ベトナム戦争で活躍した軽攻撃機「1/48 -10A ブロンコ」をディオラマベースとともにモデリング!
2023.12.19ベトナムの空を駆けるグレーの荒馬(ブロンコ)
1960年代後半に登場したノースアメリカンOV-10ブロンコは、「COIN機」と呼ばれる軽攻撃機として開発、アメリカ空軍と海兵隊で採用され、ベトナム戦争などでは軽快な運動性や短距離離着陸能力などで活躍を見せた。視界の良い大きなキャノピーや双胴式の胴体など特異なフォルムから人気が高く、これまで各スケールでモデル化されてきたが、最近ベトナム戦争期の米軍機を多く手がけているウクライナのICMから、1/48と1/72の秀作キットが相次いで発売された。今回は1/48スケールのキットをフルディテールアップ、ディオラマベースとともにモデリングしてみた!
■1/48ブロンコの決定版
大きなキャノピーのある中央の胴体、ターボプロップ・エンジン付きのふたつのブーム、胴体側面の傾いたスポンソンには4挺の機銃。この異形の機体はOV-10A、COIN(対ゲリラ)機である。その独特な風貌により世界中に多くのファンをもつ。
キットは、5枚のランナーに繊細なパーツが260以上配置され、合いも抜群。操縦席と脚は精密感にあふれる。主翼のダブルスロッテッド・フラップも非常に上手く表現されている。説明書は24ページを数え、キャノピーのマスキング・テンプレートと詳細なリベットラインを表す三面図も含まれる。デカールは上質で、ツヤ消しクリアーをかければほとんど目立たないが、薄いので取扱いは慎重に。マーキングは4種で、ベトナム戦争時の海兵隊、海軍、空軍を選択可能である。機首近くにオモリを入れると見事な姿で自立し、世界のブロンコファンを魅了する。1/48スケールでは決定版的内容である。
非常に精密でありながら作りやすいキットであるので、ぜひモデラー諸氏の一作をお願いしたい。今回の作例は、祖国防衛戦争を戦うウクライナから届いた素敵な贈り物に敬意を表し、できる限り手を入れて完成させた。
■組み立て
組み立て上の注意点としてはふたつ。ひとつは、プロペラと機銃の取り付けである。プロペラは左右とも内側へ回り、機銃の配置は左右非対称なのでパーツを間違えないこと。もうひとつは、パーツの合いが非常によいので、接着面に付いた塗料は必ず擦り落しておくことである。
この他、各部には細かく手を入れている。説明書の三面図を利用してリベットを打った他、ブームと垂直尾翼には特徴的な外板のうねりを追加。2重のフラップには極細銅線を通してフラップダウン状態にした。駐機中のエレベーターの再現のため、タブを切り離して下を向けた。キャノピーを開けるため、右側のクリアーパーツD6をエッチングソーで慎重に3分割した。開閉用ラッチは、モールドを削り落として銅線で製作。胴体右側の5ヵ所のステップ部は開口し、足掛けをエッチングパーツのランナーなどから製作。脚は補強のために各部に金属線で軸を打った。前脚庫に5gのオモリを入れる指示だがスペースが不足。念のために操縦席後ろに3gほどオモリを入れた。
操縦席は、計器盤がデカールで再現される。スイッチ類を伸ばしランナーの輪切りで追加すると立体感が増す。座席にはシートベルトをマスキングテープ細切りで追加。ヘッドレスト・キャノピー破砕機を薄く削り、カールしたコードを極細針金から製作。後部にある電気系統リレーやサーキットブレーカー・パネルに束になった配線などを追加。ワイパーはプラ板とホッチキスの芯で、ピトー管は0.6mmアルミ管と0.3mmステンレス線で自作しキットパーツと置き換えた。
■塗装
塗装は、コクピット内をガイアノーツカラー063ブルーグレー。主翼上面のインシグニアホワイトFS37875は、GSIクレオスのMr.カラーC316ホワイトFS17875と、C308グレーFS36375を10:1に調色。機体全面のグレーFS36473は、Mr.カラーC117 RLM76ライトブルー+C308グレーFS36375を2:1で調色した。なお調色はFEDERAL STANDARD(FS)595B COLORS(July 1994)に準拠した。
ディオラマベースは、駐機場は0.5mmプラ板で、車止めはヒノキの角棒を削って製作。フィギュアは、イタレリのNATOパイロット&グラウンドクルーセットを改造して使用している。
ICM 1/48スケール プラスチックキット
OV-10A ブロンコ
製作・文/高橋祐二
OV-10A ブロンコ
●発売元/ICM、販売元/ハセガワ●6490円、発売中●1/48、約27.9cm●プラキット
高橋祐二(タカハシユウジ)
この100年間で3度、ロシアとの祖国防衛戦争を戦うウクライナ。ウクライナの人々に平和を。