HOME記事ガンダムゲート跡が残っていてもカッコいいリタッチ方法を紹介! さらにリアルタッチマーカーやスポンジを使った汚しで歴戦のザクを仕上げる!【ウェザリング特集】

ゲート跡が残っていてもカッコいいリタッチ方法を紹介! さらにリアルタッチマーカーやスポンジを使った汚しで歴戦のザクを仕上げる!【ウェザリング特集】

2024.02.07

超カンタン&効果抜群!! らいだ~Joe式ウェザリングテクニック/ザクII陸戦仕様【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2024年3月号(1月25日発売)

ゲート跡が残っていてもカッコいいリタッチ方法を紹介! さらにリアルタッチマーカーやスポンジを使った汚しで歴戦のザクを仕上げる!【ウェザリング特集】

超カンタン&効果抜群!! らいだ〜Joe式ウェザリングテクニック

ランナー状態のまま塗装OK! 手軽でカッコいい「お気楽モデリング」

黒猫の凛さん

 今回のお題は、「早くて楽にウェザリングする方法とは?」。ガンプラを汚すのはとっても楽しい! けれども、毎月膨大な数の新製品が発売されている現状、1体1体をじっくり作り込むのはちょっと大変。できる限り手軽に汚して完成させて、たくさん机の上に並べてみたいのがホンネですよね。
 そこで登場するのが、月刊ホビージャパンを代表するウェザリングモデラー・らいだ〜Joe。その独特の作業工程やツール活用法、そして魅せる仕上げテクニックをこれまでも月刊ホビージャパンで披露している彼ですが、今回も水性塗料を中心にしたスピーディーかつ効率的な作業で見事な風合いのザクを完成させています。驚きのアイデアとヒントが満載な、らいだ〜Joeの「お気楽モデリング」を全4回に分けてお届けするのでぜひともご覧ください。

製作・解説/らいだ〜Joe

らいだ〜Joe

らいだ〜Joe(ライダージョー)

“お気楽モデリング”を提唱する、愛猫家モデラー。著書「ビギナーでもうまくいく!ガンプラお気楽製作ガイド」も好評発売中

月刊ホビージャパン2022年4月号 Hi-νガンダム 陸戦イメージVer. 作例
月刊ホビージャパン2022年4月号では、らいだ〜Joeの製作テクニックを巻頭で特集。画像は同号の表紙を飾った「Hi-νガンダム 陸戦イメージVer.」。泥汚し全開のスパルタンな仕上げ

❶ランナー状態のまま水性ホビーカラーで塗装!
❷スポンジでポンポンとチッピング!
❸リアルタッチマーカーでサビ、雨垂れを描き込み&ぼかし
❹「濃すぎた汚し」はメラミンスポンジで削る!

 前回はコチラ!

 第1回はコチラ!


⑦外装パーツの切り出し

パーツをランナーから切り離す
少し残したゲートを切り離す
▲外装パーツも、2度切りを基本として切り出す。下の写真はなんだか変なニッパーの持ち方だなぁと思った方、これはゲートを切り出した際に破片が周りに飛び散らないように人差し指で押さえながら切り出しているため。飛び散ったゲートの破片をネコ様たちが食べてしまっても困るし、なんといってもヨメ様が踏んだ際には…。こうして家庭の平和は守られている…
面相筆でリタッチしゲート跡をなくす
▲少し大きなゲート跡は、面相筆でリタッチすればほとんどわからなくなる。調色したビンを2本用意するのはこうしたリタッチの際のため。あとから同じ色を調色するのはとても大変
ゲートを切り離したパーツ
▲塗装済み外装パーツの切り出しには、使い古したタミヤ 先細ゲートカット用ニッパーを使った。左のアルティメットニッパーは鋭利過ぎてゲート跡の形が四角に。塗装済みなのでペーパーがけもできず、汚すにしても四角い形状は少し目立つ。対して右側の使い古したニッパーなら絶妙にゲート跡の形状が潰れることで、「傷」として表現するのにちょうどいい塩梅になる
外装パーツの裏側
▲外装パーツの裏側、外から少しでも見えそうな箇所は、すべて焼鉄色で塗っておく。汚した機体なのだから、チラリと見える内側がきれいなのは違和感のもと
パーツ同士の接合面にリアルタッチマーカー グレー3を塗布
▲パーツ同士の接合面に、リアルタッチマーカー グレー3を塗布。パーツの接合面へのスミ入れは、なかなか思うように奥まで浸透しないのであらかじめ同色で塗っておくと早い。これもパーツの裏側を焼鉄色で塗装したのと同じ、キレイな裏側は見せたくないため
リアルタッチマーカーでスミ入れ
塗装後指で拭き取る

▲今回のスミ入れはすべてリアルタッチマーカーを使用。リアルタッチマーカー グレー3を凹モールドに大胆に塗って指で拭くだけ。多少はみ出たりにじんだ際は、メラミンスポンジで擦ってあげると風合いを調整できる。擦り過ぎると消えてしまうこともあるが、その際はもう一度同じ工程を繰り返すだけ。多少のにじみは汚しにもなるので、細かいことは気にしない♪

リタッチ、デカール貼り、スミ入れが終わり、外装パーツの下準備が整った状態の外装パーツ各種
▲リタッチ、デカール貼り、スミ入れが終わり、外装パーツの下準備が整った。このあと、これらのパーツはプラスチックから“鋼鉄”に生まれ変わる
黒猫の凛さん
▲黒猫の凛さんはいつもクールで冷静。製作中も私を無視して寝ているが、なぜかMGザクの箱を置くと必ず入ってくる。1日の作業終了後も箱に入りっぱなしで、箱にフタをできないので片付けが終わらない…
リアルタッチマーカー ブルー1を外縁部に塗装
中心部に水性ホビーカラーのクリアーレッドを塗装

▲ついでに足裏スラスターを塗装。4アーティストマーカー シルバーを塗った基部に、リアルタッチマーカー ブルー1を外縁部に塗り、中心部に水性ホビーカラーのクリアーレッドを塗るだけ。塗るというより、中心部に塗料を垂らして全体に広げるだけの超簡単技法でそれらしくなる

⑧外装のウェザリング

ドア用スキ間テープ メラミンスポンジ
▲神のペンに次ぐマストアイテム、スポンジ。オススメはドア用スキ間テープ。EPDMという発泡ゴム製が最良で、繊細な点描から大胆な傷まで、塗料の残量と叩き方次第で自在にコントロール可能♪ 粘着面にメラミンスポンジを装着すれば2通りのタッチが表現可能
水性ホビーカラー 焼鉄色にスポンジを浸け、紙ナプキンにつけて余分な塗料を落とす
▲水性ホビーカラー 焼鉄色にスポンジを浸けたら、某全国展開しているハンバーガーショップの紙ナプキンにつけて余分な塗料を落とす。ほとんど塗料が付かなくなった頃が、パーツへのチッピングのベストタイミング
パーツのエッジを狙ってポンポンとスポンジを当てる
リアルタッチブラウン1で、スポンジで叩いた箇所にランダムにちょんちょんと描き込んでいく1

▲まずはパーツのエッジを狙って、45度くらいの角度から軽くポンポンとスポンジを当てる。一気にやるのではなく、様子を見ながら少しずつ叩くのがポイント。5回に1回くらいは平面にもポンポンと叩く。次はリアルタッチブラウン1で、スポンジで叩いた箇所にランダムにちょんちょんと描き込んでいく

「神のペン」で擦ってぼかしを入れる1
垂直に塗料を伸ばしてストレーキング表現を行う

▲「神のペン」で擦ってぼかしを入れる。重力を意識して垂直方向にブラウンを伸ばしてやると、ストレーキング(雨垂れ、サビ垂れ)表現もできる

ウェザリングマスター Dセットのオイルをエッジを中心に擦り付けていく1
ストレーキングの先端に行くほど薄くしていく感じでグラデーションを表現

▲ウェザリングマスター Dセットのオイルをエッジを中心に擦り付けていく。さらにところどころ平面にも擦りながら、重力を意識した動作でストレーキングの先端に行くほど薄くしていく感じでグラデーションを表現。やりすぎた場合はメラミンスポンジで落とし、リアルタッチブラウン1の手順を繰り返せば微調整可能で、汚しに奥行きが出てくる

濃い色のパーツにはシルバーでスポンジチッピングを追加
その上からウェザリングマスターDセットの赤焼けを擦り付ける

▲濃い色のパーツにはシルバーでスポンジチッピングを追加。さらにその上から、ウェザリングマスターDセットの赤焼けを擦り付けることで、使い込んだ金属感を表現できる

汚した外装パーツをフレームに装着
ウェザリングパステルセットのサンドを水で溶いて全体に塗り、乾燥したらメラミンスポンジで擦る
ウェザリングマスターのオイルとサンドを少し擦り付け

▲汚した外装パーツをフレームに装着。組み付けと同時に少しずつ汚し塗装も施していく。ウェザリングパステルセットのサンドを水で溶いて全体に塗り、乾燥したらメラミンスポンジで擦る。さらに、ウェザリングマスターのオイルとサンドを少し擦り付けて、全体のバランスを整えた

シールドも同様に行う
▲シールドも同様に行う。実はここに大きなゲート跡があるのだが、どこだかわかるだろうか? シールド内側のアールの直下あたりなのだが、スポンジチッピングを施すことでゲート跡も「傷」としか見えない。前述の使い古したニッパーで切ったからこそ、違和感のない傷になってくれる
リアルタッチブラウン1で、スポンジで叩いた箇所にランダムにちょんちょんと描き込んでいく2
「神のペン」で擦ってぼかしを入れる2
ウェザリングマスター Dセットのオイルをエッジを中心に擦り付けていく2

▲シールドは周囲のエッジ部もさることながら、広面積で目立つぶん平面にも汚しを加えていきたいところ。ここにも先述の手順と同様にスポンジチッピングをランダムに行っていくのだが、デカール(マーキング)がキレイなままはおかしいので、デカール上は特に意識的に叩いて汚しを加えている。広い「板」のぶん、ここはストレーキング表現の見せどころ

リアルタッチマーカー&神のペンでぼかす前と後の比較
▲リアルタッチマーカー&神のペンでぼかす前と後の比較。まるでプラスチックが鋼鉄に生まれ変わったかのような雰囲気を醸し出しているのがわかるだろうか?
エッジに対してシルバーによるスポンジチッピングも施す
▲胴体・スカート部の濃いグリーンには、やはりエッジに対してシルバーによるスポンジチッピングも施す。ハゲチョロ汚しのような強烈な存在感には届かないが、焼鉄色だけでは出せない金属感を演出してくれる

⑨組み立て、仕上げ

▲組み立てた下半身を俯瞰して、汚しのトーンを調整
ウェザリングマスター チタンを擦って金属感を出す

▲組み立てた下半身を俯瞰して、汚しのトーンを調整。まずは、先ほどまで施したリアルタッチブラウン1やウェザリングマスター オイルの具合いが濃すぎる箇所をメラミンスポンジで擦って濃度を薄める。また、スカートやニーアーマーなどの濃い色のエッジには、ウェザリングマスター チタンを擦って金属感を出す

パーツ表面にフィルタリング
▲次はフィルタリング。ウェザリングパステルのチャコールグレーとオレンジを1:1の割合で混ぜ、水を加えて水溶液化。ここに少量の木工用ボンドを混ぜ、パステル水溶液の定着力を強めておく。この水溶液をパーツ表面に塗っていく
1分ほど待ってからティッシュで余分な水分を吸収
メラミンスポンジで擦って濃淡の調整1

▲1分ほど待ってからティッシュで余分な水分を吸収。あとは乾燥させるだけでもOKだが、平面部をメラミンスポンジで擦って濃淡の調整を行う。これでウェザリングパステルを使った「フィルタリング」とも言える効果を得ることができる

サンドの水溶液を塗装
メラミンスポンジで擦って濃淡の調整2

▲先ほどのウェザリングパステルの乾燥・調整が済んだら、今度はサンドの水溶液を塗り同様の処理を施す。これで砂埃汚れが表現できる

⑩細部の調整、アレンジ

▲動力パイプの汚しも本体と同様。MGザクVer.2.0の動力パイプの汚し作業は、ランナーに付けたまま行うとストレス軽減になる。パーティングラインはディテールと割り切って処理しないのもひとつの手だろう。ちなみにパイプパーツの軸棒からの取り外しはこの状態で行うと(塗膜の厚みで軸棒が太っているため)大変。その場合はランナーをパイプの寸前で切り落としながら外すなどの方法がある

頭部にバルカン砲を埋め込む穴をゴッドハンド スピンモールドで追加
▲頭部にバルカン砲を埋め込む穴を追加。シャープペンシルで下書きを行い、ゴッドハンド スピンモールドで下穴を掘る。下穴が空いたらピンバイス(今回はルータービットに取り付けて使用)でバルカン砲開口部の形状になるように、角度を変えながら削る
リード線を短く切り、水性ホビーカラーのゴールドを塗装
▲バルカン砲の砲身はリード線を採用。リード線を短く切り、水性ホビーカラーのゴールドを塗装した。これを頭部裏側にほんの少しのエポパテで裏打ちし、ピンセットで開口部に装着すればバルカン砲が完成!
バズーカにサーマルスリーブ(要は布)を装着
▲武器類も使用感を出していく。バズーカには砲身の熱による変形を防ぐサーマルスリーブ(要は布)を装着。関節部のシーリングのために買ったティーバッグが余っていたので、関節と同様の手法で巻いて表現してみた
リフトのダンパーパーツI8を基部に、0.8mmスプリングパイプと0.5mm真鍮線でアンテナを自作
▲キットにあったリフトのダンパーパーツI8を基部に、0.8mmスプリングパイプと0.5mm真鍮線でアンテナを自作。基部とアンテナを短いスプリングパイプでつなぐ。多少の衝撃を受けてもフレキシブルに曲がることで折れにくい
ショルダーアーマーに「Joe」のサインを手書き
▲汚すとほとんど目立たなくなるが、ショルダーアーマーにパイロット(?)の愛称を書き込んだ。ファレホのオフホワイトを神ふで ショート なが〜い面相筆で塗れば思いの外描ける! ファレホなら指で拭き取れるので安心して失敗できる
ウェザリングパステルのサンドを、木工用ボンドを付けながらドライブラシの要領でエッジ部分に書き込み
▲組み上がった状態で全体の汚しのトーンを調整。最後にウェザリングパステルのサンドを、木工用ボンドを付けながらドライブラシの要領でエッジ部分に書き込み、酷使された雰囲気を強調した

BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット“マスターグレード” MG シャア専用ザク Ver.2.0 使用

ザクII陸戦仕様

製作/らいだ〜Joe


 今回はここまで!
 第4回では、ついに完成した「ザクII陸戦仕様」を細部までご紹介。お楽しみに!

\続きはコチラ/

 公開は2024年2月8日の17時から!

©創通・サンライズ

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らいだ〜Joe(ライダージョー)

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