今年で連載37年目! 『ファイブスター物語』のおさえておきたい基本知識【HJ Web人気記事Pick up】
2022.12.05おさえておきたい『F.S.S.』基本知識
1986年から「月刊ニュータイプ」(KADOKAWA刊)に掲載され、今年で連載37年目となる永野護氏による『ファイブスター物語』。永野氏が紡ぎ出す壮大なこの物語はジョーカー太陽星団を舞台に神、騎士、ファティマなど独自の世界観に基づいたキャラクターや洗練されたデザインの騎体が多数登場する。本誌30年ぶりの『F.S.S.』特集ということで、古くからのファンはもちろん、新たに興味を抱いた読者のためにもおさえておくべき『F.S.S.』の基本知識をおさらいしよう。
構成・解説/KATOOO(レインボウエッグ)
『ファイブスター物語』
「月刊ニュータイプ」1986年4月号から断続的に連載中の永野氏による長編漫画作品。アニメ『重戦機エルガイム』(1984-1985年)のキャラクターとメカのデザインを担当し注目された永野氏が、独自の世界観に基づき新たに創り出した壮大なストーリーだ。2022年5月現在、単行本が16巻まで発売され、デザイン集などの副読本も刊行されている。
「月刊ニュータイプ」2005年1月号から長期休載となり、休載中の2012年には永野氏が原作・監督・脚本から原画・絵コンテまで手がけた映画『花の詩女 ゴティックメード』が公開された。2013年5月号の連載再開時、登場人物や基本設定は変わらないまま、モーターヘッドと呼ばれていたロボットがゴティックメードに変更。各騎体のデザインや名称が改変され大きな話題となった。
『ファイブスター物語』とホビージャパン
『F.S.S.』のモーターヘッドは模型ファンの心を捉え、1987年からラーク(現ウェーブ)、ボークス、海洋堂などがレジンキットやプラキットの発売を開始。流麗なデザインで立体映えする『F.S.S.』はガレージキット界を牽引する存在となった。
別冊「ホビージャパンEX」では1988年から1998年にかけ『F.S.S.』特集が6回組まれ、1993年には一冊まるまる『F.S.S.』作例を掲載した「電気騎士伝説」を刊行。2021年の「ホビージャパンEX vol.21」では23年ぶりの『F.S.S.』特集に。HJ本誌では1988年7月号、1991年2月号で『F.S.S.』特集が組まれた。以降、『F.S.S.』作例はコンスタントに掲載され、今回は本誌31年ぶりの巻頭特集となった。
『F.S.S』基礎用語
【ジョーカー太陽星団】じょーかー-たいよう-せいだん
東西南北を示す4つの太陽系恒星と不軌道太陽スタント遊星から成る星団。それぞれの太陽系恒星には人間が住める惑星があり、デルタ・ベルン星、アドラー星(第一太陽系 恒星イースター)、ボォス星(第二太陽系 恒星ウエスタ)、ジュノー星(第三太陽系 恒星サザンド)、カラミティ・ゴーダース星(第四太陽系 恒星ノウズ)が物語の主要な舞台となる。それぞれの惑星には多様な国家がひしめき、国家間紛争を繰り広げている。
【騎士】きし
超人的な身体能力を持ち、電気騎士(GTM/MH)に搭乗して戦う人々。ヘッドライナーとも呼ばれる。騎士の遺伝情報によって騎士の血が発現する。国家やなんらかの騎士団に属する者が劇中に多く登場するが、特定の騎士団に属さず単騎で行動する騎士もいる。騎士はその能力によって剣聖、天位などの称号が与えられる。剣聖は一時代に数名しか現れない最強の騎士でダグラス・カイエン、慧茄・ダイグ・フィルモア、マドラ・モイライなどが登場した。
【騎士団】きし-だん
最強の戦闘兵器であるGTM/MHを駆る騎士で構成される戦闘団。複数の騎士団を有する国家もあり、主要騎士団のGTM保有数は数千騎以上となる。星団最強の軍事力と政治力を持ったフィルモア帝国のノイエシルチスや、クバルカン法国法王直下のルーン騎士団、ミノグシア連合(旧ハスハ連合)のAP騎士団などが有名。A.K.D.の天照帝の個人騎士団であるミラージュ騎士団は、ひとりひとりが各国家の筆頭騎士に相当する力を持つと言われている。
【ファティマ】ふぁてぃま
騎士とともにGTM/MHに搭乗し、騎士の操縦をサポートする人工生命体。雌型が大半を占めるが、わずかに雄型も存在する。戦闘時の演算能力と情報処理能力は有機コンピューターを凌駕し、高名なガーランドによるファティマの中には騎士級の戦闘能力を持つ者もいる。モーターヘッドからゴティックメードに改変された2013年以降、戦闘時は軍隊用語として「オートマチック・フラワーズ」と呼称されるが、通常は俗称の「ファティマ」と呼ばれる。
【天照帝】あまてらす-の-みかど
物語の主人公のひとり。デルタ・ベルン星のA.K.D(アマテラス・キングダム・ディメンス)の光皇。超常の力を持った不老不死の光の神でデルタ・ベルン星を統治する。騎士としても桁外れの力を持ち、GTM/MHの設計者としても名を馳せる。妻はファティマ・ラキシス。天照は顔や身長を変化させ、GTMスライダー(MHマイスター)のレディオス・ソープとしても登場。メル・リンス、東の君(あがりのきみ)というエイリアス(分身)を出すこともできる。
【ガーランド】がーらんど
超越した能力を持つ科学者。GTMに改変される前は「マイト」と呼ばれた。GTM・ガーランドは戦闘兵器であるGTMを設計し製造するために必要な知識をすべて有している。ファティマ・ガーランドは人型演算生命体の設計開発をする科学者で、生命に関連することすべてに特化している。星団最高のファティマ・ガーランド、クローム・バランシェはファティマの能力を超える“運命の3女神”アトロポス、ラキシス、クローソーを作り出した。
MH【モーターヘッド】
単行本12巻まで登場する15m前後の人型戦闘兵器。劇中では決戦兵器として使用される。超人的な身体能力を持つ騎士の力をトレースすることが可能で、生体コンピューターであるファティマの搭載により能力を最大限に発揮する。劇中にはエトラムルと呼ばれる人型ではないファティマを搭載したMHも登場した。
MHの保有数は国家の軍事力に比例し、フィルモア帝国のサイレン、ミノグシア連合(旧ハスハ連合)のA・トール、クバルカン法国のS.S.I.クバルカンザ・バングは星団三大MHと呼ばれ、星団中に名を轟かせている。フィルモア帝国のサイレンやミノグシア連合のA・トールは配備される騎士団や騎士によって形式が分かれ、同じサイレンやA・トールであっても装甲の換装によって外見の印象がだいぶ異なる騎体もある。
A.K.D.の天照帝が開発したL.E.D.ミラージュは詳細なデータが公開されていないMHだが、三大MHをも上回るパワーを持つと言われている。星団暦で姿を現したのはわずか7回で一度も敗北を喫していない。
[星団三大モーターヘッド]
GTM【ゴティックメード】
MHに代わって単行本13巻から登場した全高約25m前後の人型戦闘兵器。正式名称「パンツァー・カンプフ・ロボーター」。各騎体はそれまで登場したMHを想起させる意匠を残しつつも、折れ曲がったような関節、細く長い胴体、巨大な手などGTM独特のフォルムを持つ。GTMは背骨と脊髄からなるフレーム(竜骨)と装甲がそのまま骨格となったツインスイング関節で構成されていて柔軟に可動し、放熱やエネルギーの負荷に耐えやすくなっている。
映画『花の詩女 ゴティックメード』にも登場したGTMカイゼリンは星団暦初頭のドナウ帝国の皇帝騎で、旧MHの名称はジ・エンプレス。黒騎士デコースが駆るダッカス・ザ・ブラックナイトやコーラス王朝のHL-1ハイレオンなど旧HMから大きく印象を変えたGTMなどが次々とキット化されている。
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