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TVアニメ『SYNDUALITY Noir』キャラクター原案・neco氏スペシャルインタビュー

2023.09.04

『SYNDUALITY Noir』キャラクター原案 neco氏インタビュー 月刊ホビージャパン2023年10月号(8月24日発売)

TVアニメ『SYNDUALITY Noir』キャラクター原案・neco氏スペシャルインタビュー

SPECIAL INTERVIEW


『SYNDUALITY Noir』キャラクター原案

neco
インタビュー


 生き生きとしたキャラクターと、彼らが息づく鮮やかな世界観が画面を彩る『SYNDUALITY Noir』。その一角を担ったキャラクター原案を担当したのは、イラストレーターとして活躍中のneco氏だ。今回は、「Figure-rise Standard ノワール」発売を記念して、neco氏にノワールをはじめとしたキャラクターが出来上がるまでの秘話や想いを伺った。

neco

 イラストレーター。主な参加作品にライトノベル『なぜ僕の世界を覚えていないのか?』(イラスト)、ゲーム『拡張少女系トライナリー』、『レーシングミク 2022』(イラスト)など。オリジナル作品『重兵装型女子高生』や『FALSLANDER』は立体化もされている。

取材・構成:太田祥暉(TARKUS)


――necoさんが『SYNDUALITY』プロジェクトに携わられたのは、いつ頃でしたか?

 2018年ぐらいのことだったと思います。最初はゲーム(『SYNDUALITY Echo of Ada』)のキャラクターデザイナーとしてプロデューサーさんからお声掛けいただきました。どうやら僕がWebに上げていたイラストをご覧になったことがきっかけだったようです。近未来SF的モチーフと現代的な服をミックスしたイラストを描いていたので、その雰囲気が作品に合っていると思っていただけたのかな、と感じています。

――そのオファーの際に、何かキャラクターの方向性に関するオーダーはありましたか?

 これは僕が参加しようと思ったきっかけのひとつでもあるんですが、プロデューサーさんがまずは自由に案を出してほしいと仰ってくださったんです。あまり得意としていないことを求められたらどうしようと思っていたんですけど、自分の色を出してもいい、出すことを求められているんだな、と分かったので参加を決めて、まずはミリタリーやテック系のモチーフを出させていただきました。

――アニメ『SYNDUALITY Noir』については、プロジェクト参加当時から伺っていたのでしょうか?

 最初の段階でアニメ企画もあるということは聞いていました。本格的な打ち合わせは2020年くらいになってから始まった感じですね。その時点でゲーム企画のほうが進行していたので、すでにメイガスのデザインやこの世界に住んでいる人はどういう格好をしているのかが確立されていました。アニメとゲームでは作中の時間軸が異なるので、そこは少し調整しましたが基本的には同じデザインラインで進めています。

――『SYNDUALITY』プロジェクトのキャラクターデザインには、どういった指針を立てられましたか?

 最初に出させていただいたミリタリーやテック系のモチーフをベースに、ガジェットやアイテムを組み合わせていきました。その上でキャラクターごとにSF度合いやミリタリー度合いを調整することで、そのキャラクターの立ち位置が分かるようにしています。また、プロデューサーさんからアメイジアで生きる人たちのデザインには中東のモチーフを入れたい、という話をいただいたことをきっかけに、中東だけではなくさまざまな民族らしい意匠を採り入れることを決めました。

――アニメのキャラクターについて、山本裕介監督から何かオーダーはありましたか?

 山本監督からは、具体的な外見についてのオーダーというよりは、このキャラクターはどういう性格で…という説明を一人一人熱心にしていただきました。そこで教えていただいたことに沿いながら、僕の指針と組み合わせてデザインを進めていきましたね。

――『SYNDUALITY Noir』の主人公となる、カナタとノワールのペアを描く上で、特に意識したことをお教えください。

 ふたりに共通して言えることは、未熟さを残した印象になるようにすることです。カナタは何でもできる男の子ではありませんし、ノワールも同様です。そういった話を山本監督から伺ったので、幼さを残しつつも、主人公なのでそれぞれカッコよさや可愛さを感じられるようにデザインを固めていきました。

――ノワールのだぼっとしたジャケットは、necoさんの発案だったと伺いました。

 未熟さの表れという意味合いもありつつ、アニメならではのデザインとしてやりたかったことでもあったんです。というのも、ゲームだとあのジャケットはCGの可動域が干渉してしまって、実現することが難しいんですよね。なのでアニメでしかできないデザインを取り入れたいなと思い提案したところ、「作画が大変になるかもしれませんが、頑張ってみます」とエイトビットさんが仰ってくださって、採用されることになりました。

ノワールデザイン画
ノワールのデザイン画

――カナタたち人間と、ノワールたちメイガスとでは、何かデザイン上の違いを付けているのでしょうか。

 人間は僕たちの生活の延長線上に存在していても違和感がないような服装にしようと心掛けました。いわゆるアニメ然とした服装ではなく、もっと身近に感じられるようなデザインですね。対してメイガスのほうは首のナブラという分かりやすいモチーフもありつつ、服装をボディスーツ+アウターという構成で統一しています。

――なぜボディスーツ+アウターにしたのでしょうか?

 メカものの定番に、身体にフィットしたパイロットスーツがあると思うのですが、ただそれをそのまま持ってきては面白くないなと。何か『SYNDUALITY』ならではのスーツ的デザインを作りたいと思い、組み合わせをいろいろ考えていたんです。その中でスタッフさんからの反応が良かったのが、ボディスーツ+アウターでした。

――なるほど。そうしてデザインが出来上がっていったんですね。necoさんが描かれたデザイン画は、その後桂憲一郎さんによってアニメ用にリライトされています。桂さんの描かれた設定画をご覧になって、どのような印象を受けましたか?

 山本監督から、『SYNDUALITY Noir』は明るくて痛快な作風にしたいという話は伺っていたんですよね。とはいえ、僕の絵柄って頭身が高いですし、彩度が暗めなので、そのままデザインに起こしてしまうと作風とミスマッチになりかねません。どんな感じにデフォルメするのか楽しみにしていたのですが、アニメの世界観に合わせてバランスを取った設定画になっていながらも線をかなり残してくださったことには驚きました。アニメになるとどうしても線が少なくなる印象があったので、あらかじめ僕も線を減らしてデザインしていたんですよ。でも、桂さんは予想以上に線を拾ってくださって。これをアニメで再現できるのか……!? とドキドキしていた覚えがあります。

――実際に完成した映像をご覧になっていかがでしたか?

 テンポ感が素晴らしくて、とても心地よかったですね。第1話だけでもとても濃密で、2~3話分ぐらいの満足感がありました。そしてなによりキャラクターが可愛かったです(笑)。

――ご自身がデザインされたキャラクターですけど(笑)。

 いや、自分を持ち上げているわけではなく、表情や仕草、声優さんの演技といった演出が付いたことで、可愛さが増したように感じたんですよね。第1話でカナタがノワールをマリアさんのところに連れていくシーンがあるじゃないですか。ミサイルが飛んできて爆発したとき、ノワールが変なポーズではしごに掴まっていたんですよ。ニッチかもしれませんけど、あのシーンがとても可愛かったです。

SYNDUALITY_ep01_場面カット
▲第1話より、neco氏イチオシの「変なポーズではしごに掴まるノワール」

――キャラクター原案として携わる一スタッフでありながら、necoさんはかなり視聴者目線で楽しまれているんですね。

 はい! せっかくのアニメですから、僕も楽しみたいんですよ。もちろん事前に確認しなければいけない部分もあるのですが、そういったもの以外はなるべく情報を入れないようにしています。もちろんストーリーの流れは把握していますけど、細かい演出に関しては映像を観ないと分かりません。なので、先ほど言ったノワールのシーンも、放送を観て初めて知りました。今は毎週、いろんなシーンで可愛いなと思いながら観ています。お店に展示されているノワールの立像もめちゃくちゃ写真撮ってきました(笑)。

――8月に発売された、「Figure-rise Standard ノワール」のパッケージイラストも手掛けられていますね。

 これまでも僕の描いたイラストが立体化することはあったのですが、ノワールのデザインはどう考えていても可動に向いていないんですよね。なので、最初に立体化のお話を聞いたときには非可動のフィギュアなのかなと思っていたくらいで。でも、実際に拝見してみるとアウター部分が取り外し可能になっていたり、シルエットもとてもキレイに再現されていることに驚きましたね。パッケージイラストについては、一番キャラクターを見てもらえるようなシンプルなデザインかつ、いろんなポーズが取れることもこの商品の魅力だと思うので、商品で再現可能なポーズのノワールを描くように意識しました。

――すでにファンの手元にもFigure-rise Standard ノワールが届いているかと思いますが、necoさんとしてはどのように遊んでほしいと思いますか?

 いろんなポーズを取らせてほしいのはもちろんなんですけど、メイガスはマスターと一緒にいる存在なので、皆さんにはノワールのマスターとなっていろんな場所に彼女を連れ出してほしいなと思います。例えば旅行先でノワールと一緒に写真を撮るとか。その写真をSNSにアップロードしてくださると、僕も見られるのでとても嬉しいです! ミニチュアの小物とかと組み合わせて写真を撮っても面白いかもしれませんね。僕はモニターの縁に座らせて飾りたいですけど、バランスを取るのが大変かも……と悩んでいます(笑)。

Figure-rise Standard ノワール
▲neco氏がイラストを描き下ろした「Figure-rise Standard ノワール」のパッケージ

――『SYNDUALITY Noir』のキャラクター原案を振り返ってのご感想はいかがでしょうか?

 アニメは動きを前提に考えなければならないので、情報量を調整する必要がありました。僕は、普段情報量が多いデザインをすることが多いんです。ゲームではディテールを細かくしてもそのまま再現ができたんですけど、アニメではなるべく省略可能なデザイン——引きで見ても同じ色で構成されているようにしなければならない、といった制約を考えながらデザインをしなければならなかったんです。とはいえ省略しすぎると物足りなさを感じてしまうという、その葛藤を経験できたのはよかったですね。また、アニメ制作のスピード感はなかなか他の現場では味わえないものでもあったので、また機会があれば挑戦してみたいなと思います。

――今後放送される『SYNDUALITY Noir』について、necoさんとしてはどういった箇所に注目してほしいですか?

 僕も物語のすべてを把握しているわけではないんですが、キャラクターそれぞれの未熟さゆえの葛藤に注目してほしいと思います。カナタだったらドリフターの適性のなさでコフィンをうまく動かせない、ノワールならメイガスなのに不完全で、エリーはカナタへの愛情をうまく表現できない…といった葛藤を抱えています。そういったキャラクターの機微が楽しいアニメだと思っているので、ぜひそんなポイントを通して誰かキャラクターを好きになってくれたら嬉しいですね。

SYNDUALITY_ED 場面カット

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ⒸSYNDUALITY Noir Committee

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