HOME記事ガンダムもっと可愛く作りたい! 初心者でもできる女の子プラモデルの製作ポイントを丁寧に解説! Figure-rise Standard「スレッタ・マーキュリー」で実践!【水星の魔女】

もっと可愛く作りたい! 初心者でもできる女の子プラモデルの製作ポイントを丁寧に解説! Figure-rise Standard「スレッタ・マーキュリー」で実践!【水星の魔女】

2023.02.05

『水星の魔女』プラモデルを楽しもう③ もっと可愛く作りたい! 女の子プラモデル製作ポイントを紹介 月刊ホビージャパン2023年3月号(1月25日発売)

もっと可愛く作りたい! 初心者でもできる女の子プラモデルの製作ポイントを丁寧に解説! Figure-rise Standard「スレッタ・マーキュリー」で実践!【水星の魔女】

『水星の魔女』プラモデルを楽しもう!

 いまや一大ジャンルを築いている女の子プラモデル。『水星の魔女』ではFigure-rise Standardにて「スレッタ・マーキュリー」と「ミオリネ・レンブラン」の2アイテムが発売され、どちらもとても人気のアイテムになっています。キットは組み立てやすく、ストレート組みでも充分な完成度ですが、より可愛らしく仕上げてみたいとは思いませんか? ここではコボパンダが成型色を活かした製作を前提に、パーツの整形から水転写式デカールの貼り方など、女の子プラモデルならではの製作ポイントを解説していきます。本記事を参考に世界でひとつだけのスレッタを完成させてください。

▲素組みが左、加工後が右です。主な製作ポイントは、パーティングラインの処理、水転写式デカールの貼り方、エングレービングシールの貼り方、フェイス塗装、部分塗装です。全体的な印象は大きくは変わりませんが、細部を見ていったときに、仕上がりに違いがあることに気づきます

パーツの切り出し

▲ニッパーを使用してランナーからパーツを丁寧に切り離していきます。キットはゲート面積が小さいくさびゲートを採用していますが、ゲート部分を少しだけ残してパーツを切り離します
▲パーツを切り離したら、ニッパーの刃が入りやすい角度にパーツを持ち直して残ったゲートを切り離します。直接パーツを切り離して、パーツ本体を抉ってしまわないようにする、いわゆる二度切りと呼ばれるテクニックです

パーティングラインの処理

▲パーツを成型する段階で、金型の都合で出てしまう線をパーティングラインと呼びます(赤く着色した部分)。これは設定上は存在しないものなので削り落とします
▲このパーティングラインをスポンジヤスリ(ゴッドハンド「神ヤス!」)の400番~4000番を使用して消していきます。スポンジヤスリはパーツの凹凸に合わせて形状を変えてくれるので、女の子プラモデルの肌や衣装パーツのような曲面パーツの工作にピッタリです
▲まずは400番でパーティングラインを大まかに消します。400番は切削性が高く、削りすぎるとパーツの形が変わってしまうので、一回ごとに確認しつつ削っていきます
▲400番でパーティングラインをきれいに消すことができますが、パーツ本体には細かな傷が残っています
▲次に600番でパーツの傷を消していきます。傷をきれいにするイメージなのでこちらもガリガリ削るのではなく、フェイスラインに沿って丁寧に処理します
▲600番でパーツがほぼきれいになりますが、今回は成型色フィニッシュなのでさらにパーツを磨きます
▲こちらは2000番で磨いた状態です。“削る”ではなく“磨く”というイメージなので、力を入れずにパーツ全体を撫でるように磨いていきます。持ちやすさを優先して10mm厚のタイプを使用しました
▲2000番でかなりきれいになりますが、このあとのデカール貼りをスムーズに行うために念のため4000番で磨いて仕上げます。4000番で磨くとパーツ自体にうっすらと光沢が出てきます

水転写式デカールの貼り方

▲フェイスの水転写式デカールを貼っていきます。フェイスデカールは、目の位置が少しずれるだけで、違和感ある仕上がりになってしまいますので慎重に行います。まずは幅細のマスキングテープで位置決めをしていきます
▲タンポ印刷されているパーツに細切りマスキングテープを貼り付けて、目の距離や眉の高さを測ります
▲デカールを切り出します。デカールは透明な余白があるので、印刷部分ギリギリをデザインナイフ等の鋭い刃でカットすることでよりパーツに馴染ませることができます
▲タンポ印刷されているパーツに貼ったマスキングテープをデカールを貼るパーツに移動させて、位置を確認しながら水またはぬるま湯に数秒ほど浸したデカールをパーツにスライドさせて貼り付けます
▲デカールは水分を多めに含ませて、位置決めがしやすいようにします。位置が決まったら、ズレないように水分をふき取り、デカール軟化材(GSIクレオス「Mr.マークソフター」)を塗布します
▲軟化材でデカールが柔らかくなってきたら、綿棒で軽く押さえて密着させて完成です

エングレービングシールの貼り方

▲エングレービングシールを貼っていきます。シールの質感を活かすために、あらかじめパーツはツヤ消しクリアーでコートしておきます
▲シールはデカール同様に印刷部分のギリギリをカットしていきます。少し弾力があり固めなので、刃がすべらないように注意が必要です
▲位置決めをしてシールを貼り付けます。強く圧着させなければ、ある程度位置を修正することが可能です
▲位置決めをしたら爪楊枝等でシールの形状に沿ってしっかりと圧着させます。やりすぎかな?と思うくらい保護フィルムの上から強めに押さえつけました。しっかり圧着しておかないと、保護フィルムを剥がすときにシールごと剥がれてしまう可能性があります

▲しっかりと圧着させたら、きちんと貼れているか確認しながら慎重にフィルムを剥がします

▲胸元のホルダーマークも同様にシール部分ギリギリのところでカットします。設定画を見ながら貼る位置を確認し、あせらず慎重に貼っていきましょう

フェイス塗装でドレスアップ

▲デカールを貼ったフェイスパーツに、チークやハイライトを乗せていきます。使用したのはタミヤウェザリングマスター《Hセット》です
▲ペールオレンジでアゴのラインに影を入れていきます。付属のスポンジで軽めに擦り付けるように塗布し、ハケの部分でなじませました
▲チークはピーチを使用し、スポンジ部分でポンポンと軽くはたくように入れていきます。目頭の部分にも少し塗布しておきます
▲エナメル塗料のホワイトで頬にハイライトを入れます。筆ではなく先端をカットした爪楊枝を使用します。ハイライトは目のデカールの下にまつ毛の位置を左右確認しながら入れると、失敗が少なくなります。失敗したらエナメル溶剤で軽く拭き取れば修正可能です
▲瞳部分にクリアーコートを行いフェイスパーツとの差を出していきます。使用した筆はタミヤのモデリングブラシプロII。塗料の含みがよく、細かい部分に思ったように塗れる心強いアイテムです
▲ツヤありクリアーを含ませた筆でポンポンと塗料を乗せていきます。含みすぎると塗料が流れてしまうので、紙などで塗料の量を調整しつつ、塗っていきます
▲極細タイプの筆を使用して口にブラウン系の塗料でスミ入れをしてフェイスパーツは完成です
▲左から水転写式デカール用フェイスパーツ(素組み)、水転写式デカールを貼ってツヤ消しトップコートを吹いただけのもの、作例になります。左ふたつに対して、作例は肌の質感、瞳の光沢感がそれぞれ際立ちつつも全体的に馴染んでいるのが見て取れます

細部の塗り分け

▲細かい部分の塗り分けを行います。袖の内側は設定画だと黄色になっているので、水性塗料を使って塗り分けます
▲パーツの外側を軽くマスキングして、水性塗料のイエローとオレンジを混色したものを塗布します。筆塗りでもエアブラシでも大丈夫です
▲塗り終えたら余計な部分の塗料を落としていきます。アルカリ性台所用洗剤を塗料皿に入れて、綿棒に含ませて塗料をふき取っていきます
▲綿棒に洗剤を含ませすぎると、塗料を残す部分にまで洗剤が流れてしまう可能性もあるので、少量ずつ拭き取ります。綿棒はこまめに取り替えるといいでしょう
▲同様の方法でブーツ内部も塗り分けます。この方法は成型色を活かした製作法だけではなくラッカー塗装したパーツの上からでも可能なので、幅広い部分に応用できます
▲塗り分けが完了した袖内側。裏地が見えることでより衣装的な雰囲気が高まります

完成!

▲完成したFigure-rise Standard スレッタ・マーキュリー。フェイス塗装で表情に柔らかさが出ています。ツヤ消しにした肌に対して目をツヤありにしたことでアニメ映像のような雰囲気にもなりました。袖やブーツの部分塗装に加えて、ネクタイはシルバー地にクリアーカラー塗装、キットではカラーリングシールになっている箇所(カチューシャの模様や髪留め、袖の金ライン)も塗装で再現したことによって色の統一感も得られています

▲改造や全塗装を前提としない成型色を活かした製作法なら、ここまでで解説した手法のみでこれだけ完成度を高めることができます。Figure-rise Standard スレッタを買ってはみたけど、きれいに作れるか自信がないという方はもちろん、本記事で紹介している内容はほかの女の子プラモデルでも活用できるものになっていますので、ぜひ参考にしてみてください

■スレッタ出来よすぎてびっくりしちゃッタ
『水星の魔女』ハマりすぎて毎回テレビの前で正座して観ています。SNS等でも大盛り上がりでリアルタイムでガンダムを見れて幸せだなぁと思っています。ガンダムって最高ですね。今回のFigure-rise Standard スレッタですが、可動やプロポーションがとても素晴らしく(腕関節凄すぎ!)、さらに顔の造形も髪のパーツ含めて非常にシャープに作られていて、控えめにいって最高なのでは? と思いながら製作しました。

■パーツ処理
 成型色フィニッシュをメインに部分塗装で完成度を上げていきます。ゲート処理、パーティングライン処理はスポンジヤスリの神ヤス!400番→600番→2000番を使用してパーツを磨いていきます。パーティングラインの段差は薄いので、400番で削りすぎに注意です。最後に4000番でパーツ全体を磨いて半光沢のような状態にしておきます。ツヤ消し塗装は缶スプレーのMr.スーパースムースクリアーを使用しました。目の水転写式デカールはタンポ印刷パーツを元に、細切りマスキングテープを使って位置を確認しつつ丁寧に貼ります。位置が決まったらMr.マークソフターで密着させます。ツヤ消しクリアー後、瞳部分にツヤありクリアーを筆でちょんと乗せて肌パーツとの質感の差を出しました。チークや陰影はタミヤウェザリングマスターを使用し、ハイライトはお手軽に修正できるように、エナメル塗料のホワイトで塗装しています。

■お手軽に塗り分け
 水性塗料を使って部分塗装をしていきます。袖内のオレンジイエローは軽くマスキングして(後の作業を楽にするため)、内側を水性塗料で塗装しています。塗装後、台所用強力洗剤を綿棒に浸し、残したい部分以外を拭き取っていきます。ブーツなども同様に、細かいところは筆塗りです。エアブラシ、筆塗りのどちらでもできるので簡単なうえに、ラッカー下地でも可能なのでオススメです。金のパーツはシルバー下地の上からクリアイエローを薄く塗布しています。

BANDAI SPIRITS ノンスケール プラスチックキット “フィギュアライズスタンダード”

スレッタ・マーキュリー

製作・解説/コボパンダ

Ⓒ創通・サンライズ・MBS

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コボパンダ

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