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海辺ディオラマ完成!水をお手軽&リアルに表現するポイントや工夫を詳しく解説!【週末でつくるガンプラ凄技テクニック】

2024.01.18

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編 月刊ホビージャパン2024年2月号(12月25日発売)

海辺ディオラマ完成!水をお手軽&リアルに表現するポイントや工夫を詳しく解説!【週末でつくるガンプラ凄技テクニック】

 休日のゆったりとした時間に、じっくりとプラモデルを作る楽しみを体感しよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのディオラマ編第9回のテーマは「海辺をつくる」の後半となります。水の表現で最大のポイントとなる透明素材の使い方や、手軽に水をリアルに魅せることができるちょっとした工夫なども合わせて解説していきます。
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講師/林哲平


ズゴックをMSVカラーに塗ってみよう

ズゴック 塗装前 胸部パーツ
▲ズゴックは「モビルスーツバリエーション2 ジオン公国軍MS・MA編(講談社刊)」に掲載されている、大河原邦男氏のイラストの色味を参考に塗装してみましょう。基本塗装はMr.カラーで、ボディはクールホワイトにごく少量のインディブルーとライトブルーを混入して調色しています
ズゴック 胸部パーツ 筆塗り
▲第一次ガンプラブーム当時の雰囲気を再現するため、ラッカー系塗料の筆塗りで再現しています。詳しい方法は「週末でつくる ガンプラ凄技テクニック ~ガンプラ簡単フィニッシュのススメ~ 懐かしのキット編」掲載の1/60ドムにて解説しているので、ぜひご覧ください
ズゴック 胸部パーツ ウェザリング塗装
▲プレミアムトップコートつや消しでツヤを消し、Mr.ウェザリングカラーのグランドブラウンで全体をウォッシングします。ボディは汚れが目立ちやすい色なので、ウェザリングは少し控えめにするぐらいを心がけましょう
塗装したスネパーツ
▲腰・前腕・スネはアニメだとグリーンですが、イラストだとガンメタル系です。ここは焼鉄色にシルバーを混ぜ、少し明るめに調色し、イージーペインターで塗装しています
蛇腹 パーツ
▲蛇腹のブルーはアニメもイラストもほぼ同じような色だったので、ここは缶スプレーでキットの説明書通りにMr.カラーのインディブルーで塗装しています
ツメ パーツ
▲ツメはイラストではボディと同色なのですが、ジムと激闘する力強さが欲しかったので、Mr.カラースプレーのシルバーで塗装。ここは最後までツヤを消さず、メタリックを活かして完成時のアクセントとしています
ズゴックの完成状態
▲ズゴックの完成状態。最後に水性ホビーカラーのフラットホワイトでドライブラシを施してエッジを強調しつつ、部分的に面の中心などに擦りつけて海の塩が乾いた状態を再現しています

ジムを塗装しよう

穴の開いたジムの胴体パーツ
胴体パーツ裏側

▲ジムは自分の中では前回の「サイクロプス・ハント」の機体と同一という設定なので、基本的に同じ塗装を施しています。ズゴックの腕が貫通する胴体内部は隙間から白い部分が見えてしまうとみっともないので、水性ホビーカラーのつや消しブラックでしっかりと塗りつぶしておきます。ランドセルの内側も忘れず塗っておきましょう

腕パーツ
▲ジムのエッジはドライブラシで立体感を強調します。白にはつや消しブラック、赤にはフラットホワイトでドライブラシを施すことにより、お手軽に『MSV』のイラストイメージに近づけることができるのです
ジムの完成状態 正面
ジムの完成状態 背面

▲ジムの完成状態。ドライブラシでエッジを強調しつつ、リアルタッチマーカーのリアルタッチブラウンでサビ垂れを追加し、前回のジャブロー戦から戦いを重ねて使い込まれた状態としてみました。胸部のダクトなど、入り組んだ箇所が多いためマスキングが難しい当時ものキット地球連邦系MSですが、強めのウェザリング仕上げであればはみ出しをほぼ汚しで誤魔化せるので仕上げが格段に楽になります

崖を塗ろう

製作途中 ベース
▲MSの塗装が終わったら、いよいよベースの仕上げ開始です!まずは全体にMr.フィニッシングサーフェイサー1500ブラックを塗装し、下地を作ります
黒く下塗りしたコルク
水性ホビーカラーのグレー系塗料で全体にドライブラシ

▲黒く下塗りしたコルク。これで木の樹皮っぽさはなくなりました。ここから水性ホビーカラーのグレー系塗料で全体にドライブラシを施していきましょう。コルクの凹凸に塗料が乗り、下地の黒が影となり、あっという間に立体的な岩へと早変わりします

Mr.ウェザリングカラーのサンディウォッシュを薄めて全体に塗装
▲グレーでのドライブラシの後はMr.ウェザリングカラーのサンディウォッシュを薄めて全体に塗ります。これで岸壁に砂浜の砂がうっすらと飛んで隙間に溜まっているような表面となり、よりリアル感がUPするのです

海を底上げしよう

木工用ボンドを塗る
▲それではいよいよ海を作っていきましょう! 透明素材は値段が比較的高めのものが多いので、できる限りリーズナブルに製作できるよう紙粘土で底上げしておきましょう。まずは剥がれ防止用に全体に木工用ボンドをしっかりと塗っていきます
指策に水を付ける
ぬれた指でボンドを伸ばす

▲紙粘土にヒビが入っていたり、不自然な凹凸が入っていると透明素材を流した上からでも結構目立って不自然になってしまいます。指先に水をつけ、紙粘土の表面を溶かし伸ばしながら海の表面をイメージしてなだらかな凹凸をつけていきましょう

フチを白く塗る
▲海の下地を作った状態。ディオラマのフチが黒いままだと透明素材を入れたとき目立つので、白い塗料で塗って隠しておきましょう。この状態で台座のフチ部分とは5~3mm程度。これで水用透明素材をかなり節約できそうです

砂浜を作ろう

サンドパウダーSA-27
▲海を塗る前に砂浜を作りましょう。砂は粒子が細かく、かつ明るめの色のほうが砂浜感が出るので、今回は光栄堂の「サンドパウダーSA-27」を使用してみました
水で薄めたマットメディウムを下地に塗る
茶こしで砂を振りかけ

▲砂を撒いていきましょう。砂浜は雪原同様凹凸の少ない地形ですので、月刊ホビージャパン2023年9月号にて紹介した重曹で雪を作る方法と同じ方法で定着させます。水で薄めたマットメディウムを下地に塗り、茶こしで砂を振りかけ、上から水溶きマットメディウムをスポイトで落として固着させていきます

完成した砂浜
▲完成した砂浜。ただ私は“砂浜のサラサラした感覚を強調するために、マットメディウムは少なめでいいや”と思い、最後の接着を甘めにしてしまっていました。これが後々、悲劇を呼ぶことになるのです…!

意外と簡単?重曹を使った雪原ディオラマの作り方【週末で作るガンプラ凄技テクニック】

海を彩色しよう

アクリル絵の具を平筆で塗り塗り
▲と、不吉な予言をしつつ、海の下色をつけていきましょう。緑系にするか非常~に悩んだのですが、スタンダードに青としています。100円ショップで購入したアクリル絵の具を平筆で塗り塗りしていきます
グラデーションをつける
▲海は深い部分から浅い部分へと、グラデーションをつけていきます。といっても方法は超簡単で、下地の白い紙粘土の色を活かしながら、水で薄めつつ、さらさら~っと絵の具を伸ばしていくだけです
砂浜に、ほんの少しだけ青を塗る
▲砂浜に、ほんの少しだけ青を塗ります。水を入れると、この部分が海と砂浜との境目となり、より自然な仕上がりになるんです。スミ入れやウォッシングと同じ効果で結構砂に染み込んでしまうので、薄めた青をほんの少し上に置くぐらいの感覚でいきましょう
海の下塗りが終わった状態
▲海の下塗りが終わった状態。ランダムな青のグラデーション、波間の青で一気に海っぽくなりました。青を塗るのには15分もかかっていません
Mr.ウェザリングカラーのグレイッシュブラウンを細筆でわずかに染み込ま
▲ここで海と砂浜の境目に、Mr.ウェザリングカラーのグレイッシュブラウンを細筆でわずかに染み込ませていきます。一段暗くなることで、水が染み込み湿った砂の表現となり、よりリアルに見えてくるんですよ
崖、砂浜、海の下地が完成した状態
▲崖、砂浜、海の下地が完成した状態。このままMSを乗せずに風景ディオラマとしても全然OKな抜群の佇まい。情景王・山田卓司氏の考案したレイアウトの偉大さに改めて感服です!

透明素材を流し込もう

NEWモデリング・ウォーター
▲水の表現にて最大のポイントが、透明素材です。現在ではさまざまな素材がありますが、今回は光栄堂の「NEWモデリング・ウォーター」を使用しました。1液製のシリコーン系素材で、チューブから出すだけで使えます
器のに乗せ爪楊枝でテスト
▲ディオラマで水系の透明素材を使用するとき、事前のテストは欠かせません。一度透明素材を流し込んでしまうと剥がしての修正は非常に難しいので、どんな素材であっても硬化や加工可能時間などを必ず試しておきましょう
ピンセットで表面を荒らす
▲「NEWモデリング・ウォーター」は季節にもよりますが、出して約40分ぐらいから固まり始め、1~2日ほどで硬化します。完全硬化する前であれば、ピンセットや爪楊枝などで表面を荒らすことで、水面の凹凸や波などを表現することができます
爪楊枝にくっつき糸を引いている様子
▲ちょん、と表面をつついても、糸を引かないぐらいまで硬化してから、表面の凹凸をつける作業に進みましょう。NEWモデリング・ウォーターは粘度の高い素材であるので、MSを設置するときはうっかり伸びた素材が不自然に付着しないよう注意してくださいね
ジムをベースに設置
▲透明素材を流し込む前にジムを台座に軸打ちし、エポキシ系接着剤で固定しておきましょう。水系素材にも接着力はありますが、ここは転落防止用に念には念を入れておきます
NEWモデリング・ウォーターを流し込む
▲それではいよいよ本番です! 注入していきますが、一気にドバッと出すとディオラマのフチから溢れる(私はやりました…)ので、ちょっとずつ出していきましょう
爪楊枝でつつき気泡を取る
▲ディオラマに流し込むとき、どうしても気泡が混入してしまうのは透明素材ではごく普通のことです。固まる前に爪楊枝でつついて、気泡を取っておきましょう
爪楊枝ですみずみまでならす
▲ディオラマの角のジムの裏側は面積が狭いため、チューブで素材をそのまま出すとジムにべっとり着く危険があります。ここは爪楊枝で引き伸ばして、水を隅々まで行き渡らせましょう
NEWモデリング・ウォーターを流し込んだ状態
▲「NEWモデリング・ウォーター」を流し込んだ状態。使用体積はこのディオラマだと11.5×12×0.5cm程度で、チューブ1本で余裕です。水は上げ底、嵩上げすれば素材を節約できるのでリーズナブルに製作することができます
ズゴックをディオラマにセット
▲ズゴックをディオラマにセットします。水面に不自然な光沢が出てしまう場合は、シタデルカラーのラーミアン・メディウムを塗ってリカバリーしましょう
爪楊枝やピンセットなどで表面を荒らして水面に凹凸をつける
▲素材が硬化してきたら、爪楊枝やピンセットなどで表面を荒らして水面に凹凸をつけていきます
透明素材の流し込み完了
▲透明素材の流し込み完了です! 表面の凹凸がレンズの役割を果たし、下地に塗った青いグラデーションを透過させつつキラキラと乱反射させてくれるので、リアルな雰囲気になるのです

波を描き込もう

波を描き入れ
▲波を描き入れてさらにリアルにしてみましょう。どんな塗料でもいいので、面相筆で白い波の水しぶきを描き込んでいきます。細く、さらさら~とそれっぽく塗料を乗せていくだけでOKです
波の来る方向を意識しながら境目にランダムに描き込む
▲波は当然MSにも打ち付けるので、波の来る方向を意識しながら境目にランダムに描き込んでおきましょう。これでよりリアルな仕上がりになりますよ
太モモの周りにはしっかり水しぶきを入れる
▲特にジムの太モモ以下はオミットしているため、透明素材との境目が不自然に見えやすい部分。太モモの周りにはしっかり水しぶきを入れて、下がよく太分からにように誤魔化しています

水素材のリカバリーをしよう(涙)

砂が透明素材と混ざって取れなくなった様子
▲ぐぎゃあああ!! 保護用テープを取るときに傾けたら、接着が甘かった砂が透明素材の上に雪崩込み、透明素材と混ざって取れなくなってしまいました…
ピンセットでつまんで透明素材を取り除き
▲ディオラマの真正面なので、“凄技テクニック最終奥義・見なかったこと”も使えません。ここは涙を呑んでリカバリーすることに。ピンセットでつまんで透明素材を取り除きます
水素材を新た改めて流し込み
▲水素材を新た改めて流し込みます。塗膜を溶かさず、いざとなったら剥がすことのできる、柔らかいシリコーン系素材で本当に助かりました…。これが硬い素材だと、地形やキットを破損させずに剥がしたりできないですからね
同じ作業を繰り返してリカバリー
▲同じ作業を繰り返してリカバリーできました!水素材の硬化時間をしっかり待つ、砂をちゃんと接着しておく…といった基本を守らなかったので起きた悲劇です。じっくり慌てず作りましょう
保護用テープを剥がし、ジム頭を握りしめているズゴックの左腕を接着
▲最後に保護用テープを剥がし、ジム頭を握りしめているズゴックの左腕を接着したら完成です! 水素材はテストして、焦らず、用法を守って作るのが一番大事だと改めて認識いたしました

完成!!

完成したディオラマ 正面
完成したディオラマ 背面
ズゴック 天面
▲崖の上の視点から撮影した特撮カット。昼頃を想定した設定でライティングを行い、前回とは趣きの異なる雰囲気に仕上げた

■どんなMSにも対応可能な「崖と海」レイアウト
 今回のディオラマは「HOW TO BUILD GUNDAM2」掲載の山田卓司氏よるディオラマ「CRASH ZAKU」のレイアウトをそのままリ再現させていただきました。このレイアウトが優れているのは、上にどんなMSを置いても成立することです。ジンやグレイズなど宇宙世紀以外のMSでもまったく問題ない汎用性の高さは、ディオラマ初心者にとって非常に実現させやすい内容と言えると思います。

■お手軽ながら効果抜群な「水」のディオラマ
 ディオラマ表現において、かつて「水」の表現は難しいとされてきました。水は透明ですから、どう再現するか? と多くのモデラーにとって頭を悩ませるポイントだったのです。しかし、現在では透明レジン、エポキシ樹脂、UVクリアーレジン、シリコーンなどの素材が極めて充実しており、むしろどの透明素材を使うかで悩むぐらいとっつきやすいです。キラキラと輝く水はそこにあるだけでディオラマに彩りを与えてくれるもの。ぜひ、水表現をあなたの製作レパートリーに加えてみてくださいね♪

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット 量産型ズゴック+ジム 使用

絶海に散る

ディオラマ製作・文/林哲平

© 創通・サンライズ

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林哲平

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