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海辺ディオラマを週末製作!コルク製の岸壁製作法や、ガンプラのバトルダメージ、内部メカ再現法もあわせて解説【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 】

2023.12.14

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編 月刊ホビージャパン2024年1月号(11月25日発売)

海辺ディオラマを週末製作!コルク製の岸壁製作法や、ガンプラのバトルダメージ、内部メカ再現法もあわせて解説【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 】

海辺をつくるテクニック(前編)

 休日のゆったりとした時間に、じっくりとプラモデルをつくる楽しみを体感しよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのディオラマ編第8回のテーマは「海辺をつくる」。前編となる今回ではコルクを使った岸壁の製作法や、ディオラマの主役であるズゴックとジムの製作を題材に、バトルダメージや内部メカの再現方法も解説していきます。

講師/林哲平


レイアウトを考えよう

マスキングしたゾック
▲水といえば水陸両用MS! 数ある猛者の中から、今回はゾックをチョイス。1/144ながら1/100と見紛う大ボリューム、なにも改造するところがない完璧なプロポーション。上に乗っければディオラマが大迫力になること間違いありません!
コルクの樹皮
▲水のディオラマといえば、私は「HOW TO BUILD GUNDAM2」掲載の山田卓司氏による崖の海岸に撃破されたザクが漂着したディオラマが思い浮かびます。今回のレイアウトはこの伝説の作品をリスペクトして再現につとめました。まず、崖を再現するためにコルクの樹皮を用意します
模型用のレザーソーでコルクの樹皮を切断
▲コルクはゴツゴツした樹皮を活かし、お手軽に岩を表現できるマテリアルです。価格もそれほど高いものではなく、ネット通販で容易に入手可能です。模型用のレザーソーで簡単に切断できます
ペンチでコルクの樹皮をちぎる
▲崖の上のゴツゴツした岩肌を再現するために、ペンチでちぎります。コルクは柔らかいので、それほど力を入れなくても全然楽に加工できます
ちぎったコルク
▲ちぎったコルクは捨てずに取っておきましょう。小さいコルクは小型の岩や石の再現にピッタリ。その時使わなくても、別のディオラマで使う機会が結構あるんですよ
コルクを加工した状態
▲コルクを加工した状態。まんま木なので「本当にこれが岩になるのか…?」と作っている最中はちょっと心配になるかもしれませんが、全然大丈夫です。気になる人は樹皮の表面を所々ペンチで荒らしておくなど表面に変化をつけておきましょう
木工用ボンドでコルクを接着
▲コルクは木なので、接着は木工用ボンドを使います。今回は絶壁を作るベースに対して面積が大きいので、外れないようにガッチリと接着しておきましょう
コルクをベースに接着した場合
▲接着剤が乾けば絶壁の完成です! これでほぼディオラマのレイアウトは完成したも同然。いよいよ念願のゾックを配置してバランスをチェックです!
ゾックをベースに配置
▲ゾックを配置してみたものの、思った以上にゾックが大きすぎる! これだと肝心の海がほとんど見えなくなってしまいますし、切断して配置するのも微妙です。泣く泣く今回はゾックは断念することにしました…
ザクをベースに配置
▲ゾックを諦め、別のMSを置いてみます。定番のザクを配置してみたらサイズ的にもバッチリ! これでいこう! と思ったのですが、最近の連載では毎回ザク、ザク、ザクとザク尽くしなのです…。ここでザクを使うと4連続でザクになってしまうんですよね
ズゴックをベースに配置
▲ゴッグやアッガイなどいろんなMSを置いてみたのですが、最終的に水陸両用MSの王道であるズゴックに登壇していただくことに。足首も肩も別パーツ化されているため可動範囲が広く、一番寝かせやすかったのも決定要因です
ズゴック手にジムの頭を持たせた状態
▲ただ、撃破されたとはいえ寝ているだけだとズゴックがビーチでバカンスしているみたいになるかな〜と思ったので、ジムの頭を持たせてみます
ジムの上半身をディオラマの左端にレイアウト
▲頭だけではちょっと弱い、と感じたので、ジムの上半身をディオラマの左端にレイアウトしてみました。これで撃破される前の激戦のイメージをより強調させることができます
基本的なレイアウトの完成
▲基本的なレイアウトの完了です。半壊状態でもディオラマ上に2体MSがあると、絡みを想像できるので情景模型の「情」である、ストーリー性を深めることができるのです

ジムの工作

ズゴックの腕を貫通させるためにジムの胴体真ん中に穴を開ける
▲半壊状態のジムですが、より激戦をイメージさせるために「ジャブローに散る」のジムのように、ズゴックの腕を貫通させてみましょう。ピンバイスで穴を開け、デザインナイフで広げていきます
ズゴックの腕を突っ込みながらサイズを調整
▲穴を広げるとき、うっかり広げすぎると修正が結構大変なんですよね。ここはこまめにズゴックの腕を突っ込みながら、サイズを調整していきましょう
爪が閉じた状態のズゴックの爪パーツ
▲ジムの胴体を貫くのであれば、ズゴックのツメは当然閉じて先端が尖った状態になっていることでしょう。キットの爪の根元を削り、角度をつけて装着すれば簡単にジムを散らせる爪に早変わりです
貫通部から放射状に広がるように、ナイフの先でジグザクな刻みをランダムに入れる
▲ズゴックの腕が貫通すれば、破損部周りの装甲にもヒビが入るに違いありません。貫通部から放射状に広がるように、ナイフの先でジグザクな刻みをランダムに入れておきましょう
面にも正面と同様に穴を開けてヒビを入れる
▲貫通させるので、背面にも正面と同様に穴を開けてヒビを入れておきましょう。ランドセルごと破損させておいてください。それにしても、ズゴックの腕が刺さるとこんなにもどデカい穴になるんですね…
貫通状態の側面図
▲貫通状態の側面図。最初、ツメが背中から突き出すにはズゴックの前腕の長さが足りないのでは? と不安だったのですが、キットのままでも問題なく貫通させることができました。より迫力を出すのなら、前腕を3〜5mmぐらいプラ板で延長しておくのもいいかもしれません
ジムの首をニッパーで壊された風に荒々しく切り込んでいる様子
▲ジムの首は頭側に造形されているため、そのままだと丸い空間が空いてしまいます。ここは使用しなかったスネパーツを接着し、ニッパーで先端を荒らしてそれらしく表現しています
ジムの右腕部
▲このシチュエーションでズゴックと戦うならば、最後はビーム・サーベルでの格闘戦になるでしょう。右手はビーム・サーベルを持たせ、デザインナイフでグリグリッ、と抉って穴を開けてビーム発生部を再現しています
ズゴックの腕をハンダゴテで切断しビームダメージを表現
切断した腕パーツ

▲ジムの胴体にズゴックの腕が突き刺さっている…。ということは、きっと致命傷を負いながらも、ズゴックの腕をビーム・サーベルで切り離したのでしょう。ビームダメージにはハンダゴテを使います。これでズゴック右上腕を切り離しましょう。実際にパーツを溶断するため、アニメの中で装甲を溶かすビーム兵器と同様の表現をプラモデルに施すことができるのです

切断した腕パーツの中に余ったパーツを接着、ハンダゴテで溶かす
▲切断したそのままだと中身は空っぽのまま。先程の首と同じく使わなかった脚部や内部の丸い可動軸を接着し、改めてハンダゴテで溶かしてビームで溶けた内部メカを再現します。それっぽく溶かすだけで全然OKです
ジムの工作完成状態 正面
ジムの工作完成状態 背面

▲ジムの工作完成状態。左腕はズゴックに引きちぎられたと想定し、上腕部分で破壊し、ほぐした銅線の中身を入れて内部の配線を再現しています。ズゴックと格闘戦をすれば全身ひっかき傷ができることが想定されますが、第一次ガンプラブームのクラッシュモデルを見るとあまり派手な傷を加えた作品は少なく、アニメ的な雰囲気を尊重するため今回はあえて入れずに仕上げています

ズゴックの製作

ズゴックの腰と胴体をレザーソーで切断
▲続いて主役のズゴックを加工していきます。砂浜に寝かせるとき、直立姿勢でそのまま真上を向いているのはさすがに不自然。腰をひねり、より自然に寝かせるため角度をつけてみましょう。まずは腰と胴体をレザーソーで切り離します
ズゴックの切断した胴体に余ったジムのパーツで内部メカを製作し埋め込む
▲ひねった部分はそのままだと空っぽで、大きな隙間ができてしまいます。ここは使わなかったジムのパーツでそれらしく内部メカを作ります。足首の丸いディテールを可動軸風に活かしつつ、四隅にはリード線を配置して隙間を埋めています
腰をひねった状態にしたズゴック
▲アルミ線で腰につなげれば、腰をひねった状態の完成です。寝かせるときの調整用に、すこしアルミ線の長さには余裕を持たせておきましょう。ディオラマのメインカットで正面が目立つように、左側に胴体を向けておきます
ズゴックのモノアイを削り取る
▲撃破されているので、モノアイは消灯状態のはずです。削り取っておきましょう。ただ、そのままだと穴が空いてしまうため、裏側をあらかじめパテで裏打ちしておきましょう
胴体にハンダゴテで穴を開ける
▲ズゴックに致命傷として、コクピットハッチにビーム・サーベルが突き刺さった跡を付け加えます。これはハンダゴテで穴を開けるだけでOKです
頭部のロケット弾発射口を3mmピンバイスで開口
▲頭部のロケット弾発射口は成型の都合上埋まっており、そのままだと結構目立つので3mmピンバイスで開口します。1/144ズゴックを普通に作るときでも、ぜひとも追加工作しておきたいポイントです
ズゴック股間のノズル部分のディテールをすべて削り取り、関節の受け軸を接着して整形
▲ズゴック股間のノズルは竹割り構造のため、そのままだと大変合わせ目が消しにくい部分。ここは一度ディテールをすべて削り取り、アルミ線接続のため不要になった関節の受け軸を接着して整形しています
デザインナイフでジムのゴーグルの破損を再現
▲ズゴックが握りしめているジムの頭部。激戦をイメージさせるために、パリーン! と割れたように、ゴーグルを破損させてみましょう。まずはデザインナイフでカメラの一部をカットしていきます
使わなかったジムのビーム・スプレーガン
内部メカ製作に必要な部分をニッパーで切り取り

▲ゴーグルが割れると、当然内部メカが露出します。HGのジムシリーズから流用するのは本末転倒ですし、なんとかキットの中身だけで完結させたいもの。なんかないかな? と使わなかったビーム・スプレーガンを眺めていると…。中央部分のディテールがジムの内部メカに見えてきました! ニッパーで必要部分を切り抜いて…

切り取ったパーツを裏側から接着
▲裏側から接着すればこの通り! ゴーグルが割れて内部メカが見える表現の出来上がりです。カメラの破損部を広げすぎると内部メカの幅が足りなくなるので、破損部はこれぐらいにしておくといい塩梅です
ジムの頭部はズゴック腕部のビーム砲口と真鍮線で接続
▲ジムの頭部はズゴック腕部のビーム砲口と真鍮線で接続しておきましょう。クルクル回して位置の微調整が簡単ですし、ガッチリ軸打ちしておかないと、完成後ポロッと手から落としてしまうので…
ジムの頭をピッタリ掴むようにツメの根元を削って角度を調整。ジムの頭部根元からリード線やジムの破片で作った破損部をつける
▲ジムの頭をピッタリ掴むようにツメの根元を削って角度をつけ、胴体から引き抜いたように見せるためほぐしたリード線やジムの破片で破損部を作れば完成です。ガンキャノンとかにも応用できそうですね
ズゴック工作完成状態 組み立て状態
ズゴック工作完成状態 パーツ別に並べた状態

▲ズゴックの工作完成状態。基本形状、可動域ともに大変優秀なキットなので、解説部分意外は基本ストレートに組み、アルミ線で関節をつないだだけ。作ると改めて出来の良さにビックリしますね

ベースの調整をしよう

コルク製の崖の裏側
コルク製の崖の裏側に1mmプラ板でフタをする

▲MSの工作が終わったので、改めてベースを調整していきます。まずは崖の裏側から。コルクそのままだと、裏側は剥がした樹皮の部分が剥き出しになっています。これがそのままだとさすがに見映えが悪いので、1mmプラ板でフタをします

プラ板とコルクの隙間には紙粘土を詰め、最初にちぎったコルクの破片を埋める
▲プラ板とコルクの隙間には紙粘土を詰め、最初にちぎったコルクの破片を埋めていきます。多少隙間が空いたり、紙粘土が目立っても塗装すればまったくわからなくなるので、それっぽくで全然OKです
砂浜の下地を紙粘土で作る
▲砂浜の下地を紙粘土で作っていきましょう。まずは紙粘土をこねて、断崖との間に隙間が空かないようにしっかりと詰めていきます
紙粘土が柔らかいうちにズゴックを置いて上から押しつける
▲紙粘土が柔らかいうちに、ズゴックを置いて上から押しつけます。これをやっておかないと、重量のあるMSが砂浜に流れ着いているのに完全に浮いている、という不自然な状況になってしまうのです
紙粘土を指で伸ばしなだらかにする
▲紙粘土を指で伸ばしていきます。砂浜は基本、凹凸はそれほどできないものですので、できる限りなだらかにすることを心がけると仕上がりの雰囲気が変わってきますよ
砂浜との隙間にコルクの岩を追加し隙間を隠した状態
▲おおっと! ズゴックはランドセルが大きく、寝かせても意外と砂浜との隙間が目立つことがただ今判明しました…。ここはコルクで岩を追加し、隙間を隠せばOKです。臨機応変にいきましょう
ズゴックとジムを配置
▲崖と砂浜の調整が終わったら、ズゴックとジムを配置し、塗装前のレイアウト最終チェックを行います。さて、水のディオラマは昔何度か作ったことがあるのですが、今は水用素材の種類がものすごく充実しているのでどれを使うか迷いますね…

今回はここまで!

 次回の後編は海の製作法となります。ズゴックとジムの塗装や、透明素材を用いた水表現を徹底解説する予定です。引き続き、次回も「ガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編」をよろしくお願いします♪

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© 創通・サンライズ

林哲平

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