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『パトレイバー』「1/43 イングラム1号機」エッジなどを中心に加工し自分なりのイングラム像を追求
「HJメカニクス11」より

2022.03.18

コンディション・グリーン

イングラム1号機 CG とびら

エッジワークなどの微調整で
自分なりのイングラム像を具現化する

 青島文化教材社から1/43イングラム1号機。昨年11月に発売された本作は全高およそ19㎝と、BANDAI SPIRITSのマスターグレード(1/35スケール)に比べ少々小振りながら、洗練されたプロポーションに加え、インジェクションキットでは初となるシートの昇降ギミックを実現するなど、最新作に相応しい内容となっている。各関節カバーもラバーを被せるのではなく、プラ成型にすることで、さらなる可動域を実現。各関節機構と相まって幅広いアクションポーズが可能となった。作例はそんな注目キットをNAOKIが製作。エッジなど個人的に気になる部分を中心に加工し、自分なりのイングラム像を追求している。

▲現時点で最新版となるアオシマ製イングラム。小さい頭部、拳、靴など、これまでのイングラム立体物とはアプローチが異なるバランスとなっている。関節カバーはABS製でポリキャップによる可動機構は実に良好。シルエットを崩さないカバー部分のパーツ割りも見事
▲足首は二重関節により接地性は良好。腰のウインチは下部にフックも造形されている。ハンドは握り拳、平手、スタンスティック持ち手、リボルバー・カノン持ち手が左右、左平手(リボルバー・カノン両手構え用)と豊富。さまざまなポージングに対応する

▲シート昇降ギミックに伴い、透明防弾キャノピーの展開・収納をパーツ差し替えで再現。シートが下りた状態用のシャッターも別パーツで用意されている

▲ハッチは設定通り開閉。内部フレームが前方にスライドしてから上下のハッチが展開する
▲右下脚外側のリボルバー・カノン収納部はカバーの開閉と連動して、リボルバー・カノンがせり上がる連動ギミックを実現。伸縮腕部フレームはパーツ差し替えで再現している
▲立てヒザポーズもご覧の通り。腰のスイング機構も相まってより自然な立ち振る舞いを楽しめる
▲肩の前後スイング機構でリボルバー・カノンの両手持ちも問題なく決まる
▲股間のカバーパーツを外すとディスプレイベース用の3mm径のジョイント穴が露出。市販のディスプレイベースに対応するので疾走ポーズもご覧の通り

▲キット素組みとのツーショット。作例は頭部の改修、ウエストの延長、スネアーマー大型化に伴うバランス変更以外はエッジワークがメインとなっており、一見大きな印象の変化はないように見受けられる。改造ポイントの詳細は下にて解説


COLORING DATA     

 白=Ex-ホワイト(ガイアノーツ)
 黒=Ex-ブラック(ガイアノーツ)
 メカ部分グレー=メカサフ ヘヴィ(NAZCA)
 シーリング部分グレー=ブルーフォグホワイト(NAZCA)+エヴァパープル少量(ガイアノーツ)
   

▲同シリーズの98式特型指揮車(製作/木村学)とのツーショット。やはりレイバーは車両とのツーショットがよく似合う!
▲頭部は各部のエッジを削りなだらかにしつつ、中層ブロックもアルテコなどで高さを上げて全体的に縦長な印象に形状変更した

▲肩外側装甲は下端が前後装甲下面よりも下にくるイメージなので、下端にポリパテを盛って修正した

▲前腕は白い装甲の下側でプラ板により2mm延長した

▲左腕シールドは腕部に対して短く感じたので、いったんカットしてプラ材で6㎜ほど延長している

▲胴体は下の写真の赤く丸囲みした部分のエッジを削り込みなだらかなラインに修正している
▲腹部は好みで2mmほど取り付け軸を延長。それに伴いカバー部分をポリパテで上部に延長した形状で新造している
▲腰の延長に合わせて、腰部前側の上面もプラ板で上方に延長している
▲脚部は太モモ外側の外装を下に延長して関節が見える隙間を軽減。ヒザ装甲も下に大きくボリュームアップ。干渉する中央のプレートはカット。両側の装甲も上部の厚みぶん斜め上に向かってカットし、ヒザアーマーの横幅の厚みを増すスペースを確保している

 1/43スケールというキャラクターモデルだと聞きなれないスケールは、ミニカーのメインスケールであり、ディオラマをはじめいろいろと楽しめそうです。そんな事情を抜きにしても大き過ぎず小さ過ぎない、なんとなく手にしっくりくるサイズ感が嬉しいです。加えてイングラムの基本的なギミックは網羅しているのも嬉しいところ。プロポーションも良好です。とはいえ、個人的に気になる所がないわけではないので、全身くまなく手を入れています。今回は劇場版、TV版などの再現ではなく「自分の中にあるイングラムとしてのアイデンティティー」を拾い集めて反映してみます(カラーリング、マーキングは劇場版に準じています)。全体的に気になったのは各所に無用なエッジが立っていること。成型色の関係で一見あまり気にならないのですが、より形状を詳細に見ていくと気になる箇所がいくつかあります。今回は余計なことはせず、そのような箇所を修正しつつ自分の中の「これぞイングラム!」という造形を目指しました。

■頭部

 本キットでもっとも気になった部分です。まず中央センサー部分。天面はもう少しアールのついた面というイメージです。平滑すぎるがゆえに側面との繋ぎのエッジがきつく感じます。正面への繋がりも同様で、結果的にやけに角ばった印象を受けます。額両横部分も同様で、天面が扁平でなおかつ側面と繋がる部分にはエッジが立っています。縦方向へのボリュームも足りず、結果として頭部の印象が自分のイメージと乖離してしまっているので、ポリパテやアルテコを盛り削りして形状出しをしています。マスク部分もセンターにエッジが立っており、必要以上に精悍な顔に見えます。ここをなだらかなアールに修正しつつ、バイザーとの接合ラインもイメージと異なるので修正しています。

■胴体

 ここも各所にエッジが立っていて気になります。具体的には襟、前面ダクトの角、上半身下部フチなど。細かい部分かとは思いますが、シンプルなデザインゆえに、こういった各所のエッジコントロールで全く印象が変わってしまいます。また、前面ダクトのフチですが、前方からの厚みが気になります。小スケールならばさほど気にならない箇所ですが、このぐらいのサイズだと断面の厚み=ひとつの面として見えてしまい、やはり印象が変わってしまいます。なので天面、側面部分からなだらかに削り込んでいき、最終断面がゼロに近いように整形します。
 さらに腹部ハッチですが、自身の印象としては均一なアールで構成されている箇所なのですが、やはり前、側面を繋ぐ部分に緩やかなエッジがあります。写真で見るとあまり分からないのですが、気になるものは気になるので手を入れます。

■脚部

 特に気になったのが太モモ外側装甲。ここにも腹部ハッチ同様緩やかなエッジが立っています。ここは裏打ちしてガッツリ削り込んでなだらかな面に修正しています。そして太モモ下端ですが、可動のためのクリアランスなのか、横から見た時にヒザ関節が見えすぎて上下の繋がりが悪く感じます。なので太モモ下端を可動に干渉しないよう調整しながらポリパテで延長しています。
 ヒザ装甲小さく、そのぶんスネが長く、ヒザ下が長い印象を受けます。ヒザ・スネのバランス取りが適正であれば、ヒザ下自体が長くてもさほど違和感は感じないと判断したので、ヒザ装甲を下方に向かって大型化しました。

■塗装

 装甲部分はグロス仕上げで、極力余分なスミ入れはせずに陰影で見せるようにしています。また白い面が多くどうしても軽い印象になりがちですが、装甲裏側が結構見えるデザインなので、裏側を濃いグレーなどで塗りつぶしておくと、俄然引き締まって見えるのでオススメですよ。
 以上、かなり手を入れてしまいましたが、自分のレイバー愛が強いだけで(笑)、決して悪いキットではないと思います。それにしても。アオシマさんといいグッスマさんといい、令和の時代にこんなにわんさかパトレイバーのキットを出してくれるなんて! 支え続けますので、行くところまで行っちゃってください! 楽しみにしています!!

青島文化教材社 1/43スケール プラスチックキット“ACKS”

98式AV イングラム1号機

製作・文/NAOKI


 こちらの 98式AV イングラム1号機 は現在好評発売中の「HJメカニクス11」でも掲載中です。
 「HJメカニクス11」では総力特集として『機動警察パトレイバー』ピックアップ! 1/43 イングラム1号機以外にも、伝説的名作である劇場版2作を軸に、グリフォンなどのテレビ版レイバーを含めた『機動警察パトレイバー』に登場するレイバーを、プロモデラーの作例でお届けしております。

 レイバーの魅力を今一度掘り下げたパトレイバーファン必読の一冊をどうぞお楽しみください!!

Ⓒ創通・サンライズ ⒸHEADGEAR

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