HOME記事キャラクターモデルHSGKシリーズの破烈の人形「ダルマス」を、半透明の装甲を活かしつつ鮮やかに仕上げる【ファイブスター物語】

HSGKシリーズの破烈の人形「ダルマス」を、半透明の装甲を活かしつつ鮮やかに仕上げる【ファイブスター物語】

2023.05.12

ゲートシオンマーク3 リッタージェット・破裂の人形【ボークス 1/72】 月刊ホビージャパン2023年6月号(4月25日発売)

ゲートシオンマーク3 リッタージェット・破烈の人形 イメージカット

クリアーカラーの重ね塗りで半透明装甲を美しく表現する

 ボークスHSGKシリーズに星団最強のGTM「破烈の人形」こと「ダルマス」がボークスHSGKシリーズにラインナップ。今回はすでに発売となったシープヘッドに、ようやく2023年5月に発売となる頭部ホークヘッドを加え、GTMマスターの桜井信之が製作。商品としては2バージョンある頭部を差し替えで再現できるようにし、半透明装甲を丁寧なクリアーカラーの塗り重ねで美しく表現。まさに星団最強の美しさを備えた破裂の人形「ダルマス」が完成した。塗装工程も細かく記したので、ぜひ塗装表現の参考にしてほしい。

ホークヘッド:設定画版&本編版

設定イラストの頭部デザインに加えて、その限られた登場シーンの中でも最高の好カードである、星団暦3036年のボォスにて黒騎士「ダッカス」と対峙した際の頭部デザインも選択式で再現可能な、設定画版&本編版の同梱パッケージ

ゲートシオンマーク3 リッタージェット・破烈の人形(ホークヘッド) 全身画像 正面
ゲートシオンマーク3 リッタージェット・破烈の人形(ホークヘッド) 全身画像 背面
頭部 側面
▲外装はクリアー成型を活かし、造形村サーフェイサー・透明を吹き付けたあと、GXクリアシルバーを下地にMr.カラーGXシリーズを2層重ね、その上からさらにGXクリアシルバー→ガイアカラー・クリアーホワイトを重ねることで、ただの“水色”ではない、澄んだ透明感のある外装を表現した

『ファイブスター物語』
ゲートシオンマーク3 リッタージェット・破烈の人形(ホークヘッド)

●発売中●約42cm●パーツ総数187●ホビーラウンド28(5月13日)、ホビーラウンドSR(5月27日、28日)限定発売

シープヘッド:『月刊ニュータイプ』表紙イラスト版

月刊ニュータイプ2015年4月号(KADOKAWA/刊)の表紙を飾った、描き下ろしイラスト版の頭部デザインを立体化している

ゲートシオンマーク3 リッタージェット・破烈の人形(シープヘッド) 全身画像 正面
▲頭部パーツを差し替え式にすることで、「月刊ニュータイプ」表紙イラスト版のシープヘッドも再現できるようにした
D.B.B.(ディストレーション・ブレード・ブロウ)エフェクトあり アップ
▲取り外しが可能な、D.B.B.(ディストレーション・ブレード・ブロウ)のエフェクトもクリアー成型で再現される。こちらも丁寧にクリアーカラーを重ねて仕上げている
胴体正面 アップ
▲胴体正面の装甲は裏面にシルバーを吹き付け、表面はクリアーでコーティングしている
左腕部 アップ
▲白い部分はMr.カラーGX・スーパークリアーIIIで透明度を上げた後にMr.カラーGX・GXクリアシルバーを吹き、その上から混色した少し青味がかったクリアーホワイトを重ね、最後にGXスーパークリアーIII UVカットをコートしツヤを出している
足元アップ
▲薄っすらとフレームが透けて見える脚部。「破裂の人形」のマークは盾と同様にエナメル塗料で塗り、はみ出しを専用溶剤で拭き取っている
頭部アップ
▲独特な形状が印象的なシープヘッドは、作例では頭部ユニットを丸々差し替える方式で再現。ホークヘッドと同じ工程で塗装している
胴体背面アップ
▲背面も見どころのひとつ。フレームはガイアカラー・Ex-ブラックを下地に、Mr.クリスタルカラー・ムーンストーンパールを吹き付け、最後にガイアカラー・クリアーブラックを通常のエアブラシ塗装より若干濃く溶き、遠吹きしてツヤ消しの表面に。外装とのツヤのギャップで質感の違いを演出している
ゲートシオンマーク3 リッタージェット・破烈の人形(シープヘッド) 全身画像 背面

『ファイブスター物語』
ゲートシオンマーク3 リッタージェット・破烈の人形(シープヘッド)

●発売中●約40cm●パーツ総数180●イベント限定品

 今回のアイテムは僕の永い模型人生の中でも最高難易度ともいえた塗装で、塗装工程だけで丸30日を費やすという、僕自身、かつて経験をしたことのないチャレンジでした。そんな理由もあるうえ、複雑な工程なので主に塗装についてをお話しさせていただきます。まずクリアーパーツには造形村サーフェイサー・透明を吹き下地を作ってから塗装に進みます。

■本体色(ブルー系)
①Mr.カラーGX110番・GXクリアシルバーを塗布。
②Mr.カラーGX103番・GXディープクリアブルーを塗布。この際の注意点は通常のクリアーブルーではなく、ディープクリアブルーを使用することです。
③Mr.カラーGX108番・GXクリアバイオレット50%+GX100番・スーパークリアーIII 50%を塗布。
④再度、Mr.カラーGX110番・GXクリアシルバーを塗布。
⑤ガイアカラー050番・クリアーホワイトを塗布。②→③の上からクリアーホワイトを吹くことで、本体色を作るのですが、ディープクリアブルーをベースに使用せず、通常のクリアーブルーをベースとした場合、ただの“水色”になってしまいますので要注意です。

■本体色(ホワイト)
①Mr.カラーGX100番・スーパークリアーIIIを塗布。これはクリアーパーツの透明度を上げるために吹いています。
②Mr.カラーGX110番・GXクリアシルバーを塗布。
③ガイアカラー050番・クリアーホワイト90%+Mr.カラーGX103番・GXディープクリアブルー5%+Mr.カラーGX104番・GXクリアグリーン5%を塗布。
 外装パーツはこれらの工程終了後、ツヤ出しのため、Mr.カラーGX112番・GXスーパ-クリア-III UVカットを塗布し、光沢表面を作る。

■フレーム色
①ガイアカラーEx-02・Ex-ブラックを塗布。
②Mr.クリスタルカラーXC08番・ムーンストーンパールを塗布。
③ガイアカラー043番・クリアーブラックを通常のエアブラシ塗装より若干濃く溶き、遠吹きして、ツヤ消しの表面を作る。
 以上が塗装工程です。通常のカラフルで透明度のあるクリアー塗装であれば、いつもの感じで色を吹き重ねれば終了ですが、今回のような中間色での“3割透けて見える”塗装は、吹き重ね工程や、色を重ねてできる色味のテストが重要です。なお今回は塗装実験に7日、一度目の塗装に4日費やし、NGと判断し塗装を剥離。その後、再テストと2度目の塗装に4日。またNGと判断し塗料を剥離。3度目の塗装に約15日を費やし完成いたしました。ですので、納得いくまで塗装テストを行い本番に臨んでください。

ボークス 1/72スケールレジンキット“HIGH-SPEC GARAGE KIT”

ゲートシオンマーク3 リッタージェット・破烈の人形

製作・文/桜井信之

●発売元/ボークス●各82500円●1/72●原型/平井興治(造形村F.S.S.プロジェクトチーム)●レジンキット●2色(クリアー、ベージュ)成型

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桜井信之(サクライノブユキ)

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