『SYNDUALITY Noir』本編&外伝小説に登場した「エンダーズ(チェイサー)」を製作!! 【3Dプリンター】
2023.08.09地上に蔓延る
「エンダーズ」の一種を製作
フォトストーリー『SYNDUALITY Kaleido』に登場した敵「チェイサー」の作例を紹介。
≪新月の涙≫以降、地上に発生した異形の存在「エンダーズ」。AO結晶が多い場所に群がるがその目的は不明。小型から大型までさまざまなタイプが存在し、それぞれ性質も大きく異なるという謎の多い存在だ。
チェイサーはその中でも小型の個体であり、観測される数も多い模様。ドリフターたちの敵となるこれらの個体を、スクラッチ作例を得意とする六笠勝弘が作中のCGモデルを元に4つのポーズで立体化。塗装プロセスにもこだわった力作をご覧あれ。
CHASER
■はじめに
今回は新規タイトル『SYNDUALITY Noir』の敵キャラクターを製作しました。いただいた映像用3Dデータをもとにプリンター出力して進めています。使用したプリンターは4K光造形です。
■3Dモデル
いただいたデータはそのままプリンターで出力できないので、最適化とハイディテール化をしていきます。まずは法線情報をもとにハイトマップを生成し「ハイメッシュ化」します。この状態でかなりディテールアップができるのでスカルプトツールは不要でした。
ハイメッシュモデルに4種類のポーズをつけてobjファイルに変換します。今回製作したものは「歩き」「走り」「威嚇」「飛びかかり」の4種類です。
■出力
今回は「HGデイジーオーガ」を参考にサイズを設定。全長12cmぐらいがちょうどいい感じでした。サイズがかなり大きくなったのでプリンターのフィルムに貼り付きやすくなります。対策としてスライサーソフトでモデルを傾斜させ接地面を少なくさせ出力しました。
■整形
二次硬化させた出力物のサポートを切り離していきます。ワイルドに「手もぎ」もいいのですがサポート跡ができるので、超音波カッターで丁寧に切っていきます。
その後全体的にさっと400番のペーパーをかけ、サーフェイサーを厚吹きします。ピンホールや積層跡をパテや瞬間接着剤などで処理した後、2度目のサフ吹きでやっと塗装に進むことができました。
■塗装
いただいた彩色サンプルを元に、CGのマッピングの様に数回の工程で塗り重ねていきます。
まず最初にラッカー塗料を白黒のグレースケールで塗装。細吹きでコントラストを高めに明暗をつけていきます。次にラッカー系濃いめブルーをハイライト部分を避けながら吹き、ハイライト部には明るめのブルーを吹いていきます。最後にクリアーブルーを薄く吹いて青の足りない部分を補います。
次の工程はエナメル塗料やウェザリングカラーによるフィルタリングです。ドライブラシやスミ入れのような感じでコントラストをさらに強調していきます。乾燥が終わったら次の工程に進むのですが…梅雨時期も関係してか全然乾かなかったです。厚塗りエナメル塗料は乾燥ブースで1日かかるみたいですね。
その次の工程はラッカー塗料に戻ってメタルカラーとトップコート系を塗装。ここでラッカー塗料の層を作るのが、最後にエナメル系の蛍光色を使うために必要な工程になります。頭部を避けるように全体にツヤ消しトップコートをして、盛り上がっているハイライト部分に紫系のパールを薄く吹き付け。頭部はメタルカラーダークアイアンで筆塗りします。乾燥後、綿棒で磨くと金属っぽい質感になります。
この時点でエナメル塗膜の上にラッカーの塗膜がコーティングされた状態になっていますので、最後の工程に入ります。全体のひび割れ風モールドにホワイト系のエナメル塗料を薄くスミ入れしていきます。こちらはラッカー塗膜の上から塗っているので、溶剤で拭き取ることが可能です。乾燥したらその上にエナメル塗料の蛍光カラーを流し込んで完成。ラッカーとエナメルの層を作ることで拭き取りが可能になるのがポイントです。
■終わって
エナメル塗料の乾燥をなめていましたね。半日乾燥ブースに入れてもベタベタしていたので、結局1日置いてからの作業になりました。乾燥ブースがなかったらもっと大変だったでしょうから、もはやマストアイテムだと思います。
ノンスケール スクラッチビルド
チェイサー
製作・文/六笠勝弘
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ⒸSYNDUALITY Noir Committee
六笠勝弘(ムカサカツヒロ)
ミキシングや3D造形技術を駆使して、模型オリジナル、スクラッチ、大型ディオラマなどハードな作品を作り上げる。