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「MG ボール Ver.Ka」をディテールアップと塗装でリアリティUP!

2023.05.04

RB-79 ボール【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2023年6月号(4月25日発売)

「MG ボール Ver.Ka」をディテールアップと塗装でリアリティUP!

工業製品的ディテールアップとウェザリング塗装でキットのさらに1歩先を目指す

 RX-78-2 ガンダム、XXXG-01W ウイングガンダムに次ぐシリーズ第3弾としてリリースされた「MG ボール Ver.Ka」。第3弾にしてMSではなく戦闘ポッドである「RB-79 ボール」が選ばれたことは当時も話題になったが、そこには今後のガンプラ進化までも視野に入れた野心的な試みが取り入れられていたことは、昨今のガンプラを見れば明らかである。RB-79 ボールは民生用の宇宙ポッドを戦闘用に改造・転用したものであり、現実世界の工業製品に近い印象。であれば、そのイメージを底上げすべく“マイスター”木村直貴に製作を依頼。得意分野であるミリタリー色を高める手法を用いて各部に工業製品的ディテールの追加とウェザリング塗装を行い、キットのコンセプトをさらに高めている。

▲OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』版をベースに作業用ポッドとしてのリアル感を追求。金属シャフトや軟質カバーなどの異素材を活用したマルチマテリアルキットになっており、ポッドの内部メカ構造の再現など、工業製品的なアプローチが盛り込まれている

MG ボール Ver.Ka

●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●2200円、2004年12月発売●1/100、約9.5cm●プラキット

▲両側面には緑と赤の航行灯を設置
▲機体各所にハンダ線によるガードパイプ、プラ板を加工したアイプレート、市販パーツのダクトモールドを配置したうえで、お得意の「・」「ー」「凹」モールドを彫り込んでいる
▲『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』版のRB-79C ボール改修型のデザインをベースに立体化されており、マニピュレーターのサブアームやメインスラスター形状、側面の姿勢制御バーニアなどが反映されている
▲ポッド部分は本体ユニット、トラスフレーム、外装の3層式にすることで奥行きのある構造を再現。外装パーツはパネルラインを意識したパーツ分割とスジ彫りモールドで合わせ目がない構成になっている。外装パーツ裏側までメカモールドが造形されており、外した外装自体を視覚的に楽しむこともできる。また、マニピュレーターのケーブルを再現したリード線、金属シャフトによるシリンダー、マニピュレーター基部の軟質素材など、異素材を使用した質感再現を採用するなど、近年のキットに見られる技術がふんだんに盛り込まれている
▲マニピュレーターはサブアームを収納可能。改修型ではないスタンダードなボールのようなシルエットになる
▲「機体整備の効率を上げるため、外装パネルはボルトやラッチで簡単に脱着できる構造が望ましいです。ワンパターンですが「・」「ー」「凹」モールドを適当な箇所に彫っておきましょう。…とまあ、コロニー公社の技術員になったつもりで、現場に合った機体改修を考えてみました(笑)」(木村)
▲「資材置き場から建設現場へさまざまな資材を運搬するのもボールの仕事。物資を固定・牽引するために、各所にワイヤーを通すアイプレート(穴あき板)を設置しておくと便利であります」(木村)
▲「実際の作業現場を覗くと、所狭しと資材が並べられヘルメットなしでは立ち入り禁止です。しかもここは宇宙空間。浮遊して動き回っている資材に接触するのは日常茶飯事。センサーや姿勢制御装置に当たって壊れでもしたら作業効率低下であります。なので、重要なところはむき出しにせずに、ハンダ線でまたはプラ棒でもいいので、ガードを付けましょう」(木村)

▲「スペースポートへ入ったり、母船で整備を受ける時はフラッシュデッキ(平らな床)に降りられないと何かと不便であります。底部バーニアを小型化して腹の空間に納め、電磁吸着式の丸足(作例はコトブキヤM.S.G「丸モールド」を使用)をいくつか取り付けておけば安定して駐機できます」(木村)

▲製作途中状態。ディテールアップ工作を施した箇所が一望できる。各ディテールアップ箇所はそれぞれに意味合いを持たせることで、より説得力を高めることができる

▲作者撮影による内部構造写真。本体ユニットとトラスフレームで色を変えることで、構造の差別化を図っている

▲コクピットハッチは引き出し式で開閉が可能。シートやコンソールまわりの造形も再現されている。また、トラスフレームのスタンドや整備クルーフィギュア(2体)が付属しており、整備中をイメージしたディスプレイができるなど遊びの幅が広い

▲可動箇所は上部の180mm低反動砲と左右のマニピュレーターのみだが、低反動砲の仰俯角変更部ギア構造やマニピュレーター基部の軟質素材、金属シャフトなど、アクションよりも機械的な構造を楽しむモデルになっている

■カトキさんも渋メカファン?
 Ver.Ka特集! ということで今回担当したのは18年以上前に発売された“MGボール Ver.Ka”です!!
当時はスマートでカッチリした印象のVer.Kaシリーズで「第3弾がナゼにボールなの!?」と、意外過ぎてぶっ飛びましたが、スペースランチでデビューした渋メカ好きの僕としては大歓迎!! いつかは作り込みたいアイテムのひとつとして心に秘めておりました〜。担当できてよかった〜。

■古さを感じない!
 さて、このMGボールVer.Ka、『機動戦士ガンダム0083』に登場したRB-79C ボール改修型と基本形状はほぼ同じで、本体の球体部が小ぶりになって少しスマートな印象です。とにかく目玉のお化けのような独特のスタイリングと、作業機械そのものといったアーム、さらに大砲の武骨なギア式砲架はメカニカルな魅力がたっぷりで、機械好きにはたまらないデザインであります! キットの出来も抜群で内部のトラスフレームが別パーツで3重構造になっているなど、最新MGキットに通じる要素も見られるほか、金属パーツやリード線、軟質樹脂など異素材も使って組み上げる仕様になっており、古さを感じない楽しいキットになっています。人型メカ製作に疲れてきたそこの君!
さあボールを作ろうぜ!

■究極のリアルメカ
 キットは修正の余地が全くないので、ディテールの追加工作をメインに進めていきます。ボールは元は民間で使用されていたスペース・コロニーなどの建設作業用ポッド、という設定ですよね。民間会社から軍が大量に徴発して簡単な武装を施して前線へ送る…、という戦時にありがちなリアルな設定です。だったらボールにはさまざまなタイプが混在していて、新品だけでなく中古改修版もあって、作業用ポッドの面影を色濃く残した機体もあったでしょう…、と空想してみます。

■チップ&ウォッシュ
 (元)作業用ポッドということなら、やはり仕上げはこうでしょう! 下地全面にメタリック色(シルバー+焼鉄色)を吹いておき、機体色(赤はHJモデラーズカラーのマイスターオレンジ、あとはサーフェイサーベースで混色したので詳細不明)を上塗りして、先が尖ったもので引っかいて部分的に下地を露出させ、資材やデブリとの衝突痕を再現します。ちょっと前まで溶接作業をやっていて(トーチは大砲のところに付いていたんじゃないかな?)ススを浴びて薄汚れているはずなので、全身にアクリル絵の具(黒+茶+赤)でウォッシングをかけて、渋〜く仕上げています。

BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット “マスターグレード”ボール Ver.Ka 使用

RB-79 ボール

製作・文/木村直貴

ⓒ創通・サンライズ

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