はコレ!」みたいに固定しないように、いろんなバリエーションを考えていきました。同じ曲を使う場合でも、例えば1話でイサミとブレイバーンが出会うシーンで流れる曲、それを2話でスミスとブレイバーンのシーンでも使って、「生理的に無理」のセリフでバツンと切ってしまったり(笑)。

劇中、1回しか使わないけど、大切にしている曲もあります。楽曲を印象的に使うことも音響監督の仕事だと思っています。

――実際、どれくらいの曲数を使っているのでしょうか?

大張 約50曲以上を発注し、劇中ですべて使いました。『DETONATORオーガン』では平沢進教授の事務所までお伺いして、いくつか作曲をお願いしたこともあったのですが、今回これだけの曲を作曲家さんに発注したのは初めてでした。実際これだけの数を作ってもらうと、劇中で使わなかったり、余っちゃうこともあるんですが、今回すべての曲を劇中で使用したことは誇りに思っています。

――サウンドトラックの発売予定はあるんですか?

大張 まだ決まっていないのですが、ぜひリリースしてほしいですね。

――音響監督の仕事はいかがでしたか?

大張 すごく面白かったですよ。ハマっちゃいました。またやりたいですね。実は今、音響監督としてのオファーもあって。まだ、返事はできていないですけど、評価されたことは嬉しいですね。

■デビュー40周年

――今年は大張さんのデビュー40周年ですよね。

大張 よくここまで最前線で仕事を続けさせていただいているなと感慨深いですね。いつも「最新作が代表作」とは言っていますが、今回は40周年記念作品ですし、『勇気爆発バーンブレイバーン』は監督生命をかけた勝負作品として作ってきました。もちろん他の作品も大切にしていますが、今回は絶対に負けられない。思い入れは強いですね。今まで多くの作品で“これまで観たことのないロボットアニメ”を目指してきましたが、やはり納得できていない部分もあったので、今回はそのリベンジでもあります。

――まさに大張作品の集大成となるロボットアニメですね。

大張 自分がこれまでやりたかったこと、観たかったことを徹底しています。それこそハリウッド映画的なギャグ、戦争映画のこじゃれたセリフを小柳さんにもお願いしていて。バックグラウンドとなる世界観をしっかり構築しておいて、それをぶち壊す。ただ、それが視聴者に受け入れてもらえるかどうか。本当にオンエアの数分前までは吐きそうでした。

――プレッシャーは相当あったようですね。

大張 ダメだったら引退するくらいの覚悟でした。プロレスラーだったら、東京ドームのメインイベントを迎えるチャンピオンの気持ちに近かったかもしれません。もちろん自信はありましたし、面白いと思って作っていますが、外したらどうしようと。本当に怖かったですよ。それが、いまみなさんに観ていただいて。やはり全国放送していただいたTBSさんのおかげだと思います。地上波なのは大きいですよ。本当に各方面に大感謝でございます。オンエア後の収録で、キャスト陣とお会いしたら、みんな笑顔でしたからね(笑)。

――SNSでも話題ですよね。

大張 それこそ数秒、数十秒単位で誰かがブレイバーンについて発言してくれるんですよ。特にファンアートが嬉しくて。海外からのリアクションもすごく大きいです。皆さんのなかにすでにブレイバーンの存在があると思うと、本当に監督冥利につきますね。

――力を入れて作った話や今後の見どころについてもぜひお聞かせください。

大張 5話はぜひ観てもらいたいですね。ボクシングシーンなどは2Dで頑張った回です。

 そして今後は、ある程度主要キャラクターもそろってきたタイミングで、非常に切なくも燃える展開があります。ブレイバーン、そしてルルの正体など、いろんな伏線も回収されていきます。スミスの過去も泣ける展開で、なぜヒーローに憧れているかなどの理由も語られます。ぜひ毎週楽しみにしてもらいたいです。

――本作のキャッチコピーは「君たちは本当の勇気に出逢う」でした。インタビューの最後にお聞きします、大張さんにとって勇気とは?

大張 一歩を踏み出すことかな。アントニオ猪木さんではないですが、やはり一歩踏み出すことによって道になる。自らを進化させる一歩でもありますし、何かを突き動かす一歩になります。私自身現状に満足しないで、さらに一歩を踏み出したいですね。イサミも一歩踏み出したからこそヒーローになれた。各キャラクター、この「勇気」をテーマに描いています。私自身もこの作品で新たな可能性が見えてきました。この作品を観てくださっている皆さんに感謝です。

――ありがとうございました。


速報!!
3月25日発売の月刊ホビージャパン5月号にて
『勇気爆発バーンブレイバーン』関連の新たな展開発表が……!?
推して参りますので、ぜひご期待ください!!


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©「勇気爆発バーンブレイバーン」製作委員会

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