HOME記事キャラクターモデル内部フレームをいかに美しく見せることができるか? クリアー外装の「L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様(限定版)」を桜井信之が華やかに引き立てる! 透明度アップの秘訣も公開【ファイブスター物語】

内部フレームをいかに美しく見せることができるか? クリアー外装の「L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様(限定版)」を桜井信之が華やかに引き立てる! 透明度アップの秘訣も公開【ファイブスター物語】

2024.01.14

L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様(限定版)【ボークス 1/144】 月刊ホビージャパン2024年2月号(12月25日発売)

L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様(限定版) イメージカット

限定版のクリアー外装をさらに引き立たせる

 GL/VS/VIP会員限定キットとしてリリースされた「L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様(限定版)」。このキットは通常版では乳白色半透明で成型されていた外装パーツが、完全な透明成型となっている。ここではそんな透明成型パーツにおける整形のポイントと、さらに透明度を増す秘訣をHow to形式にて解説していく。

クリアー外装パーツの活かし方

(解説/桜井信之)

ランナーからパーツ切り離し1
ランナーからパーツ切り離し2
ランナーから切り離したパーツ

▲クリアーパーツは通常色のプラスチック(スチロール樹脂)よりも硬質で割れやすい。そのためランナーからのカットはクラックを入れないように慎重に作業しよう。平たいゲートに対して水平にニッパーの刃を入れるのが大切だ。ゲートに対して垂直に刃を入れると(中央の写真)クラックが入る危険性が高くなるので注意してほしい

ちょい残ししたゲートをカット
残ったゲート跡
▲ゲートは余裕をもってカットし、再度ギリギリのところでカットするのがいい。面倒でも二度切りを心がけ、細心の注意を払って作業を進めよう
ゲート跡をヤスリで処理
ゲート跡を処理したパーツ
▲そのあと、各種ヤスリを使って、ゲート痕を平滑に削っていく。透明度を保つためには最低でも1000番程度まで削り(磨き)ヤスリ傷を消していく
クリアー塗料を拭く前と吹いた後の比較画像1
クリアー塗料を拭く前と吹いた後の比較画像2
▲次にクリアー塗料を吹き、パーツ表面の凹凸を平滑にし透明度を高めていく。左はパーツ表面にだけクリアーを塗布した状態だが、裏側からもクリアーを吹くことにより、パーツの透明度はさらに高くなる
ライン処理をしたパーツ1
ライン処理をしたパーツ2
▲かかとや剣などは1パーツで構成されているため、パーツ中央部にパーティングラインが存在する。これらのパーツも見逃さず、きちんとライン処理を行っていく
肩アーマーのパーツ1
肩アーマーのパーツ2
肩アーマーのパーツ3
肩アーマーのパーツ4

▲これは肩アーマーのパーツ。一見しただけでは分からないが、パーツ表面に凹凸が存在する。複雑な三次曲面を持つパーツには、特にこのような現象が発生する。クリアー塗料をかなり厚吹きすれば凹凸を埋めることもできるが、パーツ表面をスポンジヤスリなどで磨き、この凹凸をフラットにすれば、より透明度の高い仕上げにすることができる

肩アーマーのパーツ5
磨いて白く濁ったパーツ1
磨いて白く濁ったパーツ2

▲加えて、パーツの裏側にもやはり凹凸が存在するものもある。不透明や乳白色半透明のパーツであれば何の問題もないのだが、より美しいクリアー外装に仕上げるのであれば、やはりパーツ裏側も磨くほうがいい

クリアー塗料を拭く前
クリアー塗料を拭いた後

▲そのあと、表と裏の両面からクリアー塗料を吹けば、美しいクリアー外装に仕上げることができる。ここでポイントになるのはクリアーを塗布した際、ミストの巻き返しが多少は発生する。パーツの表面にこの現象が影響すると透明度が下がってしまう。そのためはじめはパーツの裏側からクリアーを吹き、乾燥後に表面にクリアーを塗布することでこの現象を抑えることができる

クリアーをコーティングした外装パーツ
内部フレーム

▲クリアーをコーティングした外装パーツ。これくらいの透明度で仕上げることで、内部フレームを美しく見せることができる

スネパーツ1
スネパーツ2
▲スネや肩アーマーなどは大判のデカールを貼るが、3回ほどクリアーを塗布したあと、中研ぎを行いデカールの段差を消しておけば、より平滑で美しいパーツに仕上げることができる
スネパーツ 裏側
スネ部分組み立て
▲塗装工程が終了したら、最終組み上げに進むが、ここで接着に瞬間接着剤や流し込み接着剤は危険だ。瞬間接着剤は白化、流し込み接着剤は予想外の箇所に流れ込んで塗装膜を傷めてしまう危険がある。そのため樹脂入りの接着剤を使い、パーツの取り付けピンの部分のみに接着剤を塗り、慎重に組み上げ作業を行ってほしい
上半身アップ
肩フレーム パーツ

▲フレームは透明装甲を活かすため、いつもより派手めのカラーリングで塗装している。装甲の裏から浮かび上がるフレームの精密なディテールをぜひ楽しんでみてほしい

正面、背面

 ボークスIMS・MHシリーズに新たに加わった1/144 L.E.D.ミラージュV3。今回、新たにクリアー外装版がGL/VS/VIP会員限定キットとして発売となったので製作しました。本キットは通常版では乳白色半透明で成型されていた外装パーツがクリアー樹脂成型に変更になっている以外は、基本的なパーツ構成や成型色は通常版と同じです。しかし今回使用したキットでは、腕のポリキャップにモールドが追加されていました。これはクリアー版のみの変更ではなく、今後通常版でもこの仕様で店頭に並ぶものと思われます。

 さて、クリアー版キットというのは、インジェクションモデルにおいては特別仕様として発売されることが多いのですが、本キットは一般的なクリアー仕様のものとは大きく異なる部分が存在します。通常のインジェクションキットは、スケールモデルであれ、キャラクターモデルであれ、普通は内部までは再現されておらず、キャラクターキットであれば可動のためのポリキャップを固定するための構造で満たされています。

しかし造形村のキットはSWSシリーズのエアモデルから、L.E.D.ミラージュまで内部構造が再現されており、MHの特徴でもある特有のデザインを持つフレームが惜しげもなく再現されています。つまり“この内部フレームをいかに美しく見せることができるか?”が本キットを製作するにあたり必須といえるでしょう。加えて外装裏側の幾何学的なディテールも見せ場のひとつなので、ここも楽しまないともったいない。パーツ裏側も透明度が保持できるように磨いたのち、クリアー塗料を表・裏両面から塗布しています。

さらにL.E.D.ミラージュは各部にシルバーやゴールドのポイントカラーが散りばめられています。通常版でもスネや太モモ正面の赤い部分もクリアーレッドで成型されているため、この箇所と揃えるためにも透明成型されている部分は、これらの色もクリアーゴールド・クリアーシルバーで塗装してみました。不透明のフレーム部分は以前製作した通常版よりも派手めな色味で塗装、煌びやかなイメージに仕上げてみました。クリアーパーツを利用すれば、設定上の“半透明”の度合も調整することも可能ですし、全く異なるクリアーカラーで仕上げるのも楽しみ方のひとつだと思います。

このような特別仕様の商品の場合はリアリズムを追求した塗装を施すより、展示品としての華やかさや、縮尺模型として楽しむのが正解だと思いますので、皆さんも各々のイマジネーションに導かれるまま楽しんで仕上げてみてください。

ボークス 1/144スケール プラスチックキット “INJECTION ASSEMBLY MORTAR HEADD SERIES”

L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様(限定版)

製作・文/桜井信之

L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様(限定版)
●発売元/ボークス●7700円、発売中●1/144、約19.6cm●プラキット●原型/造形村F.S.S.プロジェクトチーム


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桜井信之

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