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1/24「ミノルタ トヨタ 91C-V(1991)」を製作! ゆがみにくい接着方法やリアウイングの削り込みなどの製作ポイントも伝授!

2023.02.14

ミノルタ トヨタ 91C-V【ハセガワ 1/24】 月刊ホビージャパン2023年3月号(1月25日発売)

ミノルタ トヨタ 91C-V(1991)

 ハセガワからリリースされた久々の完全新金型となるグループCカー、トヨタ 91C-V。徹底した実車取材とハセガワならではの緻密さで再現されたシャープなフォルムは、グループCカーの魅力が凝縮された一台といえるだろう。今回はこちらのキットを旧車から競技車まで幅広く手掛ける畠中浩が製作。キットのポテンシャルを活かした美しい仕上がりをお楽しみいただきたい。

▲1991年の全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)にトヨタが投入したグループCカー。3.6LV型8気筒ツインターボを搭載し、デビューを飾った第2戦以降、ライバルであるニッサン R91CPとしのぎを削った
▲キットは1991年のJSPC第3戦でシーズン初優勝を飾ったトヨタ チーム トムスの36号車を再現

製作ポイント1

▲︎カウルが歪まないようカウルパーツとシャシーを仮組みした状態で接着剤を流し込むと確実。プラ用接着剤は乾燥にとても時間がかかるのでしっかりと乾燥時間を取るようにしたい

製作ポイント2

▲︎リアウイングの翼端板は厚みがあるので削り込む。ただし位置決めのモールドが邪魔になるので周囲へスジ彫りを入れてからモールドを切り取った

製作ポイント3

▲︎180番程度の粗いヤスリで一気に削り込み、徐々に細かい番手で仕上げて行く。この後、位置決めモールドの位置に同じ寸法のプラ板を貼ってモールドを復活させる

▲スパルタンなコックピットやトランスミッションなど、完成後もカウルからチラリと見える内部構造もきっちりと塗り分けてやりたい

▲エンジンこそパーツ化されていないが、第3戦に備えて重量バランスの見直しに伴って移設されたフロントのラジエーターやコックピット脇のオイルクーラーなど、特徴的なレイアウトが再現されている

■カウルの製作
 説明書とは違う工程になりますが、まずはカウルから取り掛かります。キットの構成としては塗装後、サイドのパネルを後から取り付けることになるのですが、そうするとその継ぎ目がカウルサイド上部の角に来てしまいまして。角ではあるものの、そのままだとやはり目立ちますからね。そのため事前に組んでしまおうということなのですが、これをやると後の組み立て時に内部パーツと干渉するのでいろいろと苦労することになりますので、他の加工が面倒な場合は説明書通りに進めるしかありません。ということでまずはカウルパーツを一気に接着して行きますが、精度を確保するため各パーツをマスキングテープで仮固定、シャシーに載せた状態で接着して行きます。また、バリエーション展開があるのか穴を塞ぐ部分が複数あります。塞ぐためのパーツも付属していて良心的なのですが、このパーツをプラ用接着剤で固定すると乾燥に時間がかかる上、乾燥が足りない時は塗装時にヒケる可能性もあるので、隙間埋めも兼ねて瞬間接着剤を使ったほうが良いでしょう。その後、一部のパネルラインはスジ彫り位置でもあるので彫り直しておきました。フロント上部のインテーク横に牽引フックを通す穴を開けますが、このフックはパーツの厚みがあるので前後ともかなり薄く削っています。そのため、フロント側の開口部はキット指定より細く穴を開けておきました。バックミラーは2本のステーで取り付ける構造です。下側はそのままで良いとして、上のステーは成型の都合で厚みがあります。ここは薄い方が見映えがいいので、ボディの接着部はそのまま残しつつミラーまでの間を薄くしておきました。リアウイングですが、メインプレーンとフラップは問題ないものの、翼端板が厚いので薄くなるように削っています。ドアノブなど、外装に付く細かいパーツが別パーツになっていますが、マスキング地獄に陥ることが減るのでこういうパーツ数の増加なら自分は大歓迎です。

■内装について
 カウル内はエンジンがないもののギアボックスなどのパーツが用意されています。作例では一応塗装をして組んでいますが、後部など以外はほとんど見えなくなるので塗装仕上げはリアの見える部分だけで済ませて構いません(笑)。コックピットも必要最低限の構成ですが、ここも見えなくなる部分が多いので市販のシートベルトとパイプを2本追加したのみ。で、カウルの製作でも書いたようにサイドのパネルを先に組んでから被せる場合、モノコック左右から張り出した板やその前後に取り付けるインタークーラーなどのパーツがカウルのサイドアウトレット内側に干渉して、非常に被せ難くなります。作例では強引に閉じましたがカウルや塗装が割れる恐れがあるので板を5mmほど切り取る、パーツを最初から取り付けないなど、事前の処理をしておく必要がありますので注意しましょう。

■塗装について
 カウルは通常のホワイトをベースにブルーを塗装。ブルーは説明書通りでもいいですが、今回は34スカイブルー50%に20%ほどの65インディブルー、あとは好みの色味になるよう色ノ源シアンを追加してソリッドなブルーよりも微妙に青の透明感というか深みが出るようにしておきました。もちろん実車とは違う色だと思いますが、それぞれ思い入れのある印象がありますからね、模型はそれでいいんです(笑)。シンプルで印象的なミノルタブルーの塗り分けは正確な図面が付属していますので、それを参考にして間違いないです。デカールを貼り付けた後にクリアーを塗装しますが、このカウルは微妙な段差や小さなリベットを多いため塗膜が薄く出来るラッカー系のクリアーがおすすめ。こういう古いクルマにテカテカは似合わないと思いつつも作例は締め切りがある都合上ウレタンクリアーを薄吹きしていますが、それでも微妙な段差などがぼやけるんですよねぇ。デカールの保護を考えるとクリアー塗装は必須なので悩ましいところです。ガラスパーツは基本はめ込み式になるので特にヘッドライト付近は塗膜を厚くしないよう注意です。

■最後に
 個人的に80〜90年代のレーシングカーが大好きなのでとても嬉しいキットであります。欲を言えばこの頃のクルマはエンジンも見せ場なので、金なら払いますから別売りでエンジンも販売してほしいです(笑)。人気のあるクルマはまだまだあるので今後の展開に期待しています!

ハセガワ 1/24スケール プラスチックキット

ミノルタ トヨタ 91C-V(1991)

製作・文/畠中浩(ももふく模形舎)

ミノルタ トヨタ 91C-V(1991)
●発売元/ハセガワ●3740円、発売中●1/24、約20cm●プラキット

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畠中浩(ハタナカヒロシ)

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