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表面の反射層作りと透明度のコントロールでHSGK「デモール・ゾロ」の半透明装甲を表現【ファイブスター物語】

2024.02.16

デモール・ゾロ エトラムル型ファティマ搭載タイプ 【ボークス 1/72】 月刊ホビージャパン2024年3月号(1月25日発売)

表面の反射層作りと透明度のコントロールで半透明装甲のデモール・ゾロを表現する

デモール・ゾロのメイン画像

 ボークス1/72スケールレジンキット、HIGH-SPEC GARAGE KITシリーズ最新作デモール。キットはエトラムル型ファティマ搭載タイプのデモール・ゾロとファティマ搭載タイプのデモールの2タイプを同時リリース。今回は黒と白 装甲が印象的なデモール・ゾロを製作。特徴的な半透明装甲を表面の反射層作りと透明度のコントロールで表現。美しいグロス塗装かつうっすらと光を透過する透明感のある装甲を再現している。


デモール・ゾロの正面全体画像
▲ コーネラ帝国の若きGTMガーランド、バルター・ヒュードラ博士によって作られた新型GTM。旧ハスハの王都ベイジの南方、シーゾスとの国境付近で、枢軸軍とユーゾッタが率いるバキン・ラカン騎士団が相対するなか、2騎のデモールとともに実戦テストのために投入された(コミックス15巻にて登場)。エトラムル型ファティマ搭載タイプのデモールで、随伴する2騎のデモールと情報をリンクするための頭部ピトー管(測定管)や、後頭部や腰などの放熱用スタビライザーが特徴
デモール・ゾロの背面全体画像
デモール・ゾロのバストアップ画像 その1
▲ デモール・ゾロ(設定画およびコミックス15巻登場版)。頭部ピトー管、腕部ガットブロウストッパー、フェイスに口の彫刻があるタイプ
デモール・ゾロのバストアップ画像 その2
▲ デモール・ゾロ(月刊ニュータイプ2022年7月号掲載版)。頭部ピトー管、腕部ガットブロウストッパーあり、フェイスに口の彫刻なし
デモール・ゾロのバストアップ画像 その3
▲ デモール(コミックス15巻登場版)。頭部ピトー管なし。フェイスの造形は上と同じで、大型のチンガードが付く
デモール・ゾロの背面アップ画像
▲ 後頭部と腰から伸びる放熱用スタビライザー。半透明の装甲とは異なり、シックなツヤ消しのメタリックカラーで仕上げ、質感の違いを演出
デモール・ゾロの腕の画像
デモール・ゾロの足元の画像

▲ 腕のガットブロウストッパーやヒザなどの白い装甲部分は、クリアー+パールコールドクリアー(少量)の上からクリアーホワイト+蛍光ブルーグリーン(少量)を重ねることで、少し青味のあるクリアーホワイトに仕上げている

デモール・ゾロの腰の画像
▲ 腰はメタリックシルバーで塗装しアクセントに。腰装甲周りをよく見ると、装甲が赤紫に透けて見えるのが確認できる。混色したクリアーカラーを丁寧に3色重ねることで、奥深い透明感のある仕上がりとなった
デモール・ゾロの全体画像

 一昨年から怒涛の勢いで新製品をリリースし続けるボークスのGTMシリーズ。今回製作したのは、最新作1/72デモール・ゾロ エトラムル型ファティマ搭載タイプです。キットの仕様は本シリーズをリリース順に追っている方ならご存知の通り、クリアーと不透明ベージュの2種類のレジンで成型されており、GTM特有の「触れるほど近付いて初めて透明と分かる」装甲を再現できる仕様となってます。

これまでも約2年、同社のGTMキットを製作してきましたが、この「触れるほど近付いて初めて…」という外装の透明感が、ようやく分かってきた気がします。よく美人女優やアイドルを“透明感のある肌”とか“透明感のある美しさ”などと形容します。しかし決して骨格や内臓が透けて見えているわけではなく“透明”ではありません。文字通り“透明”と“透明感”は全く異なるものです。

みなさんも蝋人形を一度は見たことがあると思いますが、なぜ人の似姿を造形するときに蝋を使用するのかといえば、人間の皮膚や筋肉と同様に光を透過するからです。アンパンマン原作者として知られる、やなせたかし氏が作詞した「手のひらを太陽に」でも歌われているように、太陽光を透過した透明感こそが人間の皮膚特有の質感です。GTMの装甲に関してもこれと同じ考え方で臨めばいいのではないのか? というのが僕の考えです。

一般的なメカ造形物の塗装は、光を透過することで重厚感が失われるため、サーフェィサーなどで完全に遮光。その上から塗装を施すのが通例となっています。この方法論でGTMの外装に塗装すると、地球上に存在する金属や合金と同じ表現になってしまいます。GTMはそんな単純で容易に想像できる素材で構成されてはいない、ということなのでしょう。そこで今回はさらに塗装前に脳内リハーサルを重ね、未経験の塗装工程を重ねてみました。

黒の外装には(以下すべてガイアカラー)
1層目=クリアーパープル(赤味)+純色マゼンダでコート
2層目=クリアー+ブラック+パールコールドクリアー(少量)
3層目=クリアーブラック+ブラック(少量)

白の外装には
1層目=クリアー+パールコールドクリアー(少量)
2層目=クリアーホワイト+蛍光ブルーグリーン(少量)
で基本塗装。クリアーを数回コート後に、中研ぎ⇒薄めのクリアーをさらに数回コートし外装を表現しています。基本色が黒系なだけに、表面の反射層作りと透明度のコントロールは今までにないレベルで繊細な調整を行いました。

この塗装の結果、全体のイメージは黒ですが、光が透過した部分のみ赤紫に見える外装に仕上げています。今回特に心掛けたのは“通常のプラキットのクリアーバージョン”のような透明度にはしないことでした。みなさんもこの機会に“透明感”について考えながら製作してみてはいかがでしょうか?

デモール・ゾロの正面全体画像

ボークス 1/72スケール レジンキット“HIGH-SPEC GARAGE KIT”

デモール・ゾロ
エトラムル型 ファティマ搭載タイプ

製作・文/桜井信之

HSGK 1/72 デモール・ゾロ エトラムル型ファティマ搭載タイプ

●発売元/ボークス●80300円、3月31日〜4月14日「ボークスF.S.S.シリーズ展 in 大阪SR 2024春」限定販売●1/72、約34.5cm●レジンキット●原型/造形村F.S.S.プロジェクト


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桜井信之(サクライノブユキ)

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