YAMAHA TZR250(1KT)
2021.06.13時代の寵児となった傑作レーサーレプリカ
80年代のレーサーレプリカブームにおいて、ヤマハがその完成度の高さで世に衝撃を与えたTZR250。すでに多くのメーカーからキットが販売されている名車だが、今年3月にハセガワが最初期モデルである1KTのキットを新規金型で発売。そんな最新キットの素性を活かしつつ、仕上げに定評のある成田建次が作例を担当。純正のエッチングパーツを使用しているので、製作の参考にしていただきたい。
さて、今回製作したのはハセガワの最新キットTZR250 1985年型です。当時本当にレースマシンが市販されたかの衝撃を受けたのを覚えてます。
実車発売から36年の時を経てこのキットが作れるとは思ってもいませんでした。完全におじさん世代を狙ったキットですが嬉しいチョイスです。じっくり堪能したいと思います。
■キットについて
今回もハセガワのキットは充分な情報量で、バイクのメカニカルな部分を余すことなく再現した精密なキットとなっています。また2ストロークエンジン特有の大きなオイルタンクやヤマハのバルブシステムY.P.V.S、オートルーブポンプ等の構造も分かるほどの細かい補器類までパーツ化され、組み立てながらちょっとしたエンジニア気分を味わえるキットです。
■製作について
今回も同社から発売される純正ディテールアップ用エッチングパーツを組み込んでおりますので、ぜひご参考になればと思います。
細かなディテールまで詳細に再現されるハセガワ製のバイクキットですが、このキットも例にもれずそれら細かいパーツがランナーにぎっしり。繊細なパーツが多いので必要な部分まで切ってしまわないように注意してください。最近のキットは精度もよく総仮組みまで行わなくとも問題なく組みあがるものがほとんどですが、できればユニット単位で仮組みを行いながら進めるのが賢明でしょう。
今回大きなエラーとしてスイングアームの取り付け巾がフレームの内巾より大きくうまく収まらないことを確認、スイングアームの巾を約1mm程度切り詰めました。
製作の難所はデカール貼り。ハセガワのスタンダードなものですが、大判なので如何にパーツにフィットさせるのかが腕の見せ所となります。軟化剤への耐性はあまりないようなので、マークソフター原液付けはせず少し水で薄めたもので様子を見ながら進めてください。
その他、基本的には最新キットだけにパーツの合いも良く組み立てやすい良いキットです。
■塗装について
フレームのシルバーはGSIクレオスSM206スーパークロームシルバー2を使用しました。おとなし過ぎずギラつき過ぎずこの時代のアルミ表現にちょうど良いです。その他はインストに準拠してしっかり塗り分けを行い仕上げました。
外装についてのポイントはレッドです。デカールと塗装を併用する仕様になっているためデカールの色味に合わせる必要があるのですが、インストで指定されているGSIクレオス79番シャインレッドで塗ってみるとかなり違う…。デカールの印刷の都合上どうしても同じ色にはならないんですよね。デカールの方が若干濃い赤になってるので、今回はシャインレッドに少しづつハーマンレッドを足して調色したオリジナルレッドで塗装しました。ホワイト部分はGSIクレオスのクールホワイト100%です。
そしてデカール貼り付け後にクリアーコート。今回はラッカークリアーで行いました、GSIクレオスGX100スーパークリアーⅢを数回塗り重ね充分乾燥させた後に研ぎ出してフィニッシュとしました。
ハセガワ 1/12スケール プラスチックキット
ヤマハ TZR250(1KT)
製作・文/成田建次
ヤマハ TZR250(1KT)
●発売元/ハセガワ●3960円、発売中●1/12、約16.8cm●プラキット
成田建次(ナリタケンジ)
手練れの多いバイク・カーモデラーの中でも、隙のないハイクオリティな作例を手掛けることに定評のあるスペシャリストのひとり。