強力なタンクキラー!タミヤ新作「ドイツIV号駆逐戦車/70(A)」を使用したディオラマ製作
2023.07.24ドイツIV号駆逐戦車/70(A)
前回の前哨戦的作品ドイツIV号駆逐戦車/70(V)ラングに続いて、今回はいよいよタミヤの新作「ドイツIV号駆逐戦車/70(A)」を山田卓司が製作。70口径7.5cm砲を装備し、タンクキラーとして生まれ変わったIV号戦車の姿を、こちらも発売されたばかりの「ドイツ歩兵セット(大戦後期)」とのディオラマでお楽しみいただこう。
■はじめに
タミヤ「ドイツIV号駆逐戦車/70(A)」は開発コンセプトは違うものの、先にリリースされている/70(V)との作り比べが楽しいところです。主砲は同じ長砲身70口径7.5cm砲なので「ラング メタル砲身セット」をそのまま使用可能ですが、戦闘室天板は照準器用レールは省力化された、より後期のタイプ。今回は新設計のIV号戦車車台で、上部転輪が三個と四個のものとコンパーチブル(キットは四個タイプの仕様)。しかも支持架は省力化された形状となっており、このキットのパーツを使えば/70(V)のみならずさらなるIV号系車両のバリエーション改造も楽しめそうです。
■キットの内容は?
パーツのシャープさや嵌合の良さなど、いつものタミヤのクオリティですが、今作ではパーツ構成が面白く、車体、フェンダー、機関室、戦闘室とそれぞれのブロックごとに確実に組み上げられるように工夫されています。個人的に面白いなぁと思ったのは予備転輪や履帯用ラック、釣り上げフックなどがユニット化されていて簡単確実、かつ強度が高くなっている点。こうした心配りは本キット一番の注目点、メッシュ状のシュルツェンにも及びます。本来は華奢で非常にデリケートなパーツ構成になりそうなところですが、確実に組み立てられ、かつ強度も充分。プラ成型の限界を考慮した上でリアリティを損なわないように工夫されています。3枚のメッシュ状シュルツェンは前後で重なり合うと言う、新しい考察が反映されています。
■ディテール工作
ニューキットレビューなので過度のディテール工作は避けていますが、前部フェンダーのヒンジに真鍮線を通したり、スプリングはアドラーズネストの金属パーツに交換。ジャッキやクリーニングロッドなどのラックに使われている蝶ネジはパッションモデルズの3Dプリントパーツに替えました。車外装備品のクランプハンドルはキットパーツを削り込んで使っています。ジャッキ台固定用チェーンはモノクロームの汎用ブラック極細チェーンを使って追加。また、ライトコードの被覆管は真鍮線で追加。履帯は接着組み立て式なので起動輪の所で分割したC字組み。予備履帯と前後方向から見える部分の履帯は両サイドの軽め穴をドリルを使って貫通させています。
■塗装
第17戦車師団所属車輌を選択。三色迷彩はGSIクレオスのダークイエロー、ロシアングリーン(2)、タミヤのNATOブラウンを使いました。メッシュの塗装は目詰まりには要注意です。
■フィギュア
付属の搭乗員フィギュアからイメージして戦闘中のシーンとしましたので、新製品の「ドイツ歩兵セット(大戦後期)」を早速、使わせていただきました。こちらは迷彩ポンチョを着込んだ二体を含む、大戦後期の姿のキットで大変使いやすいフィギュアセットとなっています。3Dスキャンによる同社のフィギュア造形も手馴れた感があり、ポンチョのシワや立体感を再現するために分割されたパーツの組み立ても楽しいですね。
レイアウトしてみてみたら少しもの足らなかったので「ドイツ突撃工兵チーム ゴリアテセット」より匍匐前進する歩兵を1体流用しました。
■ディオラマ
残された記録写真からイメージして、茂み脇の小道を想定しながら大まかな形をスタイロフォームを削り出し、ダイソーの「ふわっと軽い粘土」のブラックとブラウンを混ぜて使って地面を表現。生乾きのうちに履帯の轍を入れ、赤玉土を撒いて小石を表現。アクリルガッシュで塗装した後にスタティックグラスなどディオラマ用草素材で雑草を生やしました。茂みはオランダドライフラワーを芯にしてスプレー式接着剤で乾燥パセリで葉を付けて作りました。
タミヤ 1/35スケール プラスチックキット
ドイツIV号駆逐戦車/70(A)
ディオラマ製作・文/山田卓司
ドイツIV号駆逐戦車/70(A)
●発売元/タミヤ●5060円、発売中●1/35、約24.2cm●プラキット
ドイツ歩兵セット(大戦後期)
●発売元/タミヤ●1760円、発売中●1/35●プラキット
山田卓司(ヤマダタクジ)
AFVからキャラクターものまでジャンルを問わず活躍するご存じ「情景王」。