鬼気迫る「もののふ」たち、鎌倉時代の激闘が情景王・山田卓司の手で甦る!【PLAMAX 鎌倉時代の鎧武者】
2022.11.14激闘【マックスファクトリー 1/12】 月刊ホビージャパン2022年12月号(10月25日発売)
ディオラマで魅せるもののふの勇姿
マックスファクトリーのプラキット「PLAMAX」ブランドに突如参上した「鎌倉時代の鎧武者」。3Dスキャンを駆使したリアルなパーツ彫刻により、鎌倉時代の大鎧を纏い、日本刀を構えた武者の姿を余すことなく捉えた快作に仕上がっている。そんな鎧武者の活躍をディオラマで表現したのは、月刊ホビージャパンお馴染みのレジェンドモデラー・山田卓司。戦場を駆けずり回るうちに矢が尽き果て、馬を失ってもなお敢然と敵に立ち向かう、ひとりの益荒男(ますらお)の勇姿をドラマチックに表現している。
かねてより念願だった我が国の鎧武者の本格的なフィギュアがついにリリース。PLAMAX『鎌倉時代の鎧武者』です。実際に鎧を身に着けたモデルを3Dスキャンしてのデジタル造形。細かい鉄片(小札=こざね)を糸で威し(おどし=繋ぎ合わせる)して製作されているため、動きに合わせて微妙に弛んだり捻れたりする威しの表情が良い感じです。
パーツ分割が巧みで、組み上げれば合わせ目は全く気にならないものの、すべて組み立ててしまうとパーツの陰になって塗装しづらい部分もあるので、なるべく部品ごとに塗装しておくことをオススメします。素材としてはよくできているものの、威し糸と小札、腰周りの太刀や腰刀、箙の緒の塗り分けとか、各所に貼られている絵韋の模様などは難儀すると思います。今回はモデルカステンより、このキットに合わせてリリースされたデカールと「赤絲威鎧武者写真集」を提供していただきました。
デカールの絵韋模様は2種、有識文様も数種類含まれており助かります。写真集からは背中の総角(あげまき)からそのに伸びる縣緒(かけお)、水呑緒(みずのみお)の取り付け具合など明瞭に分かります。さらに塗装のお手本として「村上圭吾のフィギュアペイントノート」(大日本絵画刊)も参考としました。
よくできたキットといっても、インジェクション成型キットゆえにいくつか省略されたディテールも存在するので、箙の欄干をプラ棒で作り替えたり、箙や貫(つらぬき)の毛皮の表情を超音波カッターでならしたりしています。太刀には豹の毛皮の尻鞘をエポパテで付けています。
キットは「赤絲威鎧」がモデルとなっているようですが、威絲はさまざまな例があるので、私は「紫裾濃威鎧(むらさきすそごおどしよろい)」(武蔵御嶽神社蔵)を参考に威絲を塗り分けてみました。太刀の刀身の塗装はポイントになる部分なのでいくつかの塗料を試しましたが、グリーンスタッフワールドの「クロームメッキペイント」が手軽で効果が高くてオススメです。
キットの鎧武者は弓矢を射ち果たして太刀打ちによる接近戦の姿ですから、敵の武者をエポパテで自作してヴィネットとしています。敵の武者は身分の低い想定で、薙刀を持つ胴丸と腹当姿としました。2体ともに鎌倉時代としては大柄の、身長165cm前後の想定です。袖や背中の威絲の模様をおゆまるで型取り、エポパテで複製、胴丸と腹当に使いました。下級武者は資料を調べながらいろいろとコーディネート。腹当の武者は半首(はっぷり)という面具を装着しています。
マックスファクトリー 1/12スケール プラスチックキット “PLAMAX”鎌倉時代の鎧武者 使用
『激闘』
ディオラマ製作・文/山田卓司
PLAMAX 鎌倉時代の鎧武者
●発売元/マックスファクトリー、販売元/グッドスマイルカンパニー●4180円、発売中●約13cm●プラキット
©MAX FACTORY
山田卓司(ヤマダタクジ)
月刊ホビージャパンを代表するレジェンドディオラマビルダー。キャラクターからAFVまでさまざまなジャンルを手掛ける。